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嵐のように去りぬ

過去を振り返りつつ、今日の試合を振り返りながら気がついた点をメモしていく。時間いっぱいまでメモを記入していると、明星先輩から貰ったメモ帳の最後のページまで書ききってしまった。



「――時間よ。そこまで」



と、同時にアリス部長から終了の合図が出る。集中していると時間が過ぎるのはあっという間だな。とりあえずメモ帳がなくなったので、部活終わりに買って帰る予定を脳内に書き込んでおく。



「今日は月曜日、職員会議の日で安芸先生は来れないので、本日の部活動はこれで終了します。次は明後日水曜日の放課後です。それと今週末金曜日の部活動だけれど、校内に設置されている全PCのセキュリティ更新作業が入るので休みになるわ。各自、自主練を怠らないように」



「「「ハイ!!」」」



「では解散。お疲れ様でした」



「「「お疲れ様でした!!」」」



アリス部長の締めの挨拶を返した部員達はそれぞれ帰路につく。俺も使い終わった座席をぱぱっと綺麗に整頓してPCの電源を落とす。メモ帳と筆記具をリュックに仕舞って帰る準備をしていると、不意に肩を叩かれる。



「シラミネっち!メンバー選出!!やったね!!」



部活中は大人しくしていた明星先輩が満面の笑みを浮かべ、サムズアップをキメながら褒めてくる。



「ありがとうございます。まさか呼ばれるとは思ってなくて完全に油断してましたけど……」


「えー?なんでなんでー?シラミネっちは部の中でもかなりデキる子なのに?まあ()()()()()()()()()()()()()()()()()()感じる所はあるけどー、それでも選ばれるのは全然おかしくなんてないよー」


「考えすぎて遅れてる、ですか?」


「そ!なんて言ったらいいのかなぁ、歩く時ってべつに『よし!右足動かして前に進むぞ!』とか考えずに足が反射的に前に出るデショ?でもシラミネっちの場合は戦闘中にそのワンクッションが入ってる的な?相手の動きを観察しすぎて反射に割ける割合が低下してるみたいな?……うーんごめん!あたしあんま説明上手じゃないや!!まあ()()()()()()()()()()()()()ってこと!!とりあえずグミ食べる?あげるね!!」


「あ、ハイ。ありがとうございます」



スカートのポケットから取り出した小別に包装されたグミを明星先輩から受け取る。ほんのりと温かいのマジで反応に困る……!――が、ポーカーフェイスだポーカーフェイス。……悟られるな……感情を圧し殺すんだ……ッ。冷静を装いつつ、袋を開けてグミを口の中に放り込む。ソーダ味だった。



「ごちそうさまです」


「どういたしまして!じゃあまたネ!アリスパイセン!ハヤテパイセン!ほかみんな!!グッバイ!!」



そうしてスマホを握り締めた明星先輩は嵐のように去っていった。どうも明星先輩、登下校にリュックやカバンの類いは一切使わないらしい。


教科書とか全部置き勉で、授業で出された課題とかも休み時間や昼休みにやってしまうんだと以前自分語りをしてくれた。実際にやってのけるんだからすごいバイタリティだよなぁ、俺じゃとてもじゃないけど真似出来ないな。




それから学校近くのコンビニで新しいメモ帳を購入し、電車に揺られて歩いて我が家へ帰宅。鍵を開けて玄関に入ると靴はなし。両親は夜まで仕事って言ってたし、未來のヤツはおそらく部活だろう。


洗面台で手洗いうがいを済ませ、リュックの中から空になった弁当箱を取り出してササッと洗浄。風呂の自動給湯を入れて自室へ向かい、制服から部屋着に着替える。


……うーん、なんか少し眠くなったので、風呂の準備が整うまでちょっと仮眠するか。スマホのアラームを30分セットして、俺はベッドに寝転び瞼を閉じるのだった。

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