今の装備を下取りに出すと新武器は安く買える
しれっとレオレクスに気づかなかったフリして通り過ぎようとしたけど普通に見つかってしまったので、周囲のプレイヤーからのヒソヒソ話を耳にしながらギルドから離れる。
「なんかさっきのプレイヤーの手甲めちゃくちゃ派手な色してたな」
「極彩色っていうんだっけ?」
てっきりレオレクスの事かと思いきや俺の事を言われてるな。1日経過したから自然放置で『恢白』に魔力が貯蔵されていて、色が純白から極彩色に変化しているからな。……正直街中だと魔力充填されてる状態なのだいぶ目立つなこれ、外しておいた方がいいだろうか。
でも『恢白』外すと耐久値めちゃくちゃ低下するからなぁと頭を悩ませていると、隣を歩くレオレクスが物珍しそうな目で『恢白』を指し示す。
「それ、昨日と同じ装備だけどカラーリングが変化してるね。それにその色、見覚えがあるよ。確かリペアドランだったかな?鮮やかな極彩色のドラゴン。その装備の色はほんのりと薄いけれど極彩色。もしかして何か関係あるのかい?」
「そうですね、リペアドランの素材で作った装備です」
「ふぅん?超特殊モンスターであるリペアドランの素材を、何故キミが所持してなおかつ防具まで作れているのかは興味が尽きないが、それよりもわざわざ色が変化するって事は何かしらのギミックがあると見た。ああ、教えなくていいよ。オレも昨日手の内は明かさなかったからね、考察するのは嫌いじゃないんだ」
それからお互い無言のまま歩き続けて、ブロンズメイルの修理を依頼していた『フォルジュロン』へと到着。
店先に出された看板には『装備入荷しました!』の看板の上から『入荷装備、完売しました!』の文字が書かれた板が吊り下げられていた。どうやら客の殺到具合には昨日から変化がないらしい。
これまた店内スッカラカンのままだろうな、修理を選んで正解だったようだ。まあ一日二日じゃこの経済的な大混乱は収まったりしないだろう。隣接のアイテム屋である『ディパート』の方も同じような感じだし。
しかしその予想は大きく外れる事となる。入口の扉を開けて中に入るとまばらながら数人のプレイヤーと、木箱や樽に詰め込まれた武器や防具の山が伽藍洞になっていた店内のスペースを埋めていた。
どうやら夕方に入荷した装備はすべて売れてしまったようだが、入れ替えで出したであろう買い取った武器や防具はまだ店頭に残っていたようだ。
……いや、前回見た時よりも木箱や樽の数が多いからこれもしかして普段より多く出してるのか?普段の数がどんなもんか知らないのでなんともいえないけど、空きスペースビッシリ埋めるくらい木箱や樽で埋め尽くすのはそうそうなくないか?
苦肉の策か、それとも新しい武器を買うという事で不要な武器を他のプレイヤーが売っていくからその影響もあるか。意外と掘り出し物があるかもしれない。前回謎のユニークっぽい装備を見つけたりしたからな。ちょっと見てみよう。
 




