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53話 レイの修行

レイの修行ターンです。

「私の相手はどなたになるのめしょうか?」


 そう言ってレイが入った部屋にいたのは、


「そうですか。貴方が相手ですか」


 レイの視線の先には白の着物を着た男がいた。


「久しいな。最後に会ったのが俺が死ぬ前日だったか?」

「そうですね」


 そう言って2人は殺気を放ちながら構えを取る。


「一本取らせてもらいますよ。()()

「やってみな」


 その言葉と共に抜刀術で2人はぶつかる。剣速はやや師匠が勝っていた。しかも、


「剣速は速くなったが力は変わらず弱いな」


 そう言ってレイは壁ギリギリまで吹き飛ばされた。そこを追撃するように突きを放つ師匠。それを紙一重で避ける。しかも、そこからの斬り払いをしっかりと刀で防ぎきる。そこから2人は距離を取る。


「今ので仕留められないのはショックだな。俺の必勝法なんだがな」

「貴方の戦い方は私が一番知っています。一番弟子なんですから」


 ワ国にてレイは師匠であるフウガ・ミコトの経営する剣術道場の一番弟子として活躍していた。


「貴方が病で死んだせいで私は貴方を超える機会がなくなりショックでしたがここに来れたのは幸運でした」

「だから言ったろ。旅に出れば良い出会いがあるって・・・な」


 そう言うとフウガは斬りかかる。その剣撃により髪が斬られたがそこにカウンターで斬りかかるがあっさりと避けられてしまう。しかし、


(こんなのは想定の範囲内ですね。師匠の戦い方は今でも体に染み付いてる。後は私が超えるだけ)


 そうして一進一退の攻防を繰り広げる。しかし、レイはところどころ服どころかかすり傷ではあるがそこそこ血を流しているのに対してフウガは一切の傷がなくせいぜい服にホコリがついた程度である。


「俺相手にここまで粘れるなら相当強くなってるみたいだがまだまだ俺は超えられねぇよ」

「やってみないと分からないでしょう」

「それもそうだな」


 そう言って改めて構えをとるフウガに悪寒を覚えるレイは瞬時に警戒レベルをMAXにする。


(戦闘方法は変わらないでしょうが師匠の本気は見た事がない。ここからは未知の領域ですね。心しなくては)


「本気を出させたんだ。しっかりと楽しませろよ。一番弟子!!」


 そう言うと一瞬にして距離を詰めてからの突きを放つ。それを刀で確実に受け流す。まさか受け流されるとは思わなかったらしく、


「あり?」


 と声を出して驚く。その隙を見逃さずに腰に刺した鞘で顔面を思いっきりぶっ叩いた。


「よし! まずは一発ですね」


 そう言って一旦距離を取るレイ。


「いてて。師匠の顔面を躊躇なくぶっ叩きやかって恩知らずめ」

「本気で戦ってるんですから当然でしょ?」


 そうして改めて構え直すレイ。そんなレイを見て、


「正直今の突きを防がれるとは思わなかったな。褒めてやる」

「貴方が最後に残した言葉通りに旅に出たらとんでもないバケモノがいたんですよ」

「へ〜旅に出ろとは言ったが俺並みか以上の奴がいるのはショックだな」


 がっかりするフウガに上段斬りで襲いかかるもあっさりと止められる。


「こんな撒き餌に引っかかるなよ」

「待ってばかりでは勝ち目が転がってこないでしょう?」

「ごもっともだな」


 そこで会話が途切れる。そこからの激しい斬り合いは先程とは違いフウガの剣速に対応するために刀と鞘を駆使しての変則の二刀流でレイは応戦する。


(これなら戦える!)


 最初の斬り合いとは違いレイの鞘を駆使しての変則二刀流になってからは僅かではあるがレイが優勢をとっている。フウガにも切り傷が増えてきていた。


(押し切る!!)


 ギアを上げた事により更にレイはフウガへつける傷の数を増やしていく。それでも致命傷を避けているのはフウガの実力の高さが伺える。それでも、


(師匠を超えれないならサブマスターを超えられない!! ここで決める!!)


 そんな気合いの入った一閃を放つ。


 ドサッ! 言う音にプラスしてブシャー! と言う音が自分の周囲に聞こえる。何となく何があったのか分かる。しかし見るのが怖い、それでも見る。見るしかなかった。


「うあーーーー!!!!」


 右腕が斬り落とされたいた。ドサッという音は右腕が落ちた音でブシャーは血が噴水のように派手に出ていた。急いで服を破りそれを切り口に巻き付けて止血をする。


「勝ちを急いだな・・いや、むしろ遅かったな。俺がお前の二刀流に慣れる前に本気の一撃を放っていれば最低限でもより切り傷を増やしてなます斬りにも出来たし上手くいけば致命傷を与えてそのままじっくり攻め潰せた」


 弟子に負けるならそれはそれで良かったのだが結局届かない事に残念そうにしながら喋る。


「そうかも・・です・・ね」


 そう言いながら残った左腕で落ちた右腕が握ったままの刀を拾い直して構える。


「まだやるってんなら一番弟子でも容赦なく殺すぞ」


 そう言ってフウガも構える。そして殺気を滲ませる。これにレイは怯まない。


(この()()の殺気はもう日常的に浴びてます)


 リュウガとウェンという運命の宿木が誇る最強戦力に比べれば大した事ないと自分を奮起させる。それに何も勝算がないわけではない。


(失敗すれば死ぬ・・・・それでもやらきゃ結局死ぬ)


 覚悟を決める。そんな覚悟決めた表情をするレイに対してヒビキは、


(カウンターで首を刎ねるもしくは自滅覚悟の特攻だな)


 そう判断する。そして抜刀術の構えになる。それを確認してレイも構えを変える。その構えはサブマスターであるリュウガと同じような地面に刀を走らせる形の抜刀術の構えだ。


(俺の知らない技でくるみたいだが最初の挨拶とは違う本気も本気の抜刀術で仕留める)


 フウガはワ国最強の剣士にして最速の抜刀術を使う。そんなフウガは絶対の自信を持つ抜刀術で仕留める決意をする。


「フウガ・ミコト参る!!」


 その言葉と共に高速の抜刀術を放つ。それは練家の龍神になってない当主たちよりも早い速度の抜刀術。それを迎え打つのはフウガの一番弟子のレイ。そんなレイはリュウガとのとある日を思い出す。


「主様が使える最強の技で来てください」


 いつものリュウガとウェンの訓練を何かの参考になればと見学に来ていたレイのためなのかはわからないがウェンは突然そんな事を言い出したのだ。そしてリュウガは本気でウェンを殺す気なのか凄まじい殺気を放ちながら刀を地面に走らせるような形の変則抜刀術を構える。そこから放たれた技は、


        『死閃』


 この技は龍であるウェンでも完璧には防ぐ事が出来ずにその顔に傷を負わさる事に成功した。そんな技をレイも擬きではあるが放ち、


「見事だな。俺の本気の抜刀術を上回る技があったとはな」


 刀は折られて自身もざっくりと斬られて激しい出血をして地面に倒れ伏すフウガがいた。傷は心臓にも届いているようで今にもこの部屋から消えそうになっていた。


「私が所属するサブマスターの技です。と言っても私のは擬きで本家には圧倒的に劣ります」

「本家本元の技を見たくはあったが所詮は死人だ。それに弟子が師匠である俺を超えたのは嬉しい限りだ」

「最後の稽古ありがとうございました」


 膝をついて礼をする。その姿を見てフウガは部屋から消滅した。フウガが消滅してからも暫く姿勢を崩さずにいたレイも部屋から出た。そんなレイに、


「ちょっとレイさん! 腕は?!」


 ルイが心配そうに駆け寄る。


「斬られてしまいました。エリクサーなら直せるでしょうが戒めとしてこのままで生きていきます」


 レイの瞳は覚悟を持っていたのでこれ以上は無駄と判断してルイも黙る。そんな沈黙をヒビキは破り、


「後はサブマスターだな! それにしても遅い! 死んだか?」


 ガッハッハッ!! と笑うヒビキにルイとレイは怒りの言葉を出そうとしたその時、


「逃げるぞ!!」


 そう言って龍皇はヒビキとレイを抱えて翠龍がルイを背負う。


「何だ急に? どうしたんだ!?」


 パニックになる3人。そんな3人に説明しようとする前に修行の部屋がぶっ壊れてリュウガとそのリュウガに似た男が出て来るのであった。

 次回は久しぶりの主人公のターンです。えげつない文量になると思います。

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