入場制限
「申し訳ありません。当カジノのご利用には冒険者ランクがB以上である必要がある為、現在Cランクであるモリー様ではご入場する事が出来ません」
「聞いてねぇ!?え、中を見るだけでもダメですか!?」
「申し訳ありません。ご入場に関する規則に例外はなく、当カジノは【冒険者Bランク以上の冒険者のみ入場と利用が可能】となっております」
「そんなぁ……」
闘技場を離れ絢爛豪華で綺羅びやかな塗装の施された巨大な建築物に辿り着いた俺達は、入場口に立つ燕尾服を身に纏い犬耳を頭上に生やした金髪男性の従機士に入場を拒否されていた。
思い返せばランクアップする際にクーリアさんが『これでシキ様は冒険者ランクがBに昇格したので、ムルフィーム内にございます闘技場や球技場、カジノ等への参加が許可されます』って言ってたっけ。
闘技場の単語に意識を割かれていたので記憶が朧げになってしまっていた。
「利用できないものは仕方ない、ここは下がれモリー」
「ちくしょー……!」
入口で抗議した所で規則は変わることはない為、大人しく引き下がる事を提案するソーマ。
モリーはガックリと両肩を落としながら渋々といった様子でこちらへと戻ってきた。
「なんでカジノの利用に冒険者ランクが必要なんだよ!?」
「まあギャンブルっていう未知の体験をするある意味での冒険だからじゃねぇかな」
「LDDって自由がウリじゃないのかよ制限あるじゃん!」
「お前は自由と無秩序で意味を混同していないか?ある程度の制限があるから自由は保証されてるんだ」
「すまんソーマ難しい話オレよくわかんねぇ!」
「そこまで難しい話をした覚えはないのだが……」
闘技場はランク制限なしで入場が出来たけど、カジノは入場制限があるのはなぜだろうか。
世間ではIRが出来たことでギャンブル依存症の人間が増えたとかどうとか、他愛のない日常のニュースで見聞きする事がよくあるので、それから派生して特定の界隈から批判されるのを避ける為だったりするのだろうか。
年齢制限代わりのランク制限で青少年の健全さを保つのが狙い?まあ別に深く考える必要もないか。
「カジノが無理ならどうする?時間ギリギリになりそうだけどクエストやるか?」
「簡単な素材集めのクエストなら1個くらいこなせそうではあるが、時間を気にするのであればログアウトとチェックアウトを済ませて各自自宅に戻り、自前のVR機器で再ログインした方がいいだろう」
「オレまだ生エルフ見れてないんだけど!?超高画質のエルフを拝む為にLDDをこの業務用VR機器で始めたのに!?」
「ギルドの戦闘訓練でエルフ見たぞ俺」
「それ先に言おうぜシキ!!??」




