黄昏の洞窟
購入した『剛力の指輪』を早速装備し、黄金の指輪と予備のブロンズソードを『亜空間箱』に収納。さてと、これから挑むクエストを改めて確認だ。
ステートウォッチを起動してクエストの詳細を再読。
目的地はムルフィームの外、西に位置する大陸ルナティスにある黄昏の洞窟。黄昏の洞窟はムルフィームの街から比較的近い位置にあるようだ。
MAPで表示される縮小された位置と今日移動した際にかかった時間との推測から、だいたい15分くらいの距離だろうか。道中特に入り組んで複雑そうな道はなく一本道だ。
見上げるほどに大きなムルフィームの街をぐるりと囲む外壁の間に設けられた門を通り、いざ黄昏の洞窟へ。
街の外には闘技場の入口にあったモノと同じ形状の電灯が等間隔で建ち並んで暗闇を退けていたが、5分ほど走り続けて振り返るとムルフィームの街が小さくなり見えづらくなってきた辺りで電灯は途切れた。
それに伴い視界全体も急に暗がりが強くなる。少し見づらいが完全に見えない真っ暗闇ではないので、慣れればいけるだろう。
更に走り続けること10分、道中プレイヤーとすれ違いつつも、モンスターと遭遇することはなく目的地である黄昏の洞窟に到着。
電灯がなくなっても整備された道が続いていたのと、電灯代わりに等間隔で謎の六角形の石柱が建っていたが、もしかしたらそれがモンスターを避ける為の何かしらの装置なのだろうか。
その謎の石柱は現在いる黄昏の洞窟付近には存在せず、周囲の雑木林からはガサガサと何かが蠢き、夜風で木々が揺れ、獣の遠吠えが遠方から聞こえた。
頭上では二つのキラキラと輝く星星と煌々と浮かぶ三日月と弦月が伺えた。月、1つじゃないのか。
考察出来そうな2つの月は気になる所だが、今はクエストのクリアが最優先事項だ。エリクシードはこの黄昏の洞窟内に自生しているらしいのでまずは洞窟の中へと向かわねば。
ステートウォッチで確認出来るMAPには洞窟内部の構造も詳細に表示されており、特に迷う心配はなさそうだ。
モンスターの奇襲に備えて右手を剣に触れながら黄昏の洞窟入口へと向かう。
坑口は周囲が暗がりにも関わらずぼんやりと発光していた。というより洞窟内部全体も薄っすらと明るい。
ヒカリゴケと呼ばれる洞窟内でわずかな光を反射して光る苔が現実に存在するのだが、どうもそれらしき苔は洞窟の内壁には見当たらない。
ゲーム上の仕様なのか何かしらの考察ポイントなのか、まあ視界が明るくなる分には好都合なのでいいだろう。
警戒心を緩めることなく、俺は黄昏の洞窟内部へと脚を踏み入れていく。




