68話 向かうは神の国
ギルドに戻ったリュウガとウェンは神についてメンバーに話して今後の策を練る事に。
「戻りました」
ウェンがリュウガを背負って戻って来たのをギルドメンバーが総出で迎える。
「勝ったんだね!」
「凄いっす!」
「てことはこいつが神なの? 何か嫌ね」
「今のうちに拝んでおきますか?」
など色んな言葉がとんでくるが、
「皆様お静かに。主様は死にかけなんです。安静にさせてください。それに良い事ばかりではありません」
そう言ったウェンの表情が険しいものであるため全員に緊張が走る。そのウェンはリュウガを部屋に寝かせるために2階へと姿を消す。
「一体何があったのでしょう?」
「神になったからここからサブマスがいなくなるのでは?」
「それは困る!」
「パパいなくなっちゃうの?」
色んな予想が飛び交う中、
「それを説明します」
ウェンが降りて来たので話を聞くため全員が黙る。そこで語られたのはリュウガと龍帝の戦いはリュウガの勝利であった事。これにはメンバー全員が喜んだがその後に語られた、剣聖、オウガ・グライが神の器となり完全に死亡して人類の敵となった事だ。
「神が攻めて来る」
「剣聖が死亡」
「いや、情報が多すぎるでしょ」
あまりの情報の多さについていけてないようだ。それでも、
「信じて貰えるか分からないけど報告しないとね。私はグランドマスターに。ルイは貴族に」
「信じて貰えるか分からないけどね」
指示を出したマイと指示を受けたルイは早速報告するために出発したのだが、
「「信じて貰えなかった」」
帰って来た2人からは同様のセリフを吐いた。
「国内最強にして聖剣に選ばれた男が死んだなんて信じる方が難しいですからね」
ゴウが頷く。正直、ゴウも今までなら信じないのだがこのギルドに入ってからはありえない事ばかりだから信じるしかないのだ。
「グランドマスターは全ては信じれないけど私たちの事は信頼してるから警戒はして全ギルドに戦力強化は通達してくれるらしいけど、どう思う?」
「悪くはないですけど良くもないですね。全ての神が戦闘に特化してる訳ではないでしょうがそれでも人間が太刀打ち出来る存在ではないですからね」
厳しい事を言うウェン。
「サブマスター位ですか? 相手になるのは?」
「主様は大神ゼーリオ以外の神ならほぼほぼ勝てますね。他に戦えるとしたら剣聖でしょうね。神の器になるほどですし」
実際、カゲトラは修行して素手とはいえ本気のリュウガを殺せるレベルまで強くなりその後も修行の旅を続けたのだ。その結果が神の器という末路なのだが。
「あたしはどうなのよ?」
「私も気になりますね」
ルイとレイがウェンに尋ねる。2人はリュウガとウェンを除けばギルドの最高戦力だ。そんな2人への評価は、
「末端の神や神の下僕である天使相手なら通用すると思います。今回の戦いにそれらが参戦すれば大事な戦力ですよ」
優しく語りかけられる。嬉しくなる2人だが主力として活躍したいのが本音だ。
「現状は主様と名持ちの龍たちくらいが最高戦力ですね。問題は名持ちの龍が4人のみということです」
つまりは5人ということだ。その現状に絶望するメンバーたち。それを語ったウェンは、
「龍帝は勝手に神と戦うでしょうが他の2名が戦ってくれるか分からないので話をする必要があるので私は暫くの間留守にします」
「えっ? 大丈夫なの? ここの守りは?」
不安になってマイが聞くと、
「大丈夫ですよ。主様がいますから。それに攻めて来るにしても天使等の末端ですから。それでは」
そう言ってウェンは龍となって飛び立つのであった。そして次の日、
「俺は神の国アルテマに行く」
起きて早々に言ったリュウガの言葉に、
「アルテマって確か全ての神々を信仰する宗教国家だよね?」
「そうですね。普通は多種多様な神の一柱を信仰するのですがあそこは伝承にある神々全てを信仰していますね」
「そこに何の用が?」
「神の国って言うくらいなんだし何か神に関する情報を得られると思ってな」
そう言って出発の準備をするリュウガに、
「自分も連れて行って貰っていいですか?」
ソウが珍しく宣言して来たので、
「いいぜ」
リュウガはそれを承諾した。
「じゃあ私はランと実家に行くよ。神が攻めて来る事の報告と修行のために」
マイはランと共にオズワルドに行く事を決めた。他は国内で自由行動だ。そうしてリュウガはソウと共にアルテマへ出発した。
「アルテマって宗教国家ですよね? 他宗教の人間に厳しかったらどうします?」
行きの馬車で不安そうに聞いて来るソウに、
「大丈夫だろ。本当に厳しいなら他宗教の人間との交易もしないだろうし完全に国交を断絶しているはずだ(宗教にはあんまりいい思い出はないが現状神について知らなすぎるからな)」
前の世界で悪徳宗教を潰した事があるリュウガには宗教に対して良い感情を持っていないのだ。多少の不安はあるが比較的安全にアルテマへの道を進み2週間後には、
「お客さん! 着きましたぜ! あれがアルテマです」
「あれがアルテマか」
国の入り口となる門の両隣に神像が置かれておりいかにも神を信仰しています感がある国であった。
「あれは何の神なんですかね?」
「それを含めての調査だ。張り切って行くぞ」
2人はアルテマへの第一歩を歩むのであった。
アルテマでは何が待ち受けるのか、こうご期待!
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