言動と行動は例外なくすべて端末に記録されている
「あれ、やっぱり毒入ってた?」
「毒じゃない、かと。急いで食べて喉に詰まらせた、みたいな感じです」
「いや、毒だよそれ。現実ならともかく、仮想現実なのに咳き込みが起きるなんておかしくないかい?」
クッキーをかじりながらレオレクスが毒々しい色の『ヒョーロウ』に怪訝な視線を飛ばす。うーん、体力が減少してデバフが入ったから毒と言えば毒になるのかもしれないが、最初の1つ目と2つ目を食べた時は体力回復とバフが発生したから毒だと言い切るには判断に困るところ。
『ヒョーロウ』を勧めたケーラを見ると、彼女の視線は先程部下から渡されたバインダーに落ちていた。
「ふむ。貴君は頼まれたら断れず、他人の言動を信じやすく、単純な性格なのは間違いない、か。睡醒者としての覚醒日数も浅く、まだ環境の変化に対して不慣れな部分も見て取れる。悪意で私の公務の邪魔立てをしたというわけではなさそうだな」
それから視線を此方に向け直したケーラが言葉を零す。あれ、もしかして試されてたのか?
先程部屋へと入って来た部下が解析結果がどうとか言ってたけど、おそらくあのバインダーには俺達の行動記録を参照にして導き出された結論が纏められているのだろう。というか解析って性格診断テスト的な感じなのか。この人の行動パターンはこうだったのでこんな人物ですよ、みたいな?
「一方でレオレクス、貴君は独断的で結論を決めつけたがる癖があるようだな。覚醒時期は二ヶ月前の第一波である事から、突然の環境の変化によるものではないな。生来のものか」
「……、えーっと?唐突にディスるのやめてもらえるかい?」
「ふむ?すまない、何か気に障る発言だったか?不快が顔に現れているようだが」
「気に障るどころか逆鱗掠めたようなものなんだよね?ちょっと見せてよその解析結果、オレの個人情報が網羅されてるならオレにも見る権利がある筈だけど?」
「いいだろう、許可する」
ケーラはバインダーから硬質なプレートを1枚取り出すとレオレクスへと手渡した。すごいな解析通りに独断的で結論を決めつけたがってる、かなり精度高いなオイ。
俺も解析結果は気になる所だが、逆にそこまで高精度だと見たくもない事実陳列罪が列挙されていて悶絶する可能性があるので不安が勝るな……。




