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状況終了

立ち去って行く二人を見送り、実質訓練場の出禁扱いを受けてしまったカシさんの元へ挨拶に向かうことにした。



「カシさん、お疲れ様でした。それとダイさん……ですよね?お疲れ様でした」

「うん、そっちはシキ君だっけ?お疲れお疲れ」

「おう、お疲れさん。しっかし参ったな……レベちゃんに会えるなら何度も足を運ぶ予定立ててたっつーのに出禁になるたぁ思ってもいなかったぜ」



ガシガシと頭を乱雑に掻き、気落ちするカシさん。

このゲーム、意外とNPCとの会話が重要そうな気配を感じるので、不用意な発言には注意した方がいいのかもしれないなと気に留めつつ、カシさんには気休めにしかならないとは思うが励ましの言葉を紡ぐことにした。



「レベさんが闘技場なら戦えるって言ってたみたいですし、カシさんのプレイヤー技量ならまたいい戦い出来そうじゃないですか?」

「そっすよ。カシさんならどんな相手だろうと蹴散らせますって」

「とは言ってもなぁ、レベちゃんNPCだろ?いつ参戦するかわからねェ場所に留まり続けるってのもなぁ」

「それならさっきリーラライフさんが言ってた『シュクレ』に足を運んでみたらどうですか?たぶん今から向かえば二人はいるんじゃないですかね」

「『シュクレ』?」



何の話だ?と頭上に疑問符を浮かべるカシさん。あれもしかして聞きそびれてるのか?



「さっきなんか含みのある感じでリーラライフさんが言ってた店じゃないすか?」

「マジかよショックのあまり聞きそびれてたぜ。こうしちゃいられねェな……おいダイ!どこだその店!?」

「えーっと、ちょっと待って下さいね……」



ダイさんはステートウォッチを操作してMAPを表示する。

あ、文字入力機能あるんだ知らなかった。

ダイさんは慣れた手つきで空中に表示されているホログラム状のキーパッドを操作して「シュクレ」と入力して目的地を絞り込むと、場所がすぐに示される。



「えーっと……2番街の中央辺りにある店みたいっすね。あ、でもBランク以上じゃないと入店不可っすね。カシさんは推薦状ですぐBランクになれますけど俺は貰ってないので入れないっす」

「んじゃあしゃあねェな、まずはお前のランク上げから始めるか」

「え?カシさん行かないんすか?」

「馬鹿野郎、お前俺がそんな薄情な男に見えるのかよ?舐めんなそこまで腐っちゃいねェわ」

「いやいや遠慮しなくていいっすよカシさん」

()()()()()()()()()()()()()()。三度目は言わねェからな」

「……、うっす!」



有無を言わせない圧を掛けてダイさんの首を縦に振らせるカシさん。どうやら話が纏まったようだ。



「シキはどうすんだ?」

「俺はこのあと友人達と合流してから色々見て回ろうと思います」

「そうか。んじゃ今日ここで巡り合ったのも何かの縁だ、問題なけりゃフレンド登録してもいいか?」

「是非」

「あ、俺も俺も」

「はい、ダイさんも是非」



ステートウォッチを操作して互いにフレンド登録を完了させる。

まさか蒼馬と龍斗より先にゲーム内で知り合った人とフレンド登録するとは思わなかったが、まあ今まで接点のなかった人と仲良くなれるのもゲームならではの醍醐味だろう。



「んじゃまた機会があったらよろしく頼むぜ、シキ」

「シキ君、またね」

「ハイ、またよろしくお願いします」



互いに会釈をして別れ、俺達は闘技場を後にした。


さてと、とりあえずクーリアさんの所に行ってランクの手続きを済ませて二人と合流するか。

二人も訓練終わらせてればいいんだが、今頃何をしてるのやら。

【用語解説】


甘味処【シュクレ】 

ムルフィーム2番街の中央付近に建つ甘味屋。

ルーシッドの各地で育った極上の果実を仕入れ、それらを惜しみなく大量に使用したフルーツパフェが当店の人気メニュー。


甘い物が好きなリーラライフはこれをよく好んで食しており、訓練指導後にレヴェリングと共に反省会という名の雑談をして過ごすのが彼女たちのルーティンとなっている。


3m近い身長を誇る巨人族であるレヴェリングでも入店が出来るほど店内は広々としている。


Bランク以上の冒険者でないと入場出来ない制限があるが、これは以前店内で暴れたCランクの冒険者に店長が対処した際、力の差がありすぎてCランクの冒険者が大怪我を負ってしまった為の措置である。


店長であるフェルパは獰猛なモンスターが多数生息している地域に実る甘美な果実を自ら単身で採取しに足を運んでおり、冒険者としても知る人ぞ知る確かな実力者(冒険者ランクはA)。

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