50話 秘密の修行場
修行場にいよいよ到着。新たな龍の登場をお楽しみに!
「一体いつになったら着くのよ〜」
ルイが文句を言う。しかし、それも無理もない。ひたすらに険しい道のりを通ったうえで道中はモンスターを狩り続けていたのだから。その中にはドラゴンに匹敵するモンスターもいた。
「安心しろよ。そろそろ着くからよ・・ほら下を見ろ」
そう言って龍皇が指差す方向を見るとそこには森が鬱蒼と茂っていた。
「あの森の中にあるのですか?」
レイの言葉に頷ずいて龍皇は、
「そうだ。あそこに龍や特別な人間しか辿り着けない修行の場がある」
答える。それに対して、
「そもそも気になっていたんだがおかしくないか? お前らに修行なんて必要ないだろ?」
リュウガの質問に、
「当然の疑問だな。答えは簡単だ。あの森は龍が管理しているからだ」
そう言って森へと続く道へと4人を案内する。
「デカくねぇか?」
ヒビキが言うように木々の一本一本がデカいのだ。さっきは相当高い山の山頂から見ていたので分からなかったが一体どれだけの時を経て育ったのか分からないような木々が森を形成しているのだ。
「そりゃそうだろ。龍の力が起源の森だからな」
そう言って森の中を案内しようとした龍皇だったが、
「お久しぶりです。龍皇様」
緑髪の幼い少女が現れる。ヒカリとどっこいくらいだろうか? そんな少女ではあるが、
「龍よね?」
「龍だろう」
「逆に龍じゃなかったらとんでもないバケモノですよ・・いや龍の時点でバケモノですが」
なんてリュウガ以外の3人はヒソヒソと話す。何故ならその少女が発する圧力が異常なのだ。自分たちどころかリュウガよりも強いのを確信したからだ。
「久しぶりだな。ウェン・・龍姫から念話があったと思うがこいつらに修行場を使わせる事になった・・だから」
「分かったいます。それではどうぞ」
そう言って少女がパンッ! と手を叩くと森が割れて一本道が出来上がった。
「よし、行くぞ」
そう言って進む龍皇に4人は続く。
「あの娘がこの森を管理する龍なのですよね」
レイの質問に、
「そうだ。あいつがこの森の管理者の翠緑龍のスイだ。見た目通り若くてまだ20にも届かない」
その言葉にリュウガは、
「そういや気になったんだがお前ら龍ってどう増えるんだ? 龍同士の交配か?」
「単為生殖だったりお前の言うように交配だったり自然発生だったり生まれ変わりだったりと様々だ。ちなみにスイは先代翠緑龍がその身を木に変えてその木の実から産まれた龍だ」
へ〜と質問したリュウガだけでなく3人も龍の神秘を知れて目を輝かせた。そんな感じでゆる〜く会話をしているうちに、
「なんだこりゃ?」
ヒビキから素っ頓狂な声が森に響く。理由は簡単だ。森には似合わないような遺跡が出てきた。
「いつの時代ですか? というか下手な国よりも発展しているような遺跡ですが?」
レイの質問に、
「それは中にいる龍に聞きな」
龍皇の言葉に、
「はぁ? 他にも龍いんのかよ!!」
リュウガの驚きにくくっと笑いながら、
「いいから来いよ。1番の穏健な龍だからよ」
その言葉を信じられる程の信頼は築けなかったので全然信じてないのだがそれでも龍皇に続いて歩いた。そうして遺跡を歩いていくと奥の方に宮殿のような建物が見えた。
「この中に修行の場がありそこに管理している龍の翁龍がいる」
そう言って建物の中へと入る。そこは遺跡の古さを思わせない程に不自然な綺麗さがあった。そんな所にヨボヨボの爺さんがいた。
「よう翁! お迎えはまだそうだな!」
なんて失礼な事を言いながら龍皇はその爺さん龍に近づく。
「相変わらずじゃな。もっと優しい言葉をかけてほしいものじゃ」
「その様子なら大丈夫だな」
くっくっと笑う龍皇。そんな感じで会話を続ける龍たちに、
「お〜い、早く修行場の説明してくれ」
痺れを切らしてリュウガが話かける。話しかけられて翁龍は、
「おお! お主が龍神様の末裔か! あの方とうり2つじゃ!!」
嬉しそうに近づく。そんな翁龍に、
「龍神・・反応的には二代目か・・面識がおありで?」
「まぁの。始まりの龍神様が精神世界ではあるがご紹介して貰えたのじゃよ」
懐かしいの〜と昔を思い出に浸る翁龍に、
「翁! 思い出に浸んなよ! この場所の説明をしてやんな」
龍皇の言葉に、
「おぉ! すまんすまん。そこに扉があるじゃろ」
そう言って扉を指差す翁龍。その指差す先にある扉を4人は見るが何の変哲もない扉にしか見えない。
「あそこに入ると入った人物の深層心理を読み取り出来を生み出す。そしてそいつを倒すか死ぬかしないと出られないという地獄の修行場じゃ」
ごくりと何人かの唾を飲み込む音が響いた。
「出る相手によってはただの虐殺になるから修行場としてはクソだがお前レベルの修行はここしかないだろ」
龍皇がリュウガに話す。
「まぁ、俺は龍帝に勝たなきゃ死ぬからやるしかないがお前らは無理する必要は」
ないぞと言おうとしたところで、
「「「やる!!」」」
3人が嵌りながら答える。
「その心意気やよし!! あの者といい最近の人間でありながらやる気があるのう」
翁の言葉に龍皇が反応する。
「何だよまさか龍の案内もなく人間がスイの森を抜けたのか?」
「当代剣聖が半月前に訪れたのじゃよ。生で見て確信したが神からの加護を受けておるな」
「へ〜その上に聖剣は妖精の加護もあるんだろ? 初代剣聖よりも強いんじゃねぇか?」
「今は劣るが潜在能力は圧倒的じゃな。しかしいずれは初代を超えて我々龍とも戦える存在になるかもな」
ホッホッホと笑う翁龍に龍皇もつられて笑った。そんな2体の龍は放っておいて4人は扉の前に行き、
「同時に入っても良いのか?」
「問題ないぞ。各々が別の場所に飛ばされるからな」
その言葉を聞き、
「それじゃあまたな」
「またね」
「おう!」
「それではまた後で」
4人は扉の中へと入るのであった。
次回は久々の幕間で剣聖の修行場の戦いを書きます。お楽しみに!
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