素材が売ってないなら自分で集めればいいじゃない。なお乱数は考慮しないものとする
「そう、ならクレイが自力で修理用の素材集めに行けば解決だね。別に購入するだけが入手手段じゃないだろう?」
素材が売ってないなら自力で入手すればいいというのはすぐ思い浮かぶ策である。高まった需要に対して供給が追いついていないのであれば、自らが供給する側に回れば解決するというわけだ。
「リペア用の素材ならサンセット、ルナティスにあるすべての洞窟の鉱脈を掘り当ててゲット出来た筈デス。でもどこの洞窟も到達するまでバトルたくさんあります。ワタシ、バトル苦手でいつもゴーニュとヴィヴィに任せきりでバトル出来まセン。それと今はヴィヴィがいないのでゴーニュだけだと戦闘不安定デス」
「その従機士、単騎だと戦えないんだ?」
「ゴーニュはバトルでのメインはサポーターデス。ヴィヴィがメインアタッカーなので、サポーターだけだと機能しまセン」
「戦闘が出来ないというわけではありませんが、あくまで私の役割は支援です。なので純粋な戦闘能力ではヴィヴィアンと比較すると数段階劣ります」
どこか申し訳なさそうな表情を浮かべながら、ゴーニュはおずおずと答える。巨人族なので見た目はマッシブだしなんか強そうな雰囲気をまとってはいるが、その役割はサポーターなのか。今は不在のヴィヴィアンとやらがメインアタッカーらしいが、一体どんな姿なのやら。
「ふぅん、なら新しく契約すれば?確かカジノの景品交換所とかで新しい従機士と契約出来たよね?」
「Umm……それが出来ればクローしまセーン。カジノでの3体目以降の契約、1体で1000万G必要デス」
「なんだ、それくらいなら課金すれば解決じゃないか。クレイの財力なら10万程度、安い買物でしょ」
10万円の課金が安いという金銭感覚はちょっと理解出来ないが、それが苦にならない程にリアルの実家が太いらしいクレイ。しかしその表情はどこか浮かない様子。
「確かにリーズナブルデスが、今月はもう上限に引っかかってマース。契約するにはあと400万Gくらいで全然足りまセン」
「ああ、課金は制限あるんだっけ」
「YES。ティーンは1万円がリミットデース」
「そうなると新契約の案はダメだね」
頬杖をついて考え込むレオレクス。2人の会話に割り込むことなく傍観を決め込んでいたのだが、正直そこまで急ぐ案件でもないし、ここはシンプルに『フォルジュロン』の店員に修理をお願いすればいいんじゃないのだろうか?もしくは俺やレオレクスや俺が代わりに戦闘するとか。
無為に時間が過ぎていく事に少々思う所があったので、会話が途切れているタイミングで割り込んでみる。
「あの、この店で修理依頼を出せば解決するのでは……?」
「No!それはワタシのSmithとしてのプライドが許しまセーン!!リペアは自分のハンドでやるものデース!!」
しかし、床で正座しているクレイから猛烈な勢いで反論が飛ぶ。自分で修理する事に対して何か譲れないものがあるらしい。
「な、なら自分達で調達に行くとか?」
「……オレ、ゲームの採取作業大嫌いなんだよね。乱数に振り回されたくない」
レオレクスはレオレクスで乱数に何か嫌な思い出があるのか、まるで苦虫を噛み潰したような表情で怨嗟の声を零した。ああ、だから自分から「手伝おうか?」のような提案が一切なかったのか。
いやまあレオレクスの性格的に救いの手を差し伸べるタイプではないとは薄々思ってはいたけども、それとは別の理由もあったのか。
【LDDにおける課金要素】
LDDではゲーム内通過であるGを10000G=100円で購入する事が可能ですが、課金は年齢で制限が課せられており、18歳未満は月額10000円以上の課金が法律で禁止されています。
18歳以上は月額課金額に制限はありませんが、年間総額課金額が100万円を越えた場合は課金の度に警告画面が出るようになります。
サービス開始して二ヶ月経過した現在、無課金者と課金者の比率は9:1であり、二桁万円以上課金しているいわゆる廃課金層は全体の0.1%存在しています。
廃課金層の大半は従機士の新契約やカスタムパーツの購入に費やしており、中にはフルカスタム従機士を作成するのに一般企業の月給並の課金を費やすプレイヤーも。




