仲間
「十数人の人たちをいったいどうやって?」
「そりゃ車を使うしかないだろうな。自衛隊のジープを借りよう。だが、一度に全員は運べねぇな。外の状況と燃料のことを考えると往復は一回に抑えたいが……」
「春人!」
黒鐘さんの後について歩いていると、隼の声が耳に届く。
立ち止まって振り返ると、明るい顔をした三人が立っていた。
「見付かったのか!?」
「えぇ、見付けられたわ。幸いなことに三人ともね」
「よかった、ほっとした」
思わず安堵の息が漏れる。
本当によかった。
「俺は先に行ってるぜ、後から来な」
「あ、はい」
気を遣ってくれた黒鐘さんは足早に外へと向かう。
「なにか用事?」
「あぁ、これから夢見ホールに行く」
「そっか、あそこの人達をこっちに」
「だからその手伝いにな。すぐに行かないと」
通知が来ていない以上、ゴーレムはまだ無傷。
けれど、いつ襲撃されて通知がくるかわからない。
ファストトラベルですぐに駆けつけることはできるけど、理想はその前にドームに連れて返ること。
だからなるべく早く向かいたい。
母さんを安心させたいしな。
「みなさん」
「うん」
「えぇ」
三人は頷き合うと俺に向き直る。
「では、私たちも助けに向かいますよ」
「……いいのか? やっと家族に会えたのに」
「なに言ってんのよ。あたしたちはあんたと同じことをするだけよ」
そうか。
仲間がいるって良いことだな。
「ありがとう。じゃあ、行こう」
三人を連れてドームの外へ。
玄関口から抜けるとすぐに黒鐘さんに追い付けた。
「来たな。だが、ジープはまだ出せないそうだ」
「まだ?」
「台数が足りないんだ。あとこれジープじゃなくて小型トラックだぞ」
隣りにいた嶋野さんがそう答える。
「俺たちみたいに生存者を捜し回ってるんだ。まぁ、直にほかのも戻るから、それまで我慢してくれ」
「そう、ですか」
気持ちは逸るが、しようがないか。
「あ、それなら観光バスはどうですか?」
隼の言葉で脳裏に浮かぶのはこのドームに向かう途中のこと。
たしかドーム付近で観光バスと擦れ違った。
「そうか、それなら全員を乗せられる!」
「良い案だ。嶋野、運転できるか?」
「大型バスってたしか大型二種だろ? なら、たぶん行けるな」
「よし、来た。なら、俺と嶋野、そしてお前さんたちで――」
「黒鐘さん、ちょっと」
話が纏まりかけたその時、ドームの玄関口から声がかかる。
「なんだ、なにか問題か?」
駆け足になってその人の元へ黒鐘さんは向かう。
そして暫く話した後に、またこちらに戻って来た。
「悪い。問題が起きて俺は向かえなくなった。五人で平気か?」
黒鐘さんが抜けるのは痛いけれど。
「行きます」
「よし。なら必ず無事に連れて来い」
黒鐘さんに送り出されて、俺たちは観光バスの元へと急ぐ。
動くか動かないかはまだわからないけれど、そうなったらそうなった時だ。
その時になってから考えるほかにない。
今はとにかく観光バスだ。
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