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喧嘩両成敗

「麦茶麦茶………………ないな?」


冷蔵庫を開いて中身を確認するも、乾いた我が喉を潤してくれるはずの麦茶は見当たらない。確か朝見た時はまだ半分以上残っていたはずなんだが、そもそも容器すらない。未來が部屋にでも持っていったか?


他に飲めそうなモノは未來がプロテインを溶かすのに使っている牛乳くらいしかない。流石にこれを飲んだら小言を言われるというか以前勝手に飲んだらネチネチ言われたのでやめておこう。


となるとあとはもう水か。水道水、直飲み。我が家はウォーターサーバーを設置していないので、喉が渇いたら作り置きの麦茶か水道水の二択である。ジュース系は親が基本的に買ってこないので、それらを飲みたければ自分で買って冷やしておかなければならない。まあ今回は購入してなかったので強制的に水確定なのだが。


水道水、冬場はいいけど夏も近づくこの時期だとぬるくて美味しくないんだよな……。

味の改良を図る為に俺はコップを手に取り、冷凍庫から氷を2つ放り込んだ。飲料はとりあえず冷やせば美味くなる、飲料は冷たければ冷たいほど良い。

カランコロンと音を鳴らすコップへ蛇口を捻り、水を注ぐ。


氷解を促し冷気が水全体に馴染むようにコップをクルクルと回し、氷が小さくなってきたところをぐいっとイッキ飲み。程よく冷えた水が口内を潤し、喉奥を通り過ぎていった。コップに残った小さな2粒の氷を口に流し込み、バリボリと噛み砕いて飲み込む。水分補給完了。さて、部屋に戻るとするか。


飲み終えたコップをササッと洗い、部屋に戻ろうとダイニングにつながる扉を開こうとした瞬間であった。



「――ッッッホァタァァァ!?」



脚の小指がこちらへいきなり迫ってきた扉と正面衝突。素っ頓狂な自分でもよくわからない叫び声を上げ、激痛が足元から駆け上がり脳天まで突き抜けていった。



「あら兄さん、いたんですか」



開かれた扉の向こう側、階段へと繋がる廊下には、パジャマ姿の妹の未來が麦茶のボトルとコップを抱えて立っていた。やはり麦茶はお前が持っていってたのか……じゃなくて――!



「未來おま……!まず謝ってくれよ!?」


「…………謝る?何をですか?私はただ扉を開けただけなのに、謝罪をしなければならない理由は?」


「いやぶつけただろ!?」


「それは兄さんが扉の前にいたからでしょう?突然扉が開く事を考慮していない兄さんの不注意では?」


「それを言うなら扉の向こうに人がいる事を考慮していないお前の過失でもあるよな?」


「避けきれない兄さんが悪いです」


「いいやぶつけたお前が悪い」


「兄さんが悪いです!」


「お前が悪い!」


『うるさいわよアンタ達!!いま何時だと思ってんの!!!?』



「「ごめんなさい!」」



些細なきっかけでヒートアップした妹との口論は、一階にある両親の寝室から飛んできた母の怒号で終戦するのであった。

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