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本日ハ降雨ナリ

窓を打つ大粒の雨音で目が覚める。今日は雨か。まあ出かける予定もないので、学校で出された課題をサクッと終わらせて今日もLDDを遊ぶとしよう。


やる事はリペアドランの素材の値段確認と、もしそれが高値で売れそうならレベさん達から教わった『シュペルブアルム』に脚を運んでみよう。

その後は……まあノリと勢いで決めるか。蒼馬と龍斗に連絡して一緒にクエストを回ってもいいかもな。


ある程度の予定を脳内で組み立て顔を洗う為に階段を降りて洗面台へ向かうと、そこには先約がいた。



「随分遅い目覚めですね兄さん」


「日曜なんだから別にいいだろ。顔洗わせてくれ」



髪を櫛で梳かしながら、鏡越しに睨めつけてくる未來。休日なのに朝の8時過ぎに目が覚めてるなら普通だと思うんだけどな。



「今私が身支度の為に鏡を使用しているのが見えないのですか?」


「髪を梳かすだけなら鏡いらないだろ、すぐ済ませるからどいてくれ」


「嫌です。まだ使うんです。顔を洗うだけならキッチンの流し台でも出来ますよ」



髪を梳かし終えた未來は洗面台の下から化粧ポーチや化粧水を取り出し、頑として洗面台から動こうとしない。無理矢理どかしてもいいが朝っぱらから騒がれても面倒だ。仕方ない、流し台で顔を洗うか……。


踵を返して洗面台から流し台へ向かうと、キッチンでは母さんが朝食を作っていた。



「あら、鏡。おはよう」


「おはよう母さん。今日は仕事?」


「そうよ。朝食、作っておいたから後で食べなさい」


「わかった。あ、ちょっと流し台借りる。未來のヤツ、洗面台占領して使わせてくれなくて顔洗えなくて」


「昨日も夜何か騒いでたけど、なにアンタ達喧嘩してるの?」


「知らない。未來が勝手に不貞腐れてるというか刺々しいだけで俺は別に」


「そう。あ、じゃあ顔を洗うついでに洗い物、お願いね」


「うげ!?なんで俺が!?」


「文句言わない。じゃあよろしく頼むわね」


「えぇ……」



不満を溢す俺の声など気にも留めず、そそくさと母はダイニングから出ていった。

なんて間の悪い。洗面台で顔を洗えていれば頼まれる事もなかったのに。未來のヤツ……!


フツフツと込み上げてくるフラストレーションで脳に血が昇っていくのを実感する。

まあだからといって洗い物を放置しようものなら「なんで頼んでおいたのに洗い物していないの?」と帰宅した母から大目玉を食らう事間違いなしなのでやらざるを得ないのだが。


蛇口を捻って流れ出た水を掬い、パシャパシャと熱くなった顔を冷まして脳も覚まさせる。

しまった、顔を拭くタオルがない。……キッチンペーパーでいいか。少しゴワゴワするキッチンペーパーで顔の水分を拭き取り、シンクに置かれた調理器具の洗い物を済ませるのだった。

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