物忘れは脳疲労が原因
「キミは明日、何時ぐらいにログインする予定?」
少し身構えた俺だったが、レオレクスから発せられた問い掛けはログイン時間の確認であった。なんだ、てっきりケーラの姿が見えなくなったのを見計らって、「よし、抜け出そっか」みたいな提案してくるのかと思った。
明日……、明日か。明日は火曜だから部活はないし、特に予定もないから18時前後にはログイン出来るだろうか。ただ突発的に予定が入る可能性もある。なんらかの拍子にその場のノリと勢いに乗らないとは言い切れないので予定は未定、といった所だが。
「何もなければ18時くらい、ですかね」
「そっか。オレは明日、用事があるからログイン出来るのは22時以降か、最悪ログイン出来ないかもしれないんだよね。まさかここまで長引くなんて思ってもいなかったから、完全に予定が狂ったよ。とりあえず、明日クレイには修理を頼んだ『アイアンバックラー』と『ヒマンテス』を持ってこさせるように連絡するから、ログインしたらオレにメッセージを飛ばしてもらえるかい?」
……………………修理?修理ってなんだっけ?レオレクスに言われた単語から記憶を掘り起こす。
えーっと……クレイ……『アイアンバックラー』……――あっ、『フォルジュロン』での一件か。そういえばそんな事もあったな。
……いや待て、数時間前の事なのになんでこんな記憶が曖昧なんだ……?眠気にやられて記憶が曖昧になってるのだろうか。それとも気がついていないだけで、実はかなり精神的な疲労がピークだったりするのかもしれない。……うーん、とりあえずログアウトした後、寝る前に白湯でも飲んで精神的に落ち着かせてから布団に入るようにするか。
「わかりました」
「うん、じゃあそういう感じで」
そう言うとレオレクスは前に向き直り、仮眠室へと歩を進める。俺もそれに続いて仮眠室へと入ると、そこには仮眠と呼ぶには不釣り合いな、まるで高級ホテルに設置されているかのような品格が漂うシングルベッドが複数台配置されていた。
病院の大部屋のように配置されたベッドの頭上にはカーテンレールがあり、そこから真紅のカーテンが垂れ下がっている。おそらく使用する際はアレを閉じればいいのだろう。
現在仮眠室のベッドは全て空いているので、どこを使用しても問題はなさそうだ。ベッドに敷かれたシーツは折り目1つついておらず、枕や布団もふわっふわなのが見て取れる。ギルド内に設置されてる仮眠施設の簡易式ベッドとは天と地程の差があるぞ。




