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到達深度100m

「――うわ、死屍累々。これ死体放置して毒とか大丈夫なのかい?」



ステータスアップが完了してすぐ、通路入口からレオレクスの声が聞こえた。



「テトロドバッドの死体は土竜(どりゅう)グラモの好物だ。放置しても問題はない」


「グラモ?」


「噂をすればなんとやら、か。アレだ」



ケーラがテトロドバッドの大量の遺体が転がっている場所を指し示すと、いつのまにやら地面に穴凹が大量に出来ており、そこから大きな前足と不釣り合いな程に小さな顔を持つ小動物が顔を覗かせていた。


グラモ、というかあのビジュアルは子供の頃に生物図鑑で見たことあるな、わりとそのまんま()()()である。ただモグラにしてはサイズがそこそこ大きい。日本で見かけるモグラは子猫より小さいくらいのサイズだが、グラモとやらは成猫くらいのサイズはありそうだ。



「土竜グラモ。あれは別名【大地の掃除屋】とも呼ばれる小動物のような見た目に反して、毒性のある獲物であろうと構わず餌にする獰猛なモンスターだ。いま姿を見せている幼体であれば我々に襲い掛かる事はないが、成体は縄張り意識が強いので発見されたら面倒な事になる」


『幼体がいるということは、すぐ近くに成体がいる可能性も高いわね。急いで通路を抜けましょう』



それから2人を引き連れたパトロと合流し、俺達は隠し通路の奥へ奥へと進んでいく。通路内でモンスターと遭遇することはなく、暫く突き進むと隠し通路の入口と同じように破壊された扉の残骸が散らばっている光景が目に飛び込んできた。おそらく隊員を抱えて逃げてきたミサさんが、両手が使えないのでやむを得ずにぶっ壊したモノと思われる。



「わーお、ボロボロだ」


『…………やっぱり修繕費を要求した方が……?……いや、隊員の命の恩人にそんな真似は…………っ、まあいいでしょう。――さあ、ここを抜けたらジオフロンティアに入るわ。各自、警戒を怠らないように』



前を行くパトロの後に続いて扉が嵌め込まれていたであろう枠をくぐり抜けると、視界に飛び込んできたのは地上と同じような路地裏であった。明滅を繰り返す古びたボロボロの街灯が等間隔で並んでおり、一部は騒動に巻き込まれでもしたのか根元から完全にへし折れてしまっている。


これが()()街?と頭上に視線を向けると、ここは地上ではない事を証明するかの如く雲も月もなく、代わりに目に飛び込んできたのは…………なんだあれ?まるで()()()()()()()()()()()が浮かんでおり、そこから左右に伸びる肋骨のような白く発光するアーチが地面に向かって伸びていた。


生物の骨……なのか?地下の底まで辿り着くまでに長い事歩いたわけだが、それを考慮するとなるとあの骨が生物由来なのだとしたら、一体どれだけ巨大なモンスターだというのか。スケール感で言えば特撮作品に登場する巨大怪獣を想起させるサイズだぞあの骨。

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