よそはよそ。うちはうち
しかし急にお使い頼まれるとは災難だな龍斗のヤツ。というか物理的にログアウトさせてくる親……、いやまあ家庭のルールはそれぞれか。よそはよそ、うちはうちだ。
さてと、そうなると1人で店に向かうことになるんだが、モリーが行きたがっていたから向かおうとしていただけなので個人的には向かう必要が特にないんだよな。グルメビルドアップとやらも今日の規定回数に到達してしまっているのでただ素材とお金を使うだけだし、また別の日にしておくか。
というわけで進路変更である。行先は……どうするかな、闘技場でも向かうか。またギルドに出戻りして顔出すのはなんか気まずい感があるし。よし、そうしよう。
前回向かった時と同じように、9番街から抜けて闘技場のある4番街へと向かう。前回は15分ほど移動に時間がかかったが、今回は大幅に時間を短縮して5分程でドーム型の闘技場が見えてきた。闘技場へ近づくにつれて、行き交うプレイヤーの数も増えてくる。
人の流れに乗りながら闘技場の正面出入口に到着すると、スピーカーからは機械音声でアナウンスが流れていた。
『本日は闘技場へご来場頂き誠にありがとうございます。あと10分程で、夕刻の部の参加募集を締め切らせて頂きます。夕刻の部へ参加ご希望の方は正面出入口左手側に御座います、闘技者専用レーンまでお集まり下さいませ』
アナウンスに促されてそちらへ視線を向けると、入場を制限する為に立ち並ぶ複数のレーンの左端に大量のプレイヤーが長蛇の列を形成していた。どうやら闘技者の参加者を募っているようだ。せっかくだし参加してみるか。
見るからに強そうな武器や防具で全身を固めたプレイヤー達が並ぶ待機列の最後尾へと足を運ぶ。初期装備混じりのチグハグな見た目の装備で若干の気後れ感はあるが、並んでいるプレイヤーを見るとけっこうな割合で初期装備っぽいプレイヤーの姿をちらほらと見かける。
中には防具をほぼつけておらず、インナーだけのような格好のプレイヤーまでいる。縛りプレイ中とかか?いやまあ見た目的には何も縛られていない自由な姿だけれど。
それからしばらく待ち続け、最後尾だった俺の後ろにも数十人のプレイヤーが並んだ頃、再びスピーカーからアナウンスが流れだした。
『現時刻を持ちまして、夕刻の部の参加者を締め切らせて頂きます。闘技者専用レーンでお待ちの皆様、大変長らくお待たせ致しました。只今より御案内を開始致します。現在お並び頂いているレーン入口に設置してある端末へご自身のステートウォッチをかざして頂き、表示された案内に従いお進み下さい』
ゆっくりと待機列が動き始め、入場したプレイヤーがそれぞれ散って行く。スムーズな流れで淀みなく列は動き、あっという間に自分の順番が回ってきた。駅の改札口のような端末が入口には設置されており、前のプレイヤーが読取り部分と思われる箇所へステートウォッチをかざしていたのでそれを真似て入場。
ピッという簡素な音がステートウォッチから鳴り響くと同時に、ステートウォッチがホログラムを宙に投影する。
『夕刻の部 参加者番号:196 冒険者ランク:B 氏名:シキ様 正面向かって左の通路をお進み下さい』
左右二手に分かれている通路で左と案内されたので、案内に従い前を行く他のプレイヤー達の後ろ姿を追った。
【闘技場】
闘技場は24時間開催しており、4時間間隔で1日6回試合が開催されている。
参加条件は冒険者ランクがB以上であることのみ。参加費等は不要だが、闘技場で破損した武器や防具、消費したアイテムはすべて自費となっている。
薄明の部 04:00より開始(受付時間03:50までに待機列集合)
朝刻の部 08:00より開始(受付終了時間04:50までに待機列集合)
正午台の部 12:00より開始(受付終了時間11:50までに待機列集合)
夕刻の部 16:00より開始(受付時間15:50までに待機列集合)
夜刻の部 20:00より開始(受付時間19:50までに待機列集合)
夜叉の部 0:00より開始(受付時間23:50までに待機列集合)




