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もうひと踏ん張り

「不満はあるだろうが、今日の所は胸の内に抑えてもらいたい。とりあえず、地上への帰還を急ぐとしよう。リドー公から知り得た異界顕現の情報を早急に組織内で共有しておきたい。緊急時ゆえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、いいなエーシ?」


「りょ、了解した」



レオレクスをなだめつつ、エーシが余計な行動をしないよう釘を差したケーラを先頭に、改めて地上へと繋がる場所へと走り出す。それから暫く進み続けると、先を進むケーラは狭い路地裏を突き進んでいく。そして路地裏の突き当り、壁の中に埋め込まれた扉が現れる。



「エーシ、貴君が利用した通路はここで間違いはないな?」


「ああ、間違いない!俺はたしかにここから降りてきた!!」


「よし、ならば此処から地上へと帰還する。それとエーシ、念の為の確認なのだが、通路内で何かしらのモンスターと遭遇はあっただろうか?」


「『ポイズンマウス』の群れと遭遇したが、我が愛槍にて駆逐した!問題はない……ハズだ!」


「そうか。念の為、足元を警戒しておくとしよう。『ポイズンマウス』は厄介な麻痺効果を含む毒を持つ小型モンスターだ。素早い動きで我々を攪乱し、襲いかかってくる恐れがある。注意深く進もう」



ケーラは扉に手を掛け、開け開いて奥へと進む。来たときと同じように、通路の頭上からはうすぼんやりとした輝きが空間を照らしていた。やや心許ない光を頼りに、地面に転がるネズミのようなモンスターの死骸を踏まないように先へと歩みを進めると、眼前に現れたのは螺旋階段であった。内部構造が微妙に違うんだな、こっちはいきなり階段になるのか。



「……あぁそうか、もしかしなくても昇らないといけないヤツだね?」



螺旋階段の始まりを見て嫌そうな声音を零すレオレクス。降りる時は目眩を覚えるレベルで地下へ地下へと降り続けてきたので、今度はその逆で地上へとぐるぐると目を回しながら上昇していかなければならないのである。ファストトラベル欲しいなぁ、それか昇降機みたいなのでもあれば。ゲームとはいえ、長時間階段の昇り降りはしんどいものがある。



「もうひと踏ん張りだ。気力不足であれば『ヒョーロウ』を持ち合わせている、必要ならば渡そう」


「いや、うん、前も断りを入れたけどオレ、その警戒色丸出しの食べ物はいらないんだよね。気持ちだけもらっておくよ」


「そ、そうか……」



布の包を開いて取り出したヒョーロウの見た目は、リアルにおいてはまず食べる事はないであろうどぎついパープルとシアンの色が混じっており、今後何回見ても慣れそうにないのを予感させる。やっぱ食用アイテムに使っていい配色じゃないだろパープルとシアンって。

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