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反省会

「――――――『ハイエスト・キュア』」



大槌との正面衝突で身体が宙を舞う俺の鼓膜に届いたのは、よく通る澄んだリーラライフさんの声だった。

視界の端に表示されている体力ゲージがあっという間に減少していき、それと同時に襲い来る全身を覆う深刻な虚脱感。

だが体力ゲージが0になりかけたその瞬間、淡い輝きを放つ光球が身体全体を包み込むと身体の内側から活力が漲り溢れ、枯渇しかけていた体力ゲージは急激な勢いで満たされていく。


慣性の法則に従い宙を泳いでいた俺の身体は次第に重力へ屈して地面に無様に着地した。その衝撃でまた僅かに体力が減少したがなんとか生存。

ガッツリと鎚の面で潰れた防具が、投擲された大槌の破壊力を雄弁に物語っていた。リーラライフさんの回復魔法が間に合わなければ今頃俺の身体も一緒に潰されていたのかもしれない。


というか体力全損する一撃食らっても0になるまでに回復すれば行動不能扱いにならないのか。もしくは全損じゃなくて残っていた可能性もあるが。



「ちょっとやり過ぎちゃったかも、ごめんねシキ君大丈夫だった?」



先程まで纏わせていた静かな闘志はどこへやら。温和な雰囲気を漂わせながら座り込む俺の元へ、レベさんが駆け寄ってきた。



「あー、はい。リーラライフさんの回復魔法のお陰でなんとか」


「土人形で相手の注意を逸らしてその隙に叩き込むのは何回も見とるさかい、回復のタイミングどんぴしゃりやったやろ?」


「ありがとうございますリーラライフさん、助かりました」


「ん、素直でええ子やね。まあギリギリ2分、越えられてへんから今回の訓練は失敗なんやけどね」



リーラライフさんから告げられる失敗の知らせ。自分より優れたプレイヤーであるカシさんが手を焼くレベさん相手に、最初から大立ち回り出来るとは思っていなかったのでそこまで悔しさはない。


が、それはそれとして牽制攻撃に対して警戒心が薄すぎた事を猛省する。

そうだよな、武器を土魔法で作れるなら使い捨て感覚で武器を投擲してくる可能性も考慮しないとダメだよな……。



「見た目が近距離用の武器だからといって、遠距離からの攻撃がないと油断したら痛い目に遭うから気をつけようね!」


「その逆も有り得るのを忘れたらあかんよ?近接戦闘が得意な弓兵、遠距離攻撃が得意な剣士。見た目から予想して先入観に囚われると後手に回るから注意しぃや」

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