王家に連なる者
「……あー、ナルホドね、そういう感じなんだ」
「……治安維持部隊の隊長になるにはそれなりの戦闘能力を求められるのもそういった背景がある。……とはいえ、戦闘能力に重きを置くと、エーシのような者が抜擢されたりするという側面もある。あまり人の事を言えた義理ではないがな」
「……それ、隊長も隊員達と同じ様にヘルメットを被るとかじゃダメなんですか?」
「……そういった提案も過去にはあったそうだ。だが前任の総隊長の理念に基づき、その提案は却下されている。『顔を隠して素性のよくわからない者達に暴漢から助けられ、心の奥底から安心する市民はいないだろう。我々が守るのは市民であって個々人の素顔ではない』とかなんとか。まあ勿論反対意見もあり、折衷案で隊長だけ素顔を晒す事になったそうだ」
「……へー、……うん?でもいまの総隊長とやらは顔隠してないかい?」
レオレクスと同じく思わず納得しかけたが、思い返せばパトロは全身を漆黒のロボみたいな装備で素顔を含めて覆い隠している。どうも前任の総隊長とやらの理念には相反しているようだが。
「……あれは【機殻鎧装】といって、治安維持とは関係のない特殊任務などで使用するので例外だ。それに前任の総隊長とパトロは互いに反りが合わなくて、顔を合わせてはよくいがみ合っていた。パトロは反対派筆頭であったし、ささやかな抵抗でもあるのだろう。実際のところ、前任の総隊長は逆恨みに遭い命を落としているからな」
「……えぇ、そんな大層立派な理念掲げておいて当人死んでるんだ」
「……この仕事は常に死と隣り合わせだ、そう珍しい話でもない。……さて、少々込み入った話になったが、立ち去ったようだ」
気がつけば『ティタンズ』の巨人族達はいつの間にか遠く離れた位置を集団で移動していた。この場に残っているのは、俺達3人とフェニア、そして少し離れた位置で槍を握り締めてやや警戒態勢をとっているエーシだけとなった。
「……では先程説明したように、私が『黒隠糸』を脱いで素顔を晒す。私の顔を見ればエーシも察するだろう。察しなかった場合は……まあその時次第か。彼女に我々の存在を知覚はされてはいるが、素性までは明らかにはなっていない筈だ。貴君らは『黒隠糸』の認識阻害を解除せず、控えていたまえ」
「……わかりました」
「……ハイハイ」
俺とレオレクスの返事を聞き届けたケーラはフェニアの居る方へと歩き出し、外套を脱ぎながら近づいていく。
「おやおやぁ?たった1人かい?アタイは3人いると思ったんだがねぇ。それとも顔を出せない理由でもあるのかい?闇討ち狙いってんなら、アタイは容赦しないよ?」
「ッ!ケーラッ!?なぜ君がここに!?」
「うん?なんだい知り合いかいアンタ達。……いや?アンタの顔、見覚えがあるね。ああ、そうかい!アンタら『ピースキーパー』だね?」
「お察しの通り、我々は治安維持部隊『ピースキーパー』所属の者だ。私は第二部隊隊長ケーラ・ケーニッヒ」
名乗りを上げたケーラに対して、フェニアが眉を顰める。なんだ?何か気に触ったのか?




