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虚無の螺旋を抜けて

それから踊り場が一切存在しない螺旋階段を、俺達はただひたすらに昇り続けていく。代わり映えのしない半永久的に同じ光景が続いていくのに気が狂いそうになりつつも上がり続けて十数分、ようやく階段の終わりが見えてくる。


先頭を黙々と進んでいたケーラが階段の先に鎮座する木製の扉を開くと、その先には大量の木箱が積み上げられていた。たしか倉庫がどうのこうのとエーシが言っていたっけか。



「…………はぁ、やれやれようやく地上か。もう地下街には二度行きたくないね。行くのも戻るのも時間がかかりすぎるし、住人達は血気盛んな野蛮人しかいないときた」



腰に両手を当てて、やれやれといった具合に深い溜息と愚痴を零すレオレクス。闘技場に入り浸っているレオレクスが血気盛ん云々はブーメランな気がしなくもないが、まあ言わぬが花か。お口チャックしとこう。



「結局生きた『ポイズンマウス』と遭遇することはなかったな」


「うむ、問題なく駆逐出来ていたようでなによりだ!」



息切れする事なく平気な顔を浮かべるケーラとエーシが道中を振り返っていた。階段の途中でネズミの死骸が出てきこそすれど、生きた個体とは遭遇する事はなかったのは運が良かったのか逆に悪かったのか。虚無感すら覚えかけた螺旋階段を昇り続けてる間に『ポイズンマウス』とやらと戦闘が発生し、変化があった方がまだ気が紛れたのかもしれないがまあ過ぎた事だ。



「さて、そうしたら本部へと戻るとしよう。レオレクス、シキ。貴君らも本部まで同行してもらうぞ」


「え、地上に戻ったのならもう協力は済んだんじゃないのかい?」


「パトロの指示は地上への退却のみで、解放は指示されていない。申し訳ないが、本部にパトロが帰還して次の指令を仰ぐまで待機してもらう事になる。…………でないと私が貴君らを逃がした扱いで相応の処分が下される事になる……っ」



ボソッと小さく言葉を付け加えるケーラ。短時間の間に色々と紆余曲折があったが、元を辿ると俺達を釈放するには看過出来ない行為であったので、その償いという形での地下探索の協力を命令されたんだよな。それで協力して誠意を示してみせたが、途中でパトロと別れたので満足のいく結果になっているのか不明なままでは釈放出来ないと。



「えぇ、なんだいそれ。オレ達はいつ戻ってくるのかわからないのを待ってないといけないのかい?それにそろそろ眠気がきついんだけど」



ふわぁ、と小さな欠伸をするレオレクス。そういえば今何時だ?と、ステートウォッチで時刻を確認すると、23時に迫ろうとしていた。いつの間にかそんなに時間が経過していたのか。これは日付を跨ぐ可能性も有り得るのでは?俺もそろそろ寝ないと明日の学校に差し支える恐れがある。


VRゲームは寝ながらプレイするので肉体的な疲労はそこまででもないが、精神的な疲労は完全に脳を休ませないと回復しないしな。肉体は元気なのに気力が湧かずに動けないチグハグな状態は避けたい。

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