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見知らぬ天井 その2

視界が次第に色を取り戻し、まず視界に飛び込んできたのは初めて見るコンクリートの天井と、簡素な白いパーテーションと、同じく簡素な木造ベッドであった。周囲からはパーテーションの隙間からガヤガヤとした喧騒が聞こえてきた。


目覚める前の機械音声、なんて言ってたっけか。確か救護施設だったか?言われてみればそんな感じの空間だ。


薄いクッションと枕の敷かれたベッドに横たわっていた身体を起こす。続けてすぐに両手を確認。よかった、盗られていない。両手には『恢白』が装備されたままであった。ほっと胸を撫で下ろすと、ブロンズメイルへ触れた際に()()()


加えてなんだか胸元がスースーするなと覗き込むと、ブロンズメイルの左胸付近にポッカリと細い穴が空いてしまっていた。背中に衝撃はあったがまさか貫通していたとは、心臓付近を貫かれたならそりゃ戦闘不能にもなるか。


ステートウォッチを操作して装備状態を確認すると、ブロンズメイルは耐久値がごっそりと減り【破損状態】になってしまっていた。早いうちに修理しないとな。ヴィレジャスさんの店はもう閉まっているから『フォルジュロン』に立ち寄って修理してもらうとしよう。武器とかは運営の詫びで小金持ちになったプレイヤーが殺到してスッカラカンらしいけど、修理は流石にやっている……と思いたい。


続けてMAPを開いて現在地を確認。闘技場の救護施設はどうやら先程まで戦っていた突き当りの開けた空間のすぐ近くに位置していた。敗退者はどうなるとか特にアナウンスはなかったが、まあこのまま抜けてしまっても問題ないだろう。



『――さあ予選が終了して小休憩も終わりでいよいよ本日の決勝戦だ!!英気は養えたかテメェら!?今日の予選はAブロックからは13名、Bブロックからは1名の突破だったぜ!!』



ベッドから脚を下ろして床に立つと同時に軽いノイズが聞こえた直後、天井からドスの効いたクザルタシオン……だっけか?のアナウンスが流れ始める。どうやら今から決勝が始まるようだ。アナウンスに反応して物凄い量の拍手喝采と歓声を送る観客達の大合唱が、スピーカーと壁を突き抜けて直接部屋へと響き渡る。



『つーかAブロック残りすぎだろうが!!実況するワタシ様の気も知らねェで!!多く残りすぎたAブロックの奴らは紹介カットな!!アイテム使えねぇからって日和って談合した腑抜けどもを語る言葉をワタシ様は持ち合わせてねェんだよ!!』



決勝進出者の紹介カットとかそんな無法が許されるのか。確か前回来た時はミサさん含めて紹介してたよな?


日和って談合ってのはアイテムが使えないから、無理に時間いっぱい戦わず、終了まで体力が削られないように温存してたって事なんだろうけど。そういうチーミングみたいな方法も闘技場でやれるのはやれるんだな。



『Bブロックを唯一突破した猛者の名は()()だ!!ワタシ様の記憶にも闘技場の参加記録にもねぇからニューフェイスだが、実力はテメーらがモニターで見ていた通り確かなモンだ!!二刀でバッタバッタぶった切って、刀が折れても倒れた奴らの武器を奪って戦闘続行!久々に骨のある奴が出てきやがったぜ!!オッズも最終的には1番人気の2.8倍!!決勝でも会場を沸かせてくれよなファンキーファイター!!?』



んん?いまカシって言った?二刀流でその名前は物凄く聞き覚えがあるのだが、同名で同装備の可能性もあるが、音声だけじゃ判別がつかないな。モニターのある場所か観客席までちょっと移動するか。

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