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武器屋『フォルジュロン』

LDDで入手したアイテムは、ステートウォッチにかざすと『亜空間箱ワームボックス』と呼ばれるいわゆるインベントリが起動して収集される仕組みになっているようで、俺は先程購入した回復アイテムをステートウォッチにかざして収納する。さてと、あとは防具だな。


アイテム屋と隣接している武器屋『フォルジュロン』に入ると、店内は壁一面に剣や大剣、大槌に槍、鎚や刀に盾など大小様々な武器や防具が立て掛けられていた。値段は一番安価な武器でも10000Gからで、高いモノだと100万Gの値打ちがついており、今の手持ちで買えそうな武器はなさそうだ。新調するのは無理だな、修理にどれくらいかかるのやら。


店内をしらばく徘徊していると複数の樽に雑に詰め込また様々な武器と、これまた雑に巨大な木箱に積み重ねられた防具の山が見えた。値段はどれでも1点500Gのようだ。見るからに在庫整理感漂う一角だが、気になったので漁ってみることにした。意外と掘り出し物があるかもしれない。



『折れたブロンズショートソード』

『折れた刀』

『刃こぼれしたブロンズアックス』

『ひび割れた鈎爪』

『刃こぼれした槍』

『折れた刺突剣』



駄目だ樽の方は死臭しかしない。木箱の方はどうだ?



『ひび割れたレッグアーマー』

『割れかけの篭手』

『ブロンズアーム』

『傷ついた額当て』

『やぶれた丈夫な布』…etc.



初期装備と思わしき武器や防具が大量にあり、プレイヤーが使わなくなったから売りに来たであろう武器やら防具やらが大半だな。

いやでもブロンズアームがあるならブロンズメイルもあるんじゃないか?と思い、探索続行。しばらく漁り続けると木箱の奥底でなにやらキラリと光るモノが目に留まった。防具の山に腕を突っ込み引っ張り出す。手に取ったそれは小さな赤い宝石が埋め込まれた指輪だった。


『剛力の指輪』という名称のアクセサリーのようだ。効果は筋力15上昇、知力5ダウン。メリットとデメリットのあるタイプのアクセサリーか。というかアクセサリーもあるのか、サイズが小さいから積み重ねられた防具の隙間から下へ下へと落ちていったのだろう。……と、なると他にもありそうか?


残り物には福があるなら微笑んでくれと防具の山に腕を突っ込み掻き分けると、その願いに応えるかのように木箱の隅で何かがギラリと鈍く輝いた。


暗闇の奥底で輝きを放つそれは高貴な黄金色をしていた。まさかのシルバーを越えたゴールドである。とんだお宝が眠っていたものだと喜びながら手にした装備の詳細を確認する。



『血塗られた黄金の指輪』


「呪の装備かよ」



思わず声に出してしまった、とんだ糠喜びである。装備名が禍々しすぎるだろ…。

いやまあ在庫処分コーナーにぶちこまれてるならそりゃそういう類いの装備になるか。でもこうして売りに出されているってことは、装備すると永遠に外せなくなるとか解除不可の類いではなさそうだ。

となるとデメリットが強すぎるとかになるのか?とりあえず性能を確認してみるか。



『血塗られた黄金の指輪』

数え切れぬ程の竜を討伐したかつての英雄が身に着けていた黄金の指輪。数多の竜の返り血を喰らい続けた指輪は血に宿りし竜の怨念に呪われ変容し、人知れず英雄の命を蝕み続けた。

英雄の命が尽きようとも、指輪に宿りし折り重なった怨恨は渇望する。

果てる事のない命を。絶える事のない魔力を。

――――同胞よ、我らは此処に在る。


【効果】装備時体力90%減少魔力90%減少。装備後体力と魔力が常時減少する。



一件デメリットしかないけど、フレーバーテキストで解呪の方法示されてるよなこれ……。

装備後解除不可のデメリットはないし、任意で体力を減少させられるなら後々そういう系統のスキルを入手した時に役立つかもしれない。買うだけ買っておくか、500Gなら安いしな。


それから更に防具の山を漁るも残念ながらブロンズメイルは見つからなかった。

仕方がないので探し当てた指輪を2個と、武器の耐久値も気がかりなので死臭漂う樽の中から辛うじて使えそうなブロンズソードを見繕い、会計を済ませる為にカウンターへと向かう。



「へいラッシャイ!――っと、その凹みたぁ修理がご希望かい?」


カウンターには頭上の左耳に傷がついた茶髪で男の従機士が仁王立ちで佇んでいた。額にぐるりとバンドを巻き、腕をまくった作業着を身に纏い、革エプロンを付けたザ・鍛冶職人という装いだ。



「えっと、その前に買物を。あと修理ってどれくらいかかりますか?」


「そのブロンズメイルなら300Gだな。凹み程度なら5分もしないで新品同様にしてやんよ。で、買いてぇモンは……っと、お前サン()()を選ぶたぁ見かけによらず肝が座ってやがるなオイ!気に入った!諸々合わせて1000Gでいいぞ!!」



なんか知らないがクリティカルが入ったらしくオマケしてもらえた。どうやら福はまだ残っていたらしい。

豪快な性格の男性従機士に礼を述べつつ、ステートウォッチをかざして会計を済ませ、防具を預けて待つこと5分。

宣言通り新品同様になったブロンズメイルを受け取り、俺は武器屋を出た。

よし、とりあえず万全ではないがこれで準備は整った。さっそく目的地へと向かうとするか。

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