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シャル・ウィ・ダンス

地面に巨大な影を落としながら竜が吼える。大翼を羽ばたかせて地表に立つ俺達の元へ急転直下で飛来する。狙いは依然としてミサさんであり、一直線に極彩色の巨体が高速で急接近。そして刹那、両者の間に黄金の輝きが月下に溢れた。


迫り来るリペアドランに対して、ミサさんはアッパーカットで軌道を逸らして攻撃をいなして受け流す。空気を押し潰しながら通り過ぎた余波で吹き荒れた暴風で思わず身体がのけぞる。



「……さて、どうしたものかしら」



突進を逸らされ通過したリペアドランはそのまま再度上空へと急浮上して睨みを効かせる。それに対して思案顔を浮かべるミサさんに、迫る人影が一つ。



「あの竜の事は知らないですけど、隙を作ってくれるなら利用しない手はないですね」



ブッキは上段に構えた大剣を振りかぶり、叩き潰すように一撃を繰り出すも直撃はなし。軽快なステップワークで回避してみせたミサさんは僅かに距離を取る。



「隙ではなく誘い出されたという考えはなくて?」


「まだまだ余裕そうですね。ボクの事をリードしてくれるんですか?」


「ええ、お望みとあれば貴女を導いて差し上げますわ。――――ついて来れるのであれば」



瞬間、爆発的な加速。踏み締めた脚が大地に亀裂を走らせて砂礫が舞う。

互いに密着した体勢から放たれる腰の捻りが入った右拳に対して、ブッキは大剣を盾にして防御の構えを取るもそのまま押し込まれ、大剣からは刀身の半ば辺りからバキリという鈍い音が響く。



「――ッ、まだ底を見せていないんですね」


「これが底かもしれないわよ?」


「随分と嘘が下手なんです…………ね!――『大薙』!!」



押し込まれて状況を覆すようにスキルを発動して文字通りの大きく薙ぎ払う攻撃を繰り出すも、切り裂いたのは虚空であった。攻撃を幾度となく繰り出しても当たらず、当てたとしてもパリィで完璧に受け流される。相手からすればたまったものではない。

この圧倒的な強者としての立ち振舞いに洞窟内ではかつての童心を思い出して憧れの感情を抱いたが、ここまで来ると恐怖の方が勝るまである。


いや実際は間近でこんなすごい戦闘を観察出来ているのでものすごく勉強にはなっているのだが。

……まあ技量が高すぎて参考にならない懸念もあるが、そもそもステータスもレベルも装備もまだ何もかも足りてないからな……。


スキル攻撃を躱したミサさんは、今度はシュトーと呼ばれた男の元へと接近する。そしてそれは自らPKを仕掛けてきた両者の間に挟まるという構図を自ら生み出す行動だった。ミサさんの事だ、無策でする動きではない。何か意図がある。



「あまりにも誘いがないものだから、こちらから出向いて差し上げましてよ?」


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