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年長者、敬うべし

「あんだとジジィ~!!?おれの事をボアっつったかぁ!?」


「なんでぇボアのクセに耳が遠いのかい!?一度で聞き取れねぇ腐った耳も切り落としてよさそうだなぁ!?」


「……おうおうおう!いいぜ上等だジジィ!!遺言あんなら聞いちゃるけんのぉ!?」


「ワシぁ長い事生きてるが、ボアが人の言語が理解出来るなんて聞いた事ねぇなぁ!?」


「~~ッ!!彼岸に片脚突っ込んだぞジジィ!!」



売り言葉に買い言葉で完全にヒートアップしたスキンヘッドの男は背後に手を回し、T字のような形状の武器……なんだっけな、ああ思い出した、トンファーを取り出した。それを合図と見たドワーフの男も腰に差した剣を鞘から引き抜いた。


完全にどちらかが動かなくなるまでやる流れに発展しそうだ。まあこの騒動に周囲の住人達の注目が集まっているので、俺達が横を通り抜ける分には好都合である。


前を行くケーラはその喧騒を横目で気に掛けつつも構わず先を進む。レオレクスも横目で流し見する程度であまり興味はないようだ。まあ言動が三下極まった感じだしな。でもドワーフの男の方は、言動こそアレだが腰に携えた鞘は宝石が埋め込まれ、剣はよく手入れをされているのかまるで鏡のように光沢のある美しさを――



「――――よさないか君!!」



と、ドワーフの男の装備を注視していたらとてもよく通る大声が喧騒を一瞬静まり返らせた。



「なんだぁ!?いきなりしゃしゃり出てきてどこのモンじゃおどりゃぁ!?」



いつの間にやら両者の間に割って入ったのは、俺の後ろを追走していたはずのエーシであった。



「ッ!?……なぜわざわざ首を突っ込む……!?」



予期せぬ事態にケーラが急ブレーキを掛けて立ち止まる。うーん、いやまあ治安維持部隊の活動としてはエーシの行動は正しいんだろうけど、あくまで地上限定の話だとは思うのだが……。地下街では至る所で争いが起きているし、取り締まるのであれば目に映るものすべてに対処する事になる。ある程度は目を瞑らなければこちらが疲弊してしまうが、どうもエーシは違うらしい。



「俺は治安維持部隊『ピースキーパー』第四部隊隊長エーシ!」


「治安維持部隊だぁ!!??上のモンがなんで地下にいやがんでぇ!?」


「色々理由はあるがそんなことよりも俺は君の御老公に対する目に余る言動を見過ごせなかった!!だからこうして君の前に立ち塞がる事にした!!」


「その色々の理由が聞きてぇんだが!?」



槍を構えてスキンヘッドの男と対峙するエーシを見たケーラは、右手で顔を覆い嘆くように天を仰いだ。エーシのよく通る大声を耳にした周囲の住人達の視線も一点に注がれる。完全に注目の的になってしまった。すごいたった一手で状況がひっくり返されたぞ。なんで味方に盤面返されるんだよ……。

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