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情けは人の為ならず

「困っている人間を助けるのに理由が必要かしら?それとも助けられるのは何か不都合があって?」


「いや、特にそういうわけでは……」


「なら何も問題ありませんわね。さて、悠長に会話を続けている余裕はないわ、手早く終わらせますわよ」



俺の返事を待つことなくミサさんは先陣を切り、リペアドランとの距離を瞬く間に詰めて剛拳を振り抜いた。繰り出された拳の衝撃でよろめくリペアドランを確認した彼女がこちらに目配せをしてくる。

ここまで善意を示されては流石に無碍には出来ない。俺はそれに応えるように全力で駆け出した。


リペアドランとミサさんが交戦している隙間を駆け抜けて洞窟の最奥へと向かう。そして辿り着いた洞窟最深部にて岩壁を這うエリクシードの実る樹の枝を発見するも、肝心の実が見当たらない。


一足遅く食い尽くされてしまったのか……?諦めかけたその時、天井に届きそうなほど高い箇所、そこで1個だけエリクシードの実が付いた樹の枝を発見するも場所が少し高すぎる。助走をつけて岩壁を蹴ってジャンプして枝を斬りつけるか、投擲で枝を裁断でもしない限りとてもじゃないが届きそうにない。


投擲スキルがあるとはいえ、精度が不安かつ投げたブロンズソードで実を潰してしまう可能性を考慮すると、助走をつけて空中で切り離そうとする方がまだ可能性は高いか?


とりあえずいつまでもミサさんにリペアドランのヘイトを持たせ続けるわけにもいかないので、スローイングではなく空中殺法での採取を試みる事にした。


助走をつけて岩壁目掛けて全力で走り出し、右足を強く踏み込み跳躍して岩壁を蹴り跳び上がる――ヨシ、いけそうだ!

強く握り締めたブロンズソードで枝を一閃。枝は断ち切れ実のついたエリクシードと自身の身体が重力に抗えず地面へと落下していく。



――しまった切り離した実の回収の事を考えてなかった!!



マズイマズイ落ちるヤバい落ちる実が潰れるしまった潰れるヤバい届け届け届け届け――――ッッ!!


ブロンズソードを手放し、同時に地面へと落下するエリクシードへ懸命に手を伸ばした。今度は掴みそこねたりしない……!決意を込めて伸ばした右手が自由落下するエリクシードをしっかりと掴み取った。

あ、危なかった……、せっかくのミサさんの善意を無碍にするところだった……!

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