ランクアップ
訓練場からギルド入口付近まで戻ってきた俺はレベさんから受け取った推薦状を使用する為に、先程と変わらず大量のプレイヤーが列を形成している受付カウンターに再び並んでいた。
待っている間に周囲を見渡して蒼馬や龍斗の姿がないか探したが、頭上にその名前を提示するプレイヤーの姿は見当たらなかった。
うーん、こんな事ならログインする前にもう少し予定をすり合わせておくべきだったか。
その場のノリと勢いで過ごす俺達男子高校生にスケジュールという概念はあってないようなものだ。
内から湧き起こる衝動に身を任せることがままあるので『休みの日にLDD一緒に初プレイしようぜ!ゲーム内での待合せ場所?その時に決めればよくないか?』みたいな雑な予定の組み方をすると、一緒に遊んでいるのに合流出来ないという事態に陥る事となる。陥った。
まあゲーム冒頭のチュートリアルで「冒険者ギルドに向かえ」と言われているだろうから、待っていれば合流出来るだろう。チュートリアルを無視するような行動をしなければの話だが。
……龍斗がなんか怪しいんだよな。
そもそも今朝の時点でトラブルに巻き込まれて遅刻してるわけだし、なんかやらかしてるか巻き込まれていそうな気配が……。
一抹の不安がよぎりながら待つこと数分。
「お次でお待ちの—―、これはシキ様、戦闘訓練の首尾は如何でしたか?」
「こんにちは、さっきぶりですクーリアさん。えっと、その件なんですけど」
順番が回ってきた俺はレベさんから受け取った推薦状をクーリアさんへ手渡した。
事情を察したクーリアさんは推薦状を受け取ると手元にある端末を操作したのち、冒険者登録を行う際に使用したスキャナーを再び取り出し設置する。
「こちらにシキ様のステートウォッチをかざして下さい」
「わかりました」
言われた通り、端末にステートウォッチをかざすと登録時とは異なる電子音が鳴り響き、端末が青く発光した。
「これでランクアップ手続きは完了致しました。念の為、ステートウォッチで更新情報をご確認下さい」
クーリアさんの指示に従い、ステートウォッチを操作して自身のステータス画面を開く。
PN:シキ
Lv:1→4
職業:剣士
冒険者ランク:B
所持金:5000G
体力(HP):50
魔力(MP):15
スタミナ(ST):35
筋力(STG):25
敏捷(AGI):20
器用(DEX):15
知力(INT):5
耐久(VIT):20
精神力(MND):10
幸運(LUC):5
スキル
・スラッシュ
・ダッシュスラッシュ
・投擲
魔法
・なし
装備
右:ブロンズソード
左:なし
頭:なし
胴:ブロンズメイル
腕:ブロンズアーム
腰:丈夫な布
脚:ブロンズブーツ
アクセサリー:なし
【新着情報】
・割り振り可能なステータスポイントが30あります
戦闘訓練を終えたからか、レベルがいつの間にか4に上昇していた。
あとは新しく投擲のスキルを覚えているな、レベルアップの恩恵でもあるステータスを強化出来るポイントも獲得している。
3レベル上昇でステータスポイントを30ってことは1レベル上昇する度に10獲得出来るのか。
ステータスの割り振りは……まあ後でいいか。
「はい、大丈夫です。ありがとうございますクーリアさん」
俺はステータス画面を閉じてクーリアさんへ軽く会釈をしながらお礼を述べた。
「これでシキ様は冒険者ランクがBに昇格したので、ムルフィーム内にございます闘技場や球技場、カジノ等への参加が許可されます」
闘技場は事前に調べていたので把握していたが、球技場やカジノもあるのか。
球技場……なんだろうな、名前からして普通に球技を行う場所ではあるんだろうけど、魔法が当たり前のようにある世界観なんだから、プレー中に魔法が飛び交うサッカーとかバスケみたいな球技でもやるのだろうか?
用語解説
【球技場】
文字通り球技を行える場所であり、現実におけるサッカーやバスケをモチーフにした各種球技をプレイすることが出来、大会も開催されている。
中でも人気なのは『マッドボール』と呼ばれるサッカーをモチーフにした球技である。
【作者のつぶやき】
拙作、自分が書きたい事を詰め込めるだけ詰め込んでいるので、設定としては色々存在しているのですが、本編で球技場に関する描写をするかはまだ未定です。
マッドボールのルールも考えていたりするのですが、現状本編とは一切関係がないので今回は記載しません。
機会があれば日の目を見るかもしれませんが果たして需要はあるのか……。




