五の煌き、閃き輝く
「……あー、そういう面倒な仕様あるんだっけこのゲーム。じゃあ串刺しに変更だ」
「レオレクス、テトロドバッドの血は猛毒だ。無闇に傷を付けて体液を撒き散らすのは得策じゃない」
「ええ?面倒だなぁ。じゃあもういいや、テトロドバッドの弱点は?」
「雷属性の魔法が最も有効だ。低級の雷属性魔法でも直撃すれば即死する」
『次点で水属性魔法ね。テトロドバッドは水に触れると飛行が出来なくなるの。上級魔法の『アクアフラッド』が使えるなら手軽に一掃出来るのだけれど、あなた達、使える魔法は?』
「雷属性も水属性魔法も未修得。切断系の武器がダメなら、今のオレの使える手札で有効打になる攻撃手段はないよ」
「『ライトニング』なら使えます」
ランスロッドに魔導刻印で刻まれた『フレイム』とは別に『ライトニング』があるが、使えますとは言ったけど、一度も発動してないのでやや不安ではある。まあ穂先から飛び出すイメージで間違ってないだろうから、特に難しいことはないだろうけど。
『それは重畳。なら前衛は私とあなたで。ケーラ達は後衛で取りこぼしの対応を。出来る限りテトロドバッドに切創を作らず、体液が撒き散らないようにしてもらえるかしら?』
「わかりました」
「了解」
「ハイハイ」
各自の返事を聞き届けたパトロは自身の左腰部分に吊り下げられた筒状の物体を右手で掴み取り、なにやら操作して地面に向けて軽く薙ぎ払うと、筒の先端から青白い光が飛び出した。飛び出した光は刃のような形状を保ったままバチバチと帯電している。また随分とSFチックな装備が飛び出したな。
「うわっ、なんだいそれ?」
『私が開発中の新しい装備よ。仮称になるけど、名は『五煌閃輝』。分類としては魔法剣に該当するわ。出力を調整することで様々な属性が付与された刀身を展開する事が可能よ。まだまだ改良の余地があるので完成には程遠いのだけれど、次世代の支給装備として量産化の目処が立ち次第隊員へ配備する予定なの』
「へー、じゃあ完成してそれから入隊すれば貰えるって事かい?」
『内部に使用している鉱石が希少なものばかりだから、一般隊員への支給は当分先になる見込みだけれど、そのつもりよ』
「ふぅん」
どうやら近未来的な電光剣はパトロが開発しているようだ。SF作品に出てきてもおかしくないレベルのオーバーテクノロジーだが、闘技場で見かけた変形武器と似たようなものだろうか。ちょっと欲しくなるな。




