51話 ルイの修行
ルイの相手はあの人だ
「さぁ、一体何が来るのかしら」
扉を潜った先は真っ白な空間がありそこにルイは1人聖槍を構える。いつでも戦闘の準備は出来ている。そんなルイの前に現れたのは、
「いや〜君とまた戦うことになるなんてね」
現れたのは剣聖であった。そんな剣聖・・カゲトラにルイは、
「せっかくなら聖剣持ちのあんたに勝ちたいんだけど」
「こっちもどうせなら聖剣と聖槍の性能比べをしたかったんだけどこの部屋はあくまでも入室した人間の深層心理から相手を選ぶようだからあの時のリベンジを君がしたいと思ってるんじゃないのかい?」
「成程・・ね!!」
そう言って聖槍による突きを放つ。
「せいっ!!」
それと同時にカゲトラは右手を振るいリュウガから盗んだ技である無刀の『神凪』で迎撃しようとするがそれをなんなくルイの突きは突破する。
「おっと」
突きを交わしてもう一度『神凪』を放つが、
「舐めんじゃないわよ!!」
斬撃を斬り払う。
ズバン!!
斬り払われた斬撃により壁に傷がつくが直ぐに修復される。
「これなら派手に暴れても大丈夫そうね」
「だね」
そう言って2人は笑みを浮かべて激突する。ルイが繰り出した突きをカゲトラは蹴りで上へと弾く。
「甘いわよ!!」
聖槍を無理矢理振り下ろしてカゲトラを地面に叩きつけた。
「ぐおっ!」
ボコン! と音共に地面にヒビを入れる程の威力に流石のカゲトラも苦悶の表情になる。
「トドメ!」
そう言って聖槍による突きを頭に放つが手のひらで受け止められる。
「いったい・・な!!」
貫かれた状態でそのまま聖槍を掴んでルイを投げ飛ばす。
「ほっ・・と」
空中で体勢を整えて壁に着地して地面にゆっくりと降りるルイにカゲトラは突っ込んで左ストレートを繰り出して顔面を殴る。殴られたルイは一旦距離をとる。
「まったく騎士が女を殴ってもいいのかしら?」
「普通は駄目だけど敵として戦う以上は差別しないさ」
そう言って貫かれた右手をぐっぱとして動作確認する。それを見てルイは、
(聖剣の性能ならあの程度の傷なら回復するはず。それがないって事はあくまで素の身体能力だけの実力か)
聖槍を持った自分と聖剣なしでのカゲトラの実力は一応ルイが勝っているがそれでも喰らいつくカゲトラに戦慄する。
(本当にバケモノね・・それに余裕勝ちするサブマスも)
まだまだ自分は弱いことを痛感するが、
「だったらここで強くなればいい話よ!!」
そう言って聖槍を構え直す。そして聖槍の力を引き出そうとするが、
「させないよ!」
カゲトラは高速で突っ込み目を潰そうとしてきた。
「げっ!」
がしっと腕を掴んですんでのところで防いだ。
「これからだってのに邪魔すんじゃないわよ!」
「あんな隙だらけなら普通の反応だよ」
カゲトラの言う通りだ。ルイの弱点として挙げられるのは聖槍の性能を引き出すのに時間がかかるという事だ。一対一においては致命的すぎる。剣聖レベルが相手だと本気を出せずに終わる可能性もある。
(だったら今ここでその弱点を克服してみせる!!)
再び聖槍の力を引き出そうとする。
「だから・・さっ!! 無駄だよ!!」
そう言って腹に蹴りをぶち込むカゲトラによりルイは壁まで吹っ飛ばされる。
「がっは!!」
血反吐をぶちまける。倒れるルイに、
「勿体ないね。もっとスムーズに力の解放が出来れば良かったのにね」
そう言ってトドメの一撃を繰り出すが、
(ここだ!!)
ルイは渾身の突きを放つ。それでも、
「まだ甘いよ!!」
そう言ってカゲトラはトドメの一撃を速攻で止めて聖槍を掴む。しかし、
「これは・・・無理か!!」
掴んだが高濃度の魔力を纏った聖槍により手が焼けるのを感じる。それにより一瞬だけ力が緩んでしまったのをルイは見逃さなかった。
「あたしの勝ちだ〜〜〜〜!!!!」
ルイの放った突きによりカゲトラの腹にでっかい穴が出来た。それどころかカゲトラの背後の壁まで穴が出来ていた。
「この部屋によって作りだされた存在とはいえ酷いことするな〜」
そう言ってばたりと倒れた。
「これくらいじゃないと倒せないあんたが悪いのよ」
そう言ってぺたんとルイも座る。そんなルイに、
「聖槍の力を自分には反映させずに聖槍に全魔力を集中させたのかい?」
「そうよ。これなら早くに力を溜めれるし攻撃力も跳ね上がる」
ルイは聖槍の力を自分に流すのはやめて自分の魔力を聖槍に流し込んで聖槍の元々の魔力と合わせる事で前にドラゴンや鬼を討伐した時よりも絶大な威力の突きを放つ事に成功したのだ。
「あ〜疲れた。聖剣なしなのにこの強さってどうなってんのよあんたは」
「そんなボクに勝ったんだから誇りなよ」
そう言ってカゲトラは部屋から消える。それを見届けてからルイも部屋から出て行く。すると、
「へっ?」
「あんっ?」
まさかのヒビキも部屋から出てきた。
「クソが1番乗りだと思ったんだがな」
ボリボリと頭を掻くヒビキ。
「おあいにくさまね! あたしは剣聖を倒したわ!」
自慢気に語るルイに、
「こっちは鬼だ! 前回倒した奴よりも強い鬼に1人でだ!!」
とヒビキは噛み付く。
「盛ったんじゃないでしょうね」
疑うルイに、
「儂なら記録を映像で見せれるぞ」
翁が口を挟む。そんな翁に、
「頼むわ!」
ルイはお願いした。
「いや、待てよ! まずはお前と剣聖の戦いを見せろ!」
ぎゃーぎゃーと喧嘩する二人に翁は、
「安心しなさい。同時に見せれるからの」
そう言って二人の近くに歩み寄り、
「これが各々の修行の様子じゃよ」
そう言って翁は二人の頭にぽんと手を置くと映像が流れ出しのであった。
次回はヒビキの修行回です。お楽しみに。
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