当たらなければどうということはない
「その様子だとダメだったみたいだな」
「いや、エルフはいたんだ……」
「じゃあなんでそんな気落ちしてるんだ?」
「男だったんだよ……!そして不覚にもイケメンだなって思っちまったんだよ……!」
「お、おう?」
両目から血の涙を流すんじゃないかと思うほど悔しそうな表情を浮かべるモリーに少し引いた。
女子が女キャラに対してかわいいと思うようなものだし、別にそんな後ろめたい気持ちになるようなことはないと思うのだがモリーは違うらしい。
「そういうシキは……っておまっ、なんだそれ!?防具めっちゃ凹んでるじゃん!?車にでも撥ねられたのかよ!?」
先程の訓練時に受けた攻撃でがっつり凹んでしまった防具を見るなり驚愕の表情を浮かべるモリー。車て。いやまあレベさん車よりでかいしなんなら大型トラックくらいの背丈あるけども。
「車はない……とは言い切れないなこのゲーム、探せばあるかもしれんが。まあちょっと難しい訓練で返り討ちにあっただけだから、見た目ほど深刻じゃない」
「回復魔法使っとくか!?エルフって回復魔法得意らしいからさ!さっきやり方教わったからいつでも使えるぜ!!」
「マジで見た目だけで種族選んだんだなお前……いやまあいいけど。回復は必要ないから気持ちだけ受け取っておくわ」
若干体力は削られてはいるが、特に支障がないレベルの損耗なので回復の申し出は断った。この様子だと魔力の概念も知らないんじゃねぇかな。考えなしに使って魔力切れ起こす未来が見える……。
「そういえば戦闘訓練終わったなら経験値入ってレベルアップしてると思うからステータス上げておいた方がいいと思うぞ」
「なにそれどうやんの?」
「ステートウォッチから自分のステータス画面開いてそこから上げられる」
「へー、こうか?なになに……?レベル3……なんか色々数値書いてあってポイント20ポイントあるみたいだけど、これ割り振ればいいのか?」
「自分好みにカスタマイズ出来るから好きな項目を伸ばせばいいと思う。エルフは回復魔法がメインなら魔法の使用回数を増やせる魔力と魔法の効果量が上がる知力でいいんじゃないか?」
「よくわかんねぇからそれ採用!!」
即断即決でモリーは俺の提案を採用し、ステートウォッチを操作して獲得したステータスポイントを即座に割り振った。迷うことなく行動出来るのはモリーの美点だけど、躊躇いがなさすぎるのは欠点だよなぁと思いつつも、俺もステータス画面を開く。
PN:シキ
Lv:6→10
職業:剣士
冒険者ランク:B
所持金:5000G
体力(HP):50→70
魔力(MP):15→20
スタミナ(ST):35→55
筋力(STG):40
敏捷(AGI):30
器用(DEX):15
知力(INT):5
耐久(VIT):35
精神力(MND):10
幸運(LUC):5
スキル
・スラッシュ
・ダッシュスラッシュ
・投擲
・寸勁
・連続突き
魔法
・なし
装備
右:ブロンズソード
左:なし
頭:なし
胴:ブロンズメイル【耐久値減少:中】
腕:ブロンズアーム
腰:丈夫な布
脚:ブロンズブーツ
アクセサリー:なし
【新着情報】
・割り振り可能なステータスポイントが50あります。
訓練には失敗したけど経験値はちゃんと入手出来ているな、4レベルも上がってる。それと体力、魔力、スタミナのステータスが自動で上昇しているがこれはレベル10になったからだろうか?
とりあえず敏捷を上げた恩恵を先程の訓練で身に沁みたので、敏捷に20、筋力15、耐久15を割り振ることにした。どんなに強い攻撃も当たらなければノーダメージだからな。
ただ魔法攻撃に対して現状無策だから物理一辺倒はそのうち痛い目に遭いそうなのでレベル15を過ぎたら精神力も少し上げておくかな。
PN:シキ
Lv:10
職業:剣士
冒険者ランク:B
所持金:5000G
体力(HP):70
魔力(MP):20
スタミナ(ST):55
筋力(STG):40→55
敏捷(AGI):30→50
器用(DEX):15
知力(INT):5
耐久(VIT):35→50
精神力(MND):10
幸運(LUC):5




