5.朱崎真弌 3
袋小路の鉄くずの山、そのうちの一つに斉葉が入っていく。
「ここいらのゴミ山はいくつか僕が張ったホログラムのハリボテが殆どなんだよねぇ。」
「は、はぁ・・・。」
後ろを振り向くとスクラップになったアンドロイドが残されたまま。
「ああ、そうだそうだ。」
二回手を叩く。
すると、タレットの下から熊手のようなロボットアームが出てきてスクラップを片付ける。
「なに見惚れてるの、早くいくよ。」
「お、おお。悪い悪い・・・。」
目の前のホログラムには地下へのエレベーターがあった。
「僕のラボに行くよ。」
エレベーターの最下層のボタン、B10とある。
「随分と深いところにあるんだな。」
「まあね、上層の9階は実験場とかそういうのでメインはそこだからね。」
ゴウン・・・ゴウン・・・ゴウン・・・ゴウン・・・チーン。
着いたか。
「相変わらず長いね、あとでもうちっと速度上げようかな・・・?」
最下層には巨大な分割モニターがあった。それぞれにはフロート表層の色々な箇所を定点観測している。
「そうだ、忘れてた。キミの持ってる物を受け取りたいんだけど?」
「あー、そういや、そうだったな・・。」
俺は、腰に付けたバッグにいれた小包を斉葉に渡す。
「ん、ご苦労様。」
「ああ、それじゃ。」
「いやいや、何言ってるんだい?」
「は?」
帰ろうとしたら呼び止められた。まだなんかあったか?
「ここで、ボクから鳳さんいや、霧宮鳳咲総帥の勅命を伝えます。」
斉葉は一息置く。
「朱崎真弌一等兵、キミをただいまより反乱軍特殊戦闘隠匿部隊R.S.C.C.F.(ラスコフ)の隊長に任命します。頑張ってね♪」
「え?」
「あ、司令官はボクね?」
「は?」
「・・・は?」
これで、真弌の出番は一区切り。しれッと隊長に昇格してしまった彼はどうなってしまうのか?
謎多き斉葉は一体何者なのか・・・。
ま、ゆっくりと。