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66話 決着!!!!

 龍帝との死闘の決着の行方は!?

 リュウガ・レンと龍帝との激突は世界最強を決める死闘だ。それを見届けるのは龍神に仕える龍である、龍姫、ウェン。この死闘は圧倒的に龍帝が有利であった。出力、速度は龍帝が上であり、技量は互角であった。そんな両者がぶつかれば龍帝が圧倒するのは自明の理であった。


(分かってはいましたがここまでの強さになっていたとは)


 見届け人であるウェンは龍帝の実力の高さを目の当たりにして昔を思い出す。


(生まれた時から貴方は強さを求めて争いに身を投じて来ましたね)


 龍帝は名持ちの龍の中では比較的に若い。そんな龍帝をウェンは龍帝が生まれた時からずっと知っている。ある時は、


「龍皇! 修行に付き合え!」


 龍皇との修行と称した殺し合い。


「翁! 部屋を使わせろ!」


 龍翁が管理している修行部屋での死闘。


「約束を破ったな!」


 龍とフェンリルの争いに混ざったり、


「龍帝!! 今日からオレ様が龍帝になる!! 席を寄越せ!!」


 先代龍帝を殺したりとひたすらに強さを求めていた。そして今度は龍神の末裔をも殺そうとしている。


(何が貴方をそこまで駆り立てるのですか?)


 疑問に思うが龍帝はきっと教えてくれないだろうなと思い苦笑する。


(主様が勝てる可能性があるとすれば死の気配を視てそれを破壊する事による死を与える力、これしかないでしょうね)


 死を与える力は力量差関係なく相手を死に至らしめる事が出来るというジャイアントキリングの可能性を感じさせる力ではある。リュウガが龍帝に勝つにはそれしかないが、


(問題は雷速で動く龍帝を相手にそれが出来るのかという点ですね)


 死の気配を視る能力は万能だ。自分に迫る死の気配を視る事で攻撃を回避する防御だけでなく、死の気配を破壊する事で相手に死を与える理不尽な攻撃性能もある。しかし、そのどちらも視る事が出来なければ無駄に終わる。回避の方は気配が視えたら即座に離脱すれば良いが攻撃面ではそうはいかない。視る、そして破壊という2つの工程を挟むというのは普通の相手なら大した問題ではないのだが相手は普通の相手ではない上に雷速で動く。そんな相手にその2つの工程をやってのけるのは至難の技だ。


(そもそも龍帝に攻撃を当てるなら雷速であっても回避不能なほどの圧倒的広範囲攻撃しかない。だからこそ覇龍は唯一龍帝に勝てる可能性のある存在でしたが今となっては成長の糧になってしまいましたからね)


 龍の頂点として君臨していた覇龍ですらも手傷は負ったものの殺してしまった龍帝。そんな龍帝をリュウガが殺すには、


(私や他の龍であっても避けられず急所に喰らえば死ぬレベルの主様の最強技しかないでしょうね)


 『死閃』リュウガが使う技では最強にして最速の技でありその速度は雷速に達する。この時点で龍帝にも対抗できる技ではあるのだが、


(龍帝は常に雷速で動けるし、同速では意味がない。何より一撃で決めれなかったら龍帝の勝ちが決まる)


 死閃は地面に刀を滑らせる抜刀術である。しかし、抜刀術には弱点がある。初撃を凌いでしまえば隙だらけでカウンターの餌食であるという点だ。雷速の抜刀術を凌げる存在は普通はいない。しかし、今回リュウガが相手をしているのは雷を司り雷そのものでもある龍帝だ。雷速の抜刀術であっても見切る事が出来るだろう。


(龍帝は正面から叩き潰すも良し、初撃を凌いでのカウンターでも構わないという選択の多さに対して、主様には死閃しか残されてない。しかも死の気配を破壊するというのも込みで使うという条件付き)


 普通なら雷速の抜刀術で斬られたら死ぬのだが龍帝は雷そのものとなる事が出来るために普通に刀を振ったところではそもそも斬る事が出来ない。そのためリュウガは死の気配を破壊して直接死を与える事でしか攻撃が出来ないのだ。


(条件は厳しく。龍帝は圧倒的格上。信じる事しか私には出来ないのが歯痒い)


 ウェンが戦う事は止められている。異世界の龍神であろうとも龍神に仕える身としては龍神の言葉は絶対なのだ。リュウガとウェンが共闘すれば龍帝が相手であっても勝率が1割もある。


(このままでは主様は殺される)


 龍帝による猛攻で地形は形を変えて、主であるリュウガも体は残っているもののボロボロで今に死にそうになっている。


(龍神の末裔であり魔力がないからこそ身体能力が高く肉体強度も高いおかげで死なずに済んでますがあんなにボロボロになるくらいならいっそ死んだ方が楽ですらありますね)


 見ているウェンがそう思うのも仕方ないほどにはリュウガはボロボロだ。体の一部は雷撃により炭化しているし腹には穴も開けられているのだから当然だ。普通なら痛みでショック死するか出血多量で死んでいる。それでもリュウガは根性だけで立っているのだ。そんなリュウガは、


「お望み通り使ってやるよ。練家最強の技を!!」

「それで良い! そんなお前を殺してオレ様が龍神になる!!」


 両者の最強技である『死閃』と『豪雷一閃』で決めるようだ。


(龍帝は真っ向から叩き潰す事を決めましたか。これなら主様にも勝ちの目がある。ほんの僅かな勝ちの目が)


 真っ向勝負ならカウンターの心配はいらない。速度も雷速であるために互角。後はリュウガが死の気配を破壊出来れば勝ち。出来なければ死ぬという単純(シンプル)な構図となった。


(イク!!)


 両者同時に動く。それと同時にリュウガは己の死を予感した。


(駄目だ。一手足りねぇ)


 死の気配は視えた。このまま龍帝の一撃は殺せる。だかそれだけ。あくまでも龍帝の一撃である‘豪雷一閃’を殺せるだけで龍帝は殺せない。相手は雷そのものだ。この一撃で決めれないなら続く第二撃は龍帝の方が速い。おまけに自分は刀を雷速で振った後で無防備になる。


(負ける)


          “死”


 が視える。その時に2代目当主である練龍鬼の言葉が思い出される。


「クソ技」


 死閃は雷速の抜刀術だ。これを超える技はない。それにも関わらず龍鬼はクソ技と言った。だから死の気配を破壊して雷速で相手に死を与えるのが本物の技かと思い先日の特訓で使用したが、


()()けど」


 否定されてしまう。それだったら一体どんな技が聞いたら自分で考えろと突っぱねられてしまった。


(何かが足りないんだ。何かが・・・・・・あぁ、そうか)


 両者の最強技がぶつかる。死の気配を破壊する一撃により豪雷一閃を使う雷刀・天裂は破壊されるが、


(問題ねぇ! 第二撃はオレ様の方が速い!)


 瞬時に立て直して第二撃を放とうとするが遅かった。


(何でお前の方が速い!?)


 リュウガの第二撃目が既に龍帝の体を斬っていた。龍帝を斬った技の正体は、


        『死双閃』


 これは抜刀術はカウンターの餌食になりやすいという弱点を持っていたために考案された技。技を放った直後が無防備になるなら振り上げた刀の持ち手を変えて瞬時に振り下ろせば良いのでは? という脳筋技だ。おまけに二撃目も雷速であり避けるのは不可能という理不尽性能をしている。そんな技をリュウガは土壇場でやってのけた訳だが代償は大きく元々ボロボロだった体はよりボロボロになり全身の骨は砕けており立つ事も出来ずに倒れ伏した。


(相打ちか、死ぬほどの怪我ではねぇが右手が使いものになんねぇし実質負けだな)


 そう言って目を閉じようとする龍帝にウェンが近づいて、


「どうですか? 初めての敗北は?」

「向こうも倒れてるから敗北感がないな。かと言ってこっちも右手を殺されてるから負けみたいなもんだな」

「つまり?」

「中途半端で気持ち悪ぃ」

「そうですか」


 龍帝の治療を開始するウェン。そんなウェンに、


「何してんだ? オレ様よりも自分の主を優先しろよ」

「主様には私の回復魔法が通じないんですよ。それにエリクサーを飲ませたので出来る事はしたので大丈夫ですよ」


 そう言って龍帝に回復魔法を施すウェン。


「・・・・」

「・・・・」


 黙々と治す。その間があまりにも気まずかったため、


「何故戦いを求めるのですか? いえ、戦いを求めるのは龍である以上は普通ではあるのですが龍神になろうとは思いません。それに貴方は龍神に興味があるとは思えませんが」

「答える必要はねぇな」

(やはり答えませんか)


 予想はしていたがやはり龍帝は答えてくれないようだ。はぁとため息をつくとウェンは治療を続ける。そんなウェンに視線を向ける龍帝。


(あんただけには、いや、他の連中にだって聞かせるつもりはない)


 龍帝は目を閉じて昔を思い出す。遥か昔、龍帝がまだ幼体だった頃、カンムルという名の龍として生きていた頃、


「全く、前代未聞ですよ。幼体の龍が成龍を殺すなんて」

「オレ様は最強だからな。強いのは当然だ!」

「ボロボロですがね」


 ウェンの言うようにはボロボロだ。そんなカンムルに、


「治療します。動かないでください」

「いらねぇ!」


 暴れるカンムルであるが、


「大人しくしなさい!」


 拳骨をカンムルに落とす。


「いってぇ! 治療相手を殴るか普通!」

「暴れるのが悪いんです」

「クソが!」


 大人しく治療を受ける。


(いつか殺してやる)


 カンムルはそんな事を考えていたのだがカンムルが無茶をして大怪我をするたびに治療するウェンに、


「何で毎回毎回オレ様に構うんだ」

「龍姫を名乗る龍は龍神様に仕えるのが仕来たりです。龍神様にとって全ての龍は子供ですからね。その子供を守るのは私にとっては当然の事なんですよ」


 そう言ってカンムルの頭を撫でるウェン。撫でられたカンムルは恥かしいのでその手を振り払う。


(調子狂うぜ)


 ウェンに対して良くわからない感情を抱く。カンムルが龍帝となって暫くしたある年に、


「お前は龍神を慕っているが無駄だったな」


 世界魚(バハムート)により名持ち含む数多の龍が殺された。世界魚は覇龍と戦い深傷を負ったが龍の総数は大幅に減ってしまい絶滅寸前だ。


「これだけ被害が出ても助けてくれない奴をお前は信仰するのか?」

「それが龍姫としての責務ですから」

「馬鹿か! テメェの感情を殺して信仰した結果がこれだぞ! 虚しくならねぇのか!」

「どんなに虚しくともこれが宿命だというのなら受け入れます」

「あぁ・・・・そうかよ。くだらねぇ」


 その時に龍帝、カンムルは決めたのだ。


(龍神を殺してオレ様が成り代わる! あんたの信仰が無駄にならない世界をオレ様が創ってやる!)


 龍帝が龍神を目指すキッカケはウェンであったのだ。そんな相手に龍神を目指す理由は喋れなくて当然なのだ。


「はっ」

「何を笑ってるのですか?」

「別に」


 思わず笑ってしまう龍帝。それを疑問に持ちながらも治療するウェン、


「それにしても良かったですね。雷速で動く貴方には完全な死を与えるのは難しいようですね。あくまでも雷という特性を殺しただけだったようなので右手の治療は可能です」


 もし完全に死を与える事が出来たら龍帝の右手は2度と使いものにならなくなるだろう。そんな会話をしている所に突然、


      ドオーーーーン!!!!


 という衝撃音と煙が立ち込める。


(この反応はまさか神?!)


 ウェンが判断した時には煙の中心にいた影がウェンを襲うのであった。

 

 まさかの乱入者の登場!!

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