表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/117

65話 リュウガvs龍帝

 龍帝との戦いです。

 運命の宿木にてウェンが、


「今迎えに来るそうです」

「誰が? 誰を?」


 何やら念話で会話していると思えば上のようなことを言いだした。それに対してマイが疑問を投げかけるとそれに答えたのはウェンではなくリュウガだった。


「龍帝が俺をだろ?」

「えぇ、彼の事ですから。もう」


 着くでしょう。とウェンが言おうとした瞬間にギルド前に雷が落ちる。


「うわぁぁぁぁ!!!!」

「キャーーーー!!!!」

「何だ何だ??!!」


 冒険者ではないギルド職員は悲鳴を上げたり驚愕する。冒険者組は警戒する。外から発せられる気配はサブマスターのリュウガよりも龍であるウェンよりも強いからだ。そんな様々な反応をするギルドメンバーたちに、


「それじゃあ行ってくる。勝ちに行くが勝率は2割あれば良い方だからもし俺が死んだらサブマスターはレイに頼む」


 そう言ってリュウガはギルドから出ようとする。そんなリュウガにマイやヒカリは何かを言いたいが外にいる龍帝の気配に気圧されて声がうまく出ない。そんなマイたちに、


「それでは私も見届け人として行きます。もし主様が死んだらそのまま脱退しますので手続きはそちらでよろしくお願いします」


 ウェンも外に出る。そうして2人が外に出ると、


「こうして直接話すのは初めてだな。練龍牙」

「今はリュウガ・レンだ」

「細けぇな。まぁいいか。分かってるな? 来た理由は」

「分かってる。だが場所は? 俺はここではやりたくない」


 2人がこのまま戦えば確実に後ろにいるギルドメンバーは全員死ぬ。例えウェンの結界があったとしても寿命が多少伸びるだけで結果は変わらない。そんな心配をするリュウガに、


「安心しろ。オレ様たちが戦うのに相応しい場所がある」

「どこなんだ?」

「龍神が産まれたとされる土地。龍脈谷」


 そう言って龍帝はリュウガとウェンに近づくと2人の手を掴むと、


「善は急げだ」


 雷速で飛び立つ。そんなめちゃくちゃな速度であってもリュウガが無事なのはウェンが周囲に結界を張って風圧等から守っているからだ。それでも龍帝が移動の際に流れる電力はもろにリュウガに浴びせられている。これがリュウガではなく他の人間ならば即死である。魔力が高い者ならばその魔力で防御しても黒焦げになり死亡する。リュウガは天性の肉体で無事であるが全くの無傷とはいかず所々焦げているし痺れによる弱体化もしている。そんな中での移動であるが流石は雷速。あっという間に目的地である。龍脈谷にたどり着いた。


「なんつーか雰囲気あるな」


 濃い霧に包まれた深い深い谷。何より土地からは力が溢れているのが分かる。


(死の気配で視るとより分かるな。これが龍脈ってやつか? これを殺すとなると相当脳に負担がかかるな)


 なんて感想を抱く。リュウガや龍鬼は生物だけでなく現象にさえ死の気配を視てそれを壊して死を与える事が出来る。だが生物よりも視るのは難しく壊すとなるとより難しく脳に負担がかかり下手をすると死ぬのだ。そんな力を身につけたリュウガは改めて龍帝を視る。圧倒的な死の気配を感じる。


(下手に動けばあっという間に殺されるな)


 出方を伺うか。色々と思考を張り巡らせる。


「それではお二人とも死力を尽くして下さい」


 見届け人のウェンは自分に結界を張り2人から離れる。それを見届けると、


「先手は譲ってやる」

「お言葉に甘え・・・・てっ!!」


 初手から全力の神凪を放つ。首を狙った一撃。それは龍皇クラスであってもただでは済まない一撃であったが、


「悪くはないがオレ様には届かない」


 全く斬れない。しかも、


(あざもつかねぇとか終わってんだろ!!)


 全力の一撃の結果があざもつかないという事態にキレる。そんなリュウガに雷撃が襲う。


「ガアァァ!!!!」

「オレ様に触れてるんだからそうなるわな」


 そう言って思いっきり膝をついてるリュウガの事を殴り飛ばす。岩壁にぶつかり崩れた岩がリュウガを襲い駄目押しの雷撃もリュウガが襲う。


「流石に死なねぇだろ。頼むぜ。ウォーミングアップで死ぬのだけは」


 そう言ってリュウガ目掛けて突っ込む龍帝に岩から出てきたリュウガはカウンターを仕掛ける。それに対して龍帝は真っ向から立ち向かう。ガキン! という音が鳴り響きリュウガの刀は龍帝の顔面を狙った一撃は無傷に終わってしまう。逆にリュウガには龍帝の蹴りが腹にもろに喰らい再び吹っ飛ぶ。


「上手いな。殴り飛ばされた時と違って今度は後方に飛んで威力を流そうとしたようだが無駄だ。その後方に飛ぼうとする力も利用すれば威力が上がる。自分で自分の首からを絞めただけだな」


 そう言って天に向かって右手を掲げる。


『豪雷招雷』


 無数の(いかずち)降り注ぐ。


「クッソ!」


 死の気配が見えるところから急いで避難する。無数に降り注ぐとはいえ落ちる場所さえ分かれば問題はない。しかし、


「動きを制限するために使ったんだよこの技は」


 一瞬でリュウガの前に迫り顔面に拳を撃ち込む龍帝に対してギリギリで応戦するが、


「いいのか? オレ様だけに構っててよ」


 降り注ぐ雷がリュウガを龍帝共々襲う。


「がァァァァァァァ!!!!!!」


 リュウガはボロボロであるが雷を司り雷そのものになれる龍帝は自分の技だろうと自然発生の雷だろうと雷ならば無効化出来るためノーダメージだ。それを利用して雷に打たれながらもリュウガを殴り飛ばす。おまけにまだ雷は降り注いでおりリュウガを襲う。煙が晴れて現れたのは黒焦げで衣服もボロボロになっているリュウガであった。そんなリュウガであっても龍帝は追撃を止めない。そんな龍帝の攻撃を『虚無』を発動して防ぐが龍帝の殴る、蹴るといった攻撃は防げるのだが追加攻撃の雷撃は防げない。雷撃も防ぐとなると死の気配を視て殺さないといけない。しかし、龍帝から目をはなす訳にはいかない。結果として雷撃によるダメージがどんどん蓄積していく。そんなリュウガは雷により痺れて動きがどんどん鈍くなる。ただでさえ龍帝の動きはリュウガが無理をしてようやく捌けているのだ。そんなリュウガの動きが鈍ったとなれば、


「限界だな」


 その言葉と共に龍帝の一撃がリュウガの腹を貫こうとした瞬間、それはトドメの一撃であり今日一の威力と速度を持っていたがそれゆえに攻撃の軌道は読みやすくカウンターの格好の餌食となる・・・・はずだった。


「惜しかったな」


 直前で腕を引き戻しその反動による蹴りをリュウガに叩き込んだ。


「がっは!!」


 吹き飛んだリュウガが岩壁にぶつかる前に龍帝はリュウガに追いつき地面に叩きつける。


「動きは悪くない。名持ちの龍とも渡り合う実力はある。だが足りないな。オレ様は他の龍と違って人型であっても龍の姿と変わらない出力で戦う事が出来るんだよ。だからお前が今まで戦った連中よりも圧倒的に実力差があるんだよ」


 そう言って頭を掴まれたリュウガは勢い良く投げ飛ばされる。そこへ、


『龍雷撃』


 雷を模した龍がリュウガを襲い。岩壁を消し飛ばす。それでも、


「防いだか。死にかけなのに良くやる」

「はぁー、はぁー」

 

 死の気配さえ視てそれを壊せば死を与える力により雷撃を殺すことで生き延びる。


「それだけボロボロなのにも関わらずにそれだけの技量を見せたお前に敬意を表して全力で殺してやる」


 そう言って龍帝は、


『モード・雷神龍』


 覇龍を殺した時に使った姿。雷そのものであり神の領域に踏み込んだ姿だ。


「一撃くらいは凌いでくれよ」


 バチンという音共に龍帝は姿を消す。それでもリュウガは反応して背後に回った龍帝に斬りかかる。しかし、死の気配を視ることは出来ず普通の斬撃となり雷となった龍帝には効かずに攻撃を腹に喰らい風穴が空く。


「ぶはぁ!!」


 ボタボタと血が流れる。意識が飛びそうになるリュウガに、


「雷である以上オレ様が移動する際には電荷誘導(ストリーマー)が走る。それでオレ様の出現位置を予測しての反撃とは中々の対応力だ」


 心の底からリュウガを褒める。それだけに、


「残念だ。お前の敗因はスロースターターである事だ」


 2代目当主である練龍鬼も言っていた弱点を龍帝にも指摘される。それでも普通の人間よりは強いし龍帝ここまで戦えるなら充分過ぎる。そんなリュウガに、


「まだ息があるな。このままトドメを刺してもいいがそれじゃつまんねぇ。最期に()()技を使って華々しく散れ」


 龍帝が言う技とは『死閃』の事である。


「あの技が唯一オレ様と対等になれる技だ。死ぬ前に使って死ねよ。オレ様としても全力のお前の技を叩き潰した上で殺したいんだからよ」


 そう言って距離を取る。


「だいたいこれくらいか? あの技が最大威力と速度を発揮する距離は?」


 確認を取るが返事がない。


「立てよ。立てってオレ様を殺してみろよ!!!!」


 龍帝の怒りに反応するように周囲に雷が落ちる。それに対して、


(やはり無茶なんですよ。龍帝に挑むなんていうのは)


 ウェンが心配そうにしていた。龍神である練龍鬼に止められているためこの戦いに入り込めない。仮に入り込んでも太刀打ち出来ないがそれでも主人であるリュウガを守る事は出来る。しかし、それすら許されない。そんな自分に対して悔しさを滲ませていると、


「少しくらい待てよ、こちとら腹に穴が空いてんだからよ」


 ふらふらになりながらもリュウガは立つ。その目はまだ死んでいなかった。まだ勝つ気でいる。


「お望み通り使ってやるよ。練家最強の技を!」


 刀を地面に這わせるような独特な抜刀術の構えを取る。そして深呼吸をして覚悟を決めて、全神経を龍帝を殺す事だけに集中させる。そんなリュウガに満足そうに笑い、


「それで良い! そんなお前を殺してオレ様が龍神になる!!(全魔力を右手に集中させる!!)」


 龍帝の右手が刀へと変化する。


「雷刀・天裂(あまざき)


 雷のような形状をした刀となった右手の鞘代わりに左手を添える。龍帝の最強の技にして覇龍を両断した一撃『豪来一閃』の構えだ。


「さぁ、決着をつけるぞ」


 勝つのはリュウガか龍帝か。決着は一瞬であった。


 




         次回決着!!

 ブックマークと下記の評価して貰えると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ