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黄金の火花

「せーの」


気の抜けたような声とは反比例した力強く振り抜かれた大剣が地面を削り、巻き上げられた砂の礫が襲いかかる。ミサさんが右方向に回避したので俺も遅れて同じ方向へと避ける。牽制攻撃にしては狙いがあまりにも雑だ、他に何か狙いがあるのか?


スキルを使わずこちらへと接近してくるが、巨大な大剣を装備しているからか動きはかなり遅い。

ミサさんはその動きを注視しながらボクシング選手のようなステップを細かく刻み、いつでも迎撃が取れる体勢を取る。


両者の距離が詰まり、ブッキが地面スレスレで引きずるように低く構えた大剣が踏み込みと共に下から上へと舞い上がる。しかし俺でも目で追える緩慢な攻撃だ、ミサさんからすれば止まって見えるレベルだろう。最小限の動きで回避したミサさんは大剣を振り回して隙だらけの彼女へと右拳のジャブを放つ。



「攻撃力は上がってますけど、速度はそこまで変わってないみたいですね」



しかしその攻撃は即座に大剣を手放した彼女が同じく右拳で容易く弾き、交差する拳の間で黄金の火花が散る。パリィか今の。しかも金色のエフェクトだからパーフェクトパリィだ。

間髪入れずに彼女は途中で手放し宙に浮いたままの大剣を左手で掴み、今度は天から地に向けて叩き下ろす。緩やかな動作だった先程の攻撃とは異なり速度が急激に増していた。武器の重さで動きが遅いように見せていたのはフェイクだったのか。



「――あら、貴女にはそう見えるのね」



黄金の火花が再び月下に散る。振り下ろされた大剣の側面をミサさんは左拳で弾き飛ばした。明後日の方向へと飛んでいく大剣は宙を何度か回転し、そのまま地面へと突き刺さる。



「今のは貴女の目で捉える事が出来たかしら?」


「そうですね、ギリギリですかね」


「まあ、冗談がお上手ですこと」



文字通りの一蹴となる右のローキックを繰り出すも跳躍で回避するブッキ。ミサさんは蹴り出した勢いそのままに左脚を軸として急回転して続けざまにハイキックを繰り出すも、またも黄金色の火花が舞う。

交差する衝撃で互いに後ろへと下がり、距離が生まれて互いに息を入れた。



「……速すぎんだろ」


「それより対応出来てるブっちーヤバくない?」


「我らがポンコツリーダー様ならあのハイキックで終わっとったやろ」


「るせぇ!あれくらい俺でも避けれるわ!!」


「無理やろ」


「無理じゃない?」


「……無理だろ」


「……~~ッ!!無理かどうかは見てから言いやがれ!!加勢するぜブッキ!!」


「え?いらないです。最終兵器のリーダーはそこで見ていて下さい、今いいところなので」


「んが!?」



助力の申し出を一刀両断してみせたブッキは吹き飛ばされた大剣には目もくれず、虚空から新たに武器を取り出して構える。身の丈以上のサイズがあった大剣とは打って変わり今度は普通のサイズの剣だが、持ち方が順手ではなく逆手である。

まだ攻撃パターンの引き出しがありそうだな。ミサさんの攻撃をパーフェクトパリィで難なく弾く技量といい、底が知れない。

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