表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/219

土人形ノ支配者

眼前にはレベさんが生み出した土人形が3体。それぞれ自身を構築する土で出来た剣を両手に携えていた。レベさんも既にその手には先程の戦闘訓練で見せた巨大な鎚を握り締めている。宣言通りの本気のようだ。

正面に立つ土人形が剣を上段に構えながらこちらに迫る。俺は腰の剣を抜いて右に駆け出した。


それに釣られるように他の土人形も俺を追いかけてくる。どうも行動パターンが自発的に行動するように変化しているようだ。このままだとすぐに数の暴力で追い詰められてしまう。

まずは数を減らすしかな――いや、これは回避訓練だから攻撃するのはダメなのでは?


…………あれこれ無理ゲーじゃね?



そんな一瞬の躊躇いで脚が止まったのを土人形は見逃さなかった。



振りかぶった剣がこちらを両断せんと目の前に迫り来る。俺はそれを咄嗟に握り締めた剣でパリィする。

土で出来た剣の耐久はそこまで高くないようで、銅で出来た剣で弾いた瞬間、刀身にヒビが入るのが見て取れた。

これに対してリーラライフさんもレベさんも特にお咎めなし。どうやら攻撃を弾くのはセーフらしい。ならまだ対処の余地は残されている。


訓練が始まってから口を開く事なく土人形の背後に付き、虎視眈々と攻める隙を伺っているレベさんを警戒しながら迫りくる土人形の攻撃を避け、時にパリィして回避行動を続ける。



「1分経過やね」



リーラライフさんが経過時間を読み上げた次の瞬間、――()()()()()()()()()()



「――――ッ!!?」


「あれ、さっきまでのシキ君相手ならいけると思ったんだけど避けちゃうんだ?」



咄嗟のバックステップでギリギリ回避に成功。影が落ちた地面は衝撃で砂塵が舞い上がり、人の形をした土塊が無惨に散乱していた。

まさか土人形ごと攻撃してくるとは……。レベさん温和そうな見た目とは裏腹に実は獰猛な戦士のようだ。

咄嗟の回避が間に合ったのも、おそらく敏捷を上げて移動速度が上昇したお陰だろう。上げていなければ今頃俺の身体もミンチになっていたと思うと背筋に寒いモノが走る。


砕けた土の剣を踏み締めたレベさんは小気味よく指を鳴らすと、砂塵が結集して人型を形成する。

さりげなくやってるけどこれ無詠唱の魔法になるのか?たしか土魔法とか言っていたが。


考察もそこそこに、立ち止まることなく移動を開始する。あの一瞬の跳躍から振り下ろされる大質量攻撃は、悔しいが今の俺の技量で防げそうにない。

俺より優れた戦闘技量を持つカシさんですら、たった二回攻撃を受けただけで刀が破損しているほどの威力だ。刀と剣だと武器の耐久値も差はあるだろうが、それでも初期装備だからそこまで期待出来る性能差ではないだろう。


復活した土人形が携えているのは剣ではなく槍に変化していた。土人形は投擲の構えを取ると身体を大きくしならせ、放たれた槍が高速で飛来するが、俺ではなくあらぬ方向へと飛んでいく。


投擲ミスか?と、通り過ぎていく槍に()()()()()()()()()()()()()()



「――――ガッ!!!??」


「戦闘中に余所見はダメだよ?ちゃんと相手を見ないと」



身体に直撃したソレが大鎚だと気づいた時には、既に俺の身体は力強い衝撃により弾き飛ばされていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ