料理は見た目も重要です
LDDではプレイヤーがゲーム開始時に選べる種族は人族、亜人族、機人族の三種族で大まかにわけられている。
そして亜人族から更にエルフ、巨人、ドワーフ、獣人、小人、鳥人、魚人に分類されるのだが、鬼人族はおそらくこの中に含まれるのだろう。ルナティスの西端の小さな離島に住んでいる種族。離島で鬼とくれば鬼ヶ島からの桃太郎を連想するが、案外ケーラの故郷の地名が鬼ヶ島だったりするかもしれない。……流石にそれはないか。
などと連想ゲームで思考をこね回していると、不意に扉を数回叩く音が響いた。
「来たか」
そう言うとケーラはソファから立ち上がり、出入口まで進むと内部にも同様に配置されているタッチパネルに触れ、扉が横にスライドして開いた。
「おまたせしました。活動記録の解析結果と軽食セットです」
扉の先にはフルフェイスのヘルメットを装着した二人組が立っていた。1人はバインダーのようなモノを手に持ち、もう1人はトレイを抱えてその上にはパンやクッキー、ケーキなどの色とりどりの菓子が乗っかっていた。
……いや待て、なんかドぎつい色の団子みたいなのがあるんだけど、あれ大丈夫か?毒とか入ってないか?
「ご苦労、そこに置いてくれ給え」
「ハッ」
指示を受けた部下がテーブルの上へと軽食の皿を載せていく。どうやらどの軽食も出来たてなのか、香ばしい匂いが室内に充満し始める。
「下がっていいぞ」
「承知しました」
配膳を終えた二人組は敬礼をして部屋から退出していった。
「とりあえず適当につまんでくれ給え。私はこの解析結果を確認して、貴君らをこのまま帰すか否かの判断を下す」
「ねぇ、それ毒とか入ってたりしないかい?」
と、レオレクスが俺と同じく不安に思ったのか、どぎついパープルとシアンの色が点々としている丸い形状の団子のようなものを指差しながらケーラへと尋ねる。
「我々をなんだと思っているんだ……。命の略奪が目的であるならバングルを装着して行動に制限をかけた時点でとっくに手を掛けている。これ以上我々に対して侮辱的発言を繰り返すようなら、別件で勾留することになるが?」
「いやいや、本当に入ってないの?見た目が明らかに毒々しい色というか、ものすごく人体に悪そうな濃い色してるんだけど?」
「あのー、すいません。俺もそれ少し警戒してます。なんですかその食べ物?」
「ンー?ワタシの地元でもたまにしか見ないカラーしてマース」
クレイの地元ではたまに見かけるレベルなのか。……え、この毒みたいな色の食べ物を?推定大金持ちっぽいのに?
「……、私の地元でよく食されている軽食の1つなのだが、『ヒョーロウ』という疲労回復効果のある菓子だ。どんな状況下でも手軽に食べられるようにデザインされた軽食なのだが、そんなに不安視するのであれば私が頂こう。無論、毒など入っていなどいない」
ケーラは『ヒョーロウ』をひとつまみすると口へと放り込み、数回咀嚼して飲み込んでみせる。
「……うん、味も問題ない。どうだ?これでもまだ疑問を抱くか?」
「うーん、見た目が食欲を唆らないんだよね。パープルは百歩譲るとして、シアンはおおよそ食材に使っていい色じゃないんだよ。オレはいらないかな、他のをいただくよ」
「Sorry、ワタシはそもそも夜はDinner以外口にしまセン」
「そ、そうか……」
立て続けに断られたせいか、眉が若干下がるケーラ。
「では貴君は如何だろうか?」
そして若干期待を込めたような眼差しが此方へと向けられる。
……う、うーん、正直あまり好んで食べたい見た目ではないが、まあゲームだし人体に悪影響が及ぶことはないだろう。グルメビルドアップでステータスになんらかの影響が及ぶメリットを考慮するなら食べるのがアドかな。
2025/11/13
総合評価1000越えました!ありがとうございます!
次は5000を目標に精進します!!
これからもどうぞよろしくお願い致します!!




