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無音歩行はメイドの嗜み

「…………とりあえず座って」



黒の外套を脱ぎ両肩が完全に露出したレザー調の黒いジップアップ姿のエクレトゥールさんに促されて対面の椅子まで向かうと、案内してくれた執事のNPCが先立って動いて静かに椅子を引いてくれた。



「ありがとうございます」



椅子に着席して執事さんへ礼を告げると、彼は会釈を返して階下へと戻っていった。



「…………積もりそうな話はとりあえず後回し。ティータイムにするから、好きなのを選んで」


「こちら、当店メニューで御座います。本日は『ステラアップルのカスタードパイ』と『カウントクリア』がお勧めです」



音もなくいつの間にか移動してきた銀髪メイドさんに差し出された高級感漂うメニューブックを受け取り目を通す。


『イエローベリーのタルト』『グリーンティーのワッフル』『ホワイトストロベリーのムース』『フルーツミックスパフェ』といった様々な種類のデザートが羅列されており、その中にはさきほどのギャル達の会話でやたら耳に残った『テラ盛り爆盛りギガントキングパフェ』といった俗物的な商品名も並んでいた。


値段は比較的手頃であり、一番安くて『カスタードプリン』500G、一番高いのは件の『テラ盛り以下略』で5000Gだった。5000Gもすんの!?一体どれだけ大量に食材を使用してるんだ……。


内心驚愕しながらメニューを何周か見るが、どれも美味しそうでなかなか決められない。ドリンクもかなり種類が豊富でこれまた悩ましい。あまり悩んで待たせるのもよくないし、ここは大人しくオススメに従うか。



「オススメの『ステラアップルのカスタードパイ』と『カウントクリア』を1つずつ、お願いします」


「承知しました」



注文を聞き届けたメイドさんは俺からメニューブックを回収し、どこからともなく用紙を取り出した。その用紙へと淡く輝いた人差し指で何かを書き記すと、用紙はクルクルと筒状に丸まった。筒状に変化した用紙を持ったメイドさんは音もなく移動して、壁に備え付けられた伝声管のような設備のラッパ部分に用紙を投函した。


なんかすごい注文システムだな。おそらくあの投函先が厨房へと繋がっているんだろうけど、ゲーム内での支払い方法は電子決済のデジタル方式なんだから、注文も同じようにリアルのタブレット端末を使用したデジタル方式でも良さそうな気はするけど。


投函を終えたメイドさんは、無音で移動して定位置であろうエクレトゥールさんの背後へと戻っていった。というかメイドさん、さっきから移動時の足音が完全に消えてるんだが一体どうやってるんだ……?木の床板にブーツならそれなりに音は響くと思うんだが……。

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