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小人族と従機士

『そういえばモリー見てないか?』


『見ていないな、メッセージを送っているが既読にもならん』


『ギルドに来るまでの間に何かトラブルに巻き込まれたとか?』


『アイツは何かとアクシデントに巻き込まれて遅刻したりするから可能性はあるな』


『んー、とりあえずモリーは置いといて俺達は合流しておくか。掲示板前に向かうわ』


『わかった。俺も今から向かう』



メッセージウインドウを閉じて、俺は掲示板のある方へと歩き出した。

龍斗モリーの動向が相変わらず不明か、一体どこで油を売っているんだか。

もしかして本当にトラブルに巻き込まれてたりするのか?初心者狩りとか?いやいやそんなまさか……。



「—―ッ」

「おわっ!?」



所在のわからない友人を気にしながら掲示板の元まで歩いていたが、思考しながら歩いていたせいで不注意から他のプレイヤーとぶつかってしまう。


衝突した衝撃で後ろに倒れそうになるプレイヤーの上背はとても低く、俺の腰より低い位置に頭が見えた。

現実だと小学生の低学年くらいの身長だろうか?考え事をしていたのもあるが、完全に死角になっていてまったく気が付かなかった。



「なにやってんのよ鈍臭いわね」



しかし倒れそうになったプレイヤーは、すぐ近くにいた金髪ツインテ―ルの少女が支えることで床に倒れることはなかった。



「スイマセン!大丈夫ですか!?」

「ああ、問題な—―……ん?『シキ』?」

「?……あ、『ソーマ』!?」



金髪ツインテの少女に支えられているプレイヤーの頭上には『ソーマ』と表示されていた。

どうやら俺がぶつかって危うく転倒させかけたのは友人である蒼馬ソーマだった。



「すまん全然気が付かなかった!」

「気にするな、小人族は他のプレイヤーから死角になりやすいのはここに来るまでに何度も経験済だ」



ソーマは衝撃でズレた眼鏡を指で直しながら、支えられている金髪ツインテの少女から離れる。


蒼馬ソーマは現実でも眼鏡を掛けているのだが、ゲーム内でも掛けているのか。

もはや身体の一部と化した眼鏡がないと落ち着かないとかそんな理由で掛けているのだろうか?などと他愛のない事を連想しながらツインテの少女を見る。


彼女の頭上にはプレイヤーネームは表示されておらず、代わりにクーリアさんと似たような獣耳が存在感を示していた。見た目は人族で獣耳のNPC、この特徴が示す種族は従機士だ。



「シキ、彼女がさっきメッセージで語ろうとした従機士アセリアだ」

「アセリアよ」



アセリアと名乗った従機士の彼女は腕を組みながら、まるで品定めをするかのような目つきで俺を一瞥する。まあ自分の契約主を意図的ではないとはいえ突き飛ばしたんだから心象はよくないか……。



「シキです。よろしくアセリアさん」



LDDはNPCとの会話が重要になると先程の戦闘訓練から学んだので、とりあえずこちらも名乗って手を差し出してみるも彼女はふいっと顔を背けてしまう。



「……、まあ見ての通りの性格だ」

「だーれがが気難しい性格ですって?」

「一言も言ってない」

「顔に書いてあるのよ!」



かなり感情表現豊かな性格をしているアセリアは小馬鹿にされたことに憤り、ソーマを覗き込むような形で怒鳴りつけて夫婦漫才のようなモノを繰り広げる。


というか今しれっとプレイヤーの言外の意図を察したのが恐ろしすぎるな、コミュニケーションが下手な一般人より会話のレスポンスが優れているじゃないか。

【従機士の小話】


新規プレイヤーが最初に契約出来る従機士はまず種族、性別、外見年齢、性格を選択して大まかな方向性を決定します。

その後、従機士の外見を選択するのですが、プリセットから選択して自分好みに微調整を行うパターンと、0から選ぶフルスクラッチの2パターンがあり、今回蒼馬が選んだのは後者です。


LDDのアプリで自身の操作するアバターを製作出来るのと同じく、最初に契約する従機士の容姿を決定する事が出来るので、蒼馬はかなり気合を入れてキャラメイクを行いました。


従機士は最初の契約以外では闘技場の上位者報酬等で新たに契約することが可能なのですが、その際に契約出来る従機士の容姿はフルスクラッチで調整することが出来ない個体となっています。

闘技場で契約出来る従機士はカタログから好みの個体を選ぶようなイメージです。

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