電光石火の秒速決着
「なんか動かなくなったけど殴っていいのか!?」
「……あー、ごめんたぶんもう終わった。殴っても意味ない」
「ウッソだろオイ!?」
「なんかすまん」
「いいって!とりあえずクリアしたって事っしょ!?んでどうすりゃいいのこれ?担いで帰るのか!?」
「担ぐて。倒したモンスターはステートウォッチをかざせば回収される。回収出来たらギルドまで戻るか」
「オッケー!」
動かなくなったブルーボアに近づいて、モリーがステートウォッチをかざして回収する。同じクエスト参加者であるなら回収作業は別に倒したプレイヤーでなくても問題ないようだ。
「んじゃ戻るか」
それからとんぼ返りで俺とモリーはギルドへと帰還した。『瑞氷』のはじめての実践使用だったが、流石に弱すぎて何の参考にもならなかったな。なんなら最初の投擲でかなり体力を削ったまであるんじゃないか疑惑。140km/hくらい出てたしあの投石。
ギルドに戻った俺達は出立する際に説明されていた回収カウンターへと向かった。宝くじ売り場のように透明な板で遮られたカウンターの向かい側には、欠伸混じりの気怠げそうな茶髪でボサボサヘアのNPCがいて、その手前には自分の腰くらいの高さがある黒いモノリスが建っていた。
「なあシキ、どうすんのこれ?」
「やったことないから俺もわからん。そこにいるNPCに聞いてみるか」
討伐したモンスターの回収は体験済みだが、回収したあとはどうするのかを俺は知らない。ステートウォッチ内にトネルオラージュ戦で回収したフードゥル突っ込んだままだしな。これ放置したら腐敗進むとかないだろうな……?
「すみません、クエストで討伐したモンスターの回収をお願いしたいんですが、どうすればいいですか?」
「んー?あー、はいはいモンスターの回収ッスねー。それじゃあそこのモノリスに回収したモンスター選んでピッとしてもらっていいッスか?そしたら自動で回収するんで。んで転移先で確認取れたら討伐証渡すんでとりあえずピッとよろしくッスー」
まるで友達に話しかけるかのようなフランクさで頭をボリボリと掻きながら説明を受ける。転移先というなにやら気になるワードが聞こえたが、転移系の魔法……やはりあるのか?
「モリー、とりあえずそこのモノリスにステートウォッチ当ててみてくれ」
「こう?」
ステートウォッチがモノリスに触れた直後、モノリス全体から淡い光が溢れだす。底部から文字の刻まれた模様が床へと広がり眩い閃光を放った直後、モノリスはその場から跡形もなく消失した。




