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慌てない慌てない、ひと休みひと休み

人混みを掻き分けてまで入店する気にはなれなかったので、店から離れる事を選択する。

ヴィレジャスさんの店の方は一見さんお断りの仕様になってるから流石にここまでの大混雑にはなっていないだろうが、まだ予定の時間ではないので早く店に着いてもやることがないしな。一度ログアウトして休憩挟むか。



ギルドの仮眠施設からログアウトして現実世界に帰還すると、ログインする際に降り注いでいた雨音が止んでいた。快晴、とまではいかないが雨は上がり、鈍色の雲間から陽射しが顔を覗かせていた。


喉の乾きを覚えたのでダイニングへと向かうと、寝癖のついた頭そのままの父が遅めの昼食……いやこれ朝に母さんが作り置きした朝食だな?朝食を摂っていた。



「おはよう父さん」


「ん」



まだ寝足りないといった感じで目をショボショボさせながら、ゆっくりとした動作でモソモソと食事する父のすぐ近くを通りすぎて冷蔵庫に向かう。


冷蔵庫の中を確認すると麦茶があったので手に取った。母さんが朝食を作るのと一緒に作り置きしてくれたのだろう。コップをつかみ、溢れないように注いで一気に飲み干した。乾いた喉に染み渡るなぁ。


もう一杯飲んで満足したので麦茶を冷蔵庫に戻してコップを洗って部屋に戻ろうとすると、丁度食事を終えた父が空になった食器を持って流し台へやって来た。



「そういえば未來はどうした?」


「朝出かけたよ。行き先は知らない」


「そうか。お前は出かけないのか?」


「今日は一日中ゲームするから」


「『コロッセオ・ファイターズ』か?」


「いや、昨日から『LDD』始めたからそっち」


「LD……ああ、今話題のヤツか。会社でも部下がプレイしてるって言ってたな」


「そうなんだ」


「まあ適度に休憩挟みつつ遊べな」


「うん」



家庭によってはゲームは1日1時間だったり、そもそもゲームで遊ぶ事すら許されない環境が存在するらしいが、我が家は「やることをしっかりやっているなら、法に触れないなら何してもOK」という放任主義なので、こうして休みの日に長時間ゲームにのめり込んでもお咎めが発生しない。


ただやること、すなわち学生の本文である学業を疎かにした場合はその限りではないので、通知表やテストの点数はしっかりと報告しなければならない。

報告を怠ったり、目も当てられない酷い点数を取ろうものなら次回の定期テストまで没収のペナルティが課される事になっている。まあ一回も課せられた事はないので関係ない話だけど。

『コロッセオ・ファイターズ』


闘技場を舞台に古今東西時代を問わず集結した英雄達を操作し、立ちはだかる強敵を蹴散らして勝利を目指す対戦アクションゲーム。日本ゲーム業界の老舗である真仙堂が開発。


1VS1のシンプルな勝ち抜き戦、2VS2のタッグ戦、最大同時戦闘人数64名のサバイバル勝ち抜き戦など様々な対戦モードと、総勢100人を超える英雄達を主人公としたシナリオモードが存在する。

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