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ゲームは1日1時間

それから1時間、部員同士で対戦を繰り返して本日の実践トレーニングは終了。日本全国のeスポーツ部はひとつの例外なく、()()のゲームプレイ可能時間は1日1時間までの制限があり、これは本業である学業に支障が出ない為の取り決めらしい。


学校内のPCはすべてタイマーがセットされており、時間になるとゲームが強制的に終了する仕組みになっている。なんでもeスポーツ黎明期は様々な反発の声があり、今も否定的な声を上げ続ける団体を納得させるための建前なんだとか。


そう、建前なのである。()()()()()()()()()()()。言い換えるなら()()()()()()という事だ。


とはいえその無制限を惜しみなく使う学校もあれば、ウチの学校みたいに第二第四土曜日の午前中のみ練習する学校だったり、その指導方針は学校により千差万別。


我が校の部活動方針は「学業優先。部活は二の次。成績不振者はいかなる理由があっても出場禁止」なので、そこまで重きは置いてはいないが、力を入れていないというわけではない。量より質を重視しているのである。


数年前まではゆる部だったらしいのだが、去年赴任して早々にウチのeスポーツ部を全国へと導いた顧問の安芸(あき)先生による【質重視の指導】への方針転換が見事にハマり、全国ベスト16という結果を叩き出したのでその効果は実証済。


まあそもそもeスポーツって頭を使うから地頭力を問われるというか、理解力を問われるというか、常に提示され続ける問題をひとつひとつ適切に処理していかなれけば即敗北に繋がる。


なのでスポーツという名称がついてはいるけど、やってることはチェスとか将棋みたいな頭脳戦と似たようなものだと思うんだよな個人的に。激戦の後とかめちゃくちゃ頭痛くなったりするし、実際グロッキーになってたしな天堂。


少し離れた座席に座っている天堂を横目に見る。1時間の練習が終わった疲労もあるのか、やや顔が青ざめている。入部当初よりは体力は若干、ほんのりとだが増えてはいそうだが、それでも1が5に増えた程度というか……。


今日の終盤にマッチングしたけど、3本勝負で速攻で1本目を取られたが、2本目は時間切れで引き分けて、3本目はあっさりと勝てた。


継戦能力にわりと致命的な欠陥を抱えているというか、ダムの放水に匹敵する出力を備えているのに、そのダムに溜まっている水がペットボトル1本分しかないみたいな感じだ。まあそんなすぐに体力はつくものではないので、地道に上がるように鍛錬あるのみでしかないのだが。



「はい、じゃあ残り30分は感想戦を各自行うように。自身の良かった動き、悪かった動き。相手の参考になりそうなムーブやコンボをよく確認して吸収し、次に活かすのよ」



アリス部長の指示が飛ぶ。ここからは感想戦、振り返りである。1時間の間に行った対戦のリプレイ動画を見て自身の動きの研究をしたり、相手の動きを検討する時間だ。なぜ勝てたのか、どの動きがダメだったのか、といった勝因と敗因を見つけ、次の対戦に活かす為の学びを深める大事な作業だ。人によってはノートに書き記したりメモにして残したりする。


俺は入部当初はメモを取っていなかったが、それを見た隣の明星先輩に



「シラミネっちシラミネっち!メモ取った方が頭に残るよ!!オススメ!!あ、メモ帳ない?ダイジョーブ!あたし予備あるからあげるね!!あとグミ!!糖分補給もマジ大事!!七乃歌パイセンもゆってた!!ハイ!!」



と、なんか可愛らしい感じのデフォルメキャラの描かれた、手のひらサイズのメモ帳を押し付けられたので断りきれずに受け取り、流れでメモを記すようになった。


明星先輩は他の一年にも渡していたが、天堂は断ってたっけか。


「自前のノートがあるので結構です」


って言いながらA3サイズのノート取り出したのを覚えている。まあ明星先輩は拒否されても普通に何食わぬ顔で押し付けたけど。明星先輩、()()()()()()()()

【小話】


顧問の安芸先生、実は名前だけならすでに登場してたり

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