寄生プレイは赦しません
『シルバーソード』
高純度の銀を主材でとして鍛え上げられた剣。刃渡りは長く細身の形状、軽量で取り回しやすく鋭い切れ味を誇る。古来より魔を退けるとされている銀の性質により、アンデット系モンスターに対して威力が上昇する。
【効果】
筋力100上昇 アンデット系モンスターに対してダメージ+20%
ミサさんから手渡された武器のステータスを確認する。耐久値がやや減少しているが、それでも現在装備しているブロンズソードより遥かに優秀な武器だ。
度が過ぎた者達とはおそらく昨日ミサさんを襲撃したPK集団と似たような存在の事だろう。
返り討ちにしたPK達が所持していた装備、つまりプレイヤーキルという犯行時に使用した凶器なのだが、まあ気にしたら負けか。
今の俺が持つブロンズソードではトネルオラージュへまともなダメージを与えられないので、この装備を拒否する理由がない。有り難く受け取る事にした。
「ありがとうございます。戦闘が終わったら返します」
「いいえ、返却は不要よ。どうせ後で武器屋で売却する予定なの、貴方の好きになさい」
そう告げたミサさんは、またもや一瞬で姿を消した。
「ちょっと待ちやがれ!?どこ行きやがった!?」
突如姿を消したミサさんに対して、周囲から戸惑いの声が耳に届く。声の主はさきほど大盾を貫かれていたナギというプレイヤーだ。隣にはアラシと呼ばれていたプレイヤーもいる。どうやらトネルオラージュの攻撃から逃れて生き延びていたようだ。
生存しているプレイヤーを把握しつつ辺りを見渡すも、ミサさんは影も形も見当たらない。あれ?一緒に討伐するとかそういう流れではない?
てっきり一緒に戦ってくれるものかと若干、否かなりアテにしていたのだが……。予想が外れて困惑しつつ周囲をキョロキョロと頭を振って探すと、遥か後方からミサさんの声が響いた。
「私は貴方達が窮地に陥るまで戦闘に参加しないわ。だって私が参加してしまったら貴方達の経験値にならないでしょう?」
どうやら『強者に戦闘を任せて楽に経験値を稼ごうとするのは許さないので自力でなんとかしろ』という事らしい。
現在トネルオラージュに討伐されずに生き延びているプレイヤーは俺を含めて6名。さきほどまで集団でトネルオラージュの弱点部位をタコ殴りしていたので、トネルオラージュの体力も限界が近づいているだろうが、果たして6人で削り切る事は出来るのだろうか?




