賭博行為は法律で禁止されています。
そんな他愛のない話を交えながら談笑をしつつ弁当を平らげる。
食べ終えて空になった弁当箱を片付けていると、龍斗はスマホを操作して画面をこちらに向けてきた。
「そういや授業中にこんなん見つけたんだけどさ!」
「授業中にスマホ使うなよ」
「きちんと授業を受けろ」
「数学の青柳センセー、病気で休みになって自習だったんだからいいじゃん!?」
「いやよくないだろ。……まあいいや、何見つけたんだよ?」
龍斗が掲げるスマホ画面には『サルでもわかる!カジノの遊び方!!』と書かれた記事が表示されていた。
「賭博行為は法律違反だが?」
蒼馬の冷静なツッコミが入る。
「いやいや違うって!LDDでのカジノの話!!ほらオレBランクになったからカジノ行けるようになったじゃん?だからカジノの遊び方調べてたんだよ!」
「Bランク?お前が?」
眼鏡を軽く掛け直しながら龍斗を疑わしい目で見る蒼馬。そうか、蒼馬は龍斗がランクアップしてるの知らないんだ。
「あー、昨日龍斗のランク上げ手伝ったんだよ」
「鏡めっちゃレベル上がってたんだよ!あとなんか強そうな装備してた!!」
「そうなのか。レベルはいくつまで上がったんだ?」
「53……じゃないや、58」
少なくとも俺よりは高レベルであろうレオレクスと戦闘したからか、レベルが更に上がっていた。闘技場の参加者待機列に初期装備っぽいプレイヤーがいたのも、あれは今思うとレベル上げの一貫だったのだろう。いや防具ほぼつけてない不審者みたいな格好のプレイヤーとかいたけども。アレはわからん。
「58?たった2日でそんなにレベルを上げられるものなのか?」
「昨日突発的に始まったレイド戦あったじゃん?あれで経験値荒稼ぎしたみたいでさ。それで50近くまでレベルが上がった」
「ああ、騒動の原因となったレイド戦か。俺はアセリアと8番街を散策していて参加していなかったが、そんな事があったのか」
「オレもそのレイド戦ってのは参加しそびれたんだよなぁ、気がついたら終わってたし。まあなんか150万貰えたからいいけどさ!」
そういやレイド戦のトネルオラージュと一緒に居たフードゥルについてなにも案内ないんだよな。
フードゥルに関してもあのレイド戦ではじめて確認されたモンスターらしいが、突如現われた軍服集団が回収していったのはトネルオラージュだけだし。なにか裏があるのやら。




