建前が大事なお仕事です
それから程なくしてケーラの拘束がリーラライフさんの言った通り俺達より早く解ける。自由を取り戻したケーラは背後に手を回して銀色のバングルを取り出すと、それを拘束魔法にかけられたままの俺とレオレクスの腕に装着させた。
「……なんだい、これ?」
「暴動者の鎮圧を目的に開発された特殊なバングルだ。装着者の動きと魔力に大幅な制限を掛ける効果がある」
胡乱な目でバンクルを見るレオレクスにケーラが淡々と答える。
「貴君らが姉君と面識があるのは把握したが、それでも我々治安維持部隊へ攻撃を仕掛けた事実は変わらない。よって無罪放免とはいかないので、貴君らは一度本部まで連行させてもらう。そのバングルの解除用の鍵は本部で管理をしているから、そのままでいたくないのであれば大人しく従うことだ」
バンクルを装備された途端、スタミナゲージと魔力ゲージが極端に減少して身体もこころなしか重くなるのを感じる。スタミナと魔力はどちらも1割程度まで大幅減少しており、どうやら強力なデバフ装備らしい。
ケーラは奇抜な姿勢になっていたクレイとゴーニュに近づき、クレイにのみ同じバングルを掛けて抱き抱えて此方を見る。
「此方の彼女も参考人として連行する。従機士Type-Tは危険性はないと判断してこの場に放置する」
「あれ、クレイはキミが手荒な真似して叩き落としたのに、まるで違反者みたいな扱いするんだね?」
「……っ」
痛い所を突かれた、といった感じの表情である。まあ俺の見てた範囲だとクレイは攻撃とかしてないもんな。それじゃあ攻撃したという言い分が通らない。
「……少々手荒な対応をした。治療と謝礼を与える為に本部まで運ぶ必要がある」
「何処までいってもお役所仕事って事だね。――ん?解けた」
だいぶ苦しい言い訳を述べるケーラに対し、呆れ混じりに軽く鼻を鳴らしたレオレクスの拘束が解かれる。一方の俺は未だに拘束が解けない。おそらくステータスの精神力を参考にデバフ時間が決まっているのだろうが、なんか今回はだいぶ長いな。
前回くらった時は精神力が500あるらしいミサさん含めて全員がほぼ同じ時間で解除されたんだが、そうなるとこれは発動した側のステータスの問題なのか?
……となると、やっぱりリーラライフさんって実はやべー人なのでは?とかなんとか考察していると、ようやく俺の拘束も解かれて身動きが可能になる。
「……まあ今回はリーラライフの顔を立てるみたいで癪だけど、痛み分けってコトで受け入れるよ。それにこんな枷をつけられていたら、まともに遊べないからね。美味しいお茶菓子くらいは出してくれるんだよね?」
「…………、善処しよう。ではこれより本部へと案内する。貴君らが万が一脱走しないように後方から道順を指示する。案内に従わない場合は氷漬けにして地面を転がすのもやむを得ないと思ってくれたまえ」
【作者の近況報告】
2025/11/9
累計PV20万突破しました!いつも読んで頂きありがとうございます!
ブクマ数も気がつけば250件越えて、総合評価も4桁の1000ptが見えてきました。
今年中に到達出来たらいいなと思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。
※あと前話、少し加筆しました(諸事情あって文章量少なくなってしまったので)




