41話 鬼
久しぶりの更新なので張り切りって書きました。そして、更新マジで遅れてゴメーン!
「最近近くの森のモンスターの食べられている死体が大量に発見されているそうで、その調査依頼ならびに原因の解決の依頼が総本部から来ているのですが誰が受けますか?」
受付嬢の言葉に、
「悪いが俺はパス。未だに発火が続いて依頼を受けるのは無理」
なんて言うリュウガに、
「そんな体で妖精と戦いに行った男が何言っての」
ルイが口を挟む。
「あれはウェンに言われて仕方なくだし、そもそも総本部からの依頼を万全の体じゃねぇのに行くのは不本意なんだよ」
リュウガは未だに発火現象が続いている。最初の頃に比べれば頻度は減ったが得体の知れないモノがリュウガ以上の強さがある事はそうそうないだろうが念の為だ。
(まぁ、ウェンが何も視てないなんてことはないだろうがな)
千里眼を持つウェンが口を挟まないという事は今森で起きてる事態はウェンやリュウガが出る幕ではないという事だろうと思い、
「ソウとラン、それから1人念のためにSランクの誰かついて行ってやればいいだろ」
とリュウガは言ったが、それに、対してウェンが口を開いた。
「いえ、この依頼はルイ、ヒビキ、レイを前衛にギルマスが補助魔法で援護しなさい」
リュウガとウェンを除けば運命の宿木の最高戦力のフルパーティーの出動要請に、
「森にいるのは何だよ? その4人で行かせるレベルの相手なら俺もしくはお前が行ったほうが良いだろ?」
という、リュウガの問いに対してウェンは、
「勿論、主様か私が行っても良いですが前回、妖精との戦いに連れて行けなかったので今回はそれの埋め合わせです」
そのウェンの言葉に、
「妖精クラスの奴が今、森にいるのか!」
ヒビキは嬉しそうにして、ウェンに詰め寄り。声は出さなかったがルイも気になるのかウズウズとしている。そんな2人に、
「相手は出会ってみてのお楽しみです」
と、ウインクしてさっさとウェンは自室に帰って行った。
そんな訳で前日にいなかった、レイにも依頼の内容そしてウェンから出た発言にはレイも嬉しそうにして今は、ウェンが選んだメンバーと共に森にいる。
「それにしても妖精の代わりとなると何だろうね〜。ドラゴンはデカいからギルドが把握してるはずだし妖精はコロコロと居場所を変えないからな〜」
マイは色々と考えてみてはいるがあまりにも情報がなさすぎる。ルイやレイも考えてる中ヒビキは、
「俺は分かったな」
そう言って、双剣を構える。
「早くないですか? まだ何の気配も感じませんが?」
そう言いつもレイも抜刀の構えをとり、ルイも聖槍を構え、マイは杖を構え直して3人に攻撃、防御のバフ魔法を構え、自身にも結界を張った。
「感じるんだよ。俺と同じ気配をな」
同じってなに? とマイが聞こうとした瞬間、
「ギルマス!」
レイの視線の先、マイの後ろにいる者に気づき、声を荒けるがその者によりマイは数10m先まで吹っ飛ばされた。
(ギルマスは、結界を張っていたから無事の筈! それよりよもこいつは!)
マイを吹っ飛ばした相手は、ヒビキが同じ気配を感じたのも頷ける。その正体は、
「鬼、、、、ですか」
レイは静かに呟く。‘鬼‘ それはドラゴンや妖精、伝説のモンスター並みに珍しい種族である。筋骨隆々の肉体に頭には天を貫かんとばかりに生えた角が特徴の大男である。ヒビキは鬼人であるためその気配に早くに気づけたのだろう。
「今の手応えは殺せてないな。結界か? 本気ではなかったが俺様の1撃を耐えれるとは中々の魔法使いだ!喰らいがいがあるなぁ!」
とニヤニヤ笑う鬼に対して、
「人のギルドのマスター吹っ飛ばして、笑うな」
そう言って、ルイが突きを放つが、
「フン!」
ガキィン!
という音と共に火花が散った。そこらのモンスターなら大穴が空くレベルの突きを額に生えた1本角で受けたのだ。
「粋がいいな! お前も喰ってやるよ!」
(やばい!)
先程のマイを吹き飛ばした1撃よりもデカいのが来るのは理解したが避けるのが間に合わずに喰らっていただろう。来ていたのがルイ1人なら、
「先走んなよ!」
「助太刀します」
ヒビキが蹴りを顔面に叩き込み、レイの居合斬りが鬼の胴に入り、数m吹っ飛ばしたが、
(硬いですね、薄皮1枚といったところでしょうか)
レイには全く斬った手応えがない。ヒビキの方も、
「流石は1本角だな」
分かっていたように言葉を吐く。
「2人共ありがとう。それで1本角だと何か違うの?」
お礼を言いつつ、ヒビキに問いかける。勿論。警戒は解かない。
「基本的に鬼の角は2本なんだよ。だが稀に1本角が生まれるんだがそいつらは普通の鬼の数倍強くて、ドラゴン、妖精には勝つのは当たり前だ」
「成程、それ程の相手ならこのメンバーで挑むのも納得ですね(ウェン様の言う通りこれなら妖精の代わり、何ならそれ以上の獲物ですね」
ヒビキからの説明を聞き改めて、吹っ飛ばした鬼の方に目線を向けると、
「最近、歯ごたえのない獲物ばかりを喰っていたが今日はついてるなぁ! さっきのメスも含めて4人全員喰ってやるよ!」
大した怪我もなく戻って来た。
「分かってはいましたがこたえてませんね」
「そもそも、ヒビキが蹴りじゃなくて双剣で目から脳を刺したら勝ちだったでしょ」
「アレの硬さを予想したら力を解放しないと無理。そもそも吹っ飛ばさなかったら死んでたのはどこのどいつだぁ?」
3者3様の反応をする。それを、
「少しはギルマスの心配したらどうなんですかね」
と千里眼で視ていたウェンが呟く。
「吹っ飛ばされたつっても、結界があるし無事なんだろ? それが分からない連中じゃねぇし、あいつがすぐに戻らない理由は単純に足が遅いっても分かってるから今は鬼に集中してるんだろ」
リュウガはウェンからの視界を共有魔法で受けれないため様子を視れないため口頭の説明しか受けてないがそれでも充分な情報は受けている。
「それにしても1本角の鬼なら今の俺でもキツいから、訓練にちょうど良かったんじゃねぇの?」
「そうですね。今の主様となら発火現象もあるので中々いい訓練になりますがもし龍皇との最後の1撃を放てたらそれで終了奴なので、今回は彼女達に任せました」
「それなら、それで構わねぇよ」
そう言って、リュウガは寝っ転がる。心配してない訳ではないがこれ位を乗り越えないと自分が死んだ後のギルドがNo. 1になる事などないのだから。そう思い目を閉じて空の旅を過ごす。ちなみにリュウガとウェンは今、奴に会うためにウェンによる空の旅の途中だ。
そんな2人の空の旅を知らず、鬼と対峙する3人は、
「早く、ケリをつけないとバフがきれますね」
「ギルマス、足遅すぎだろ! バフかけ続けないとこいつの相手は面倒だぞ!」
「なら、ワタシが聖槍の力を解放するから2人で時間を稼いで!」
そう言い、ルイが聖槍の力を解放しようとすると、
「いや! 俺が鬼の力を解放してあいつを殺す!」
ヒビキが張り合ってきた。そんなヒビキに、
「鬼の力だぁ? お前鬼人かぁ! 人間なんて脆い種族のメスと交尾するような鬼の恥晒しから生まれた雑魚が俺様を殺すとか身の程をしれやぁ!」
「俺の両親を馬鹿にすんじゃ、、」
鬼に言い返そうとしたヒビキに今日1のスピードでとんでもない威力を秘めた拳が迫った。
(ヤベ、死ぬ)
と確信したが、そうはならなかった。
「今のは危なかったですね」
レイの鋭い1撃を避けるために鬼がバックステップしたのだ。おかげでヒビキは死なずに済んだ。
(確実に腕を斬り落とせる1閃だったんですけどね)
レイの考えの通り、実際あのままいけばそうなっていたのだが凄まじい反応、瞬発力だ。
「良かった、良かった? こっちも結界を張ったけどレイさん、ナイス!」
マイが息を切らしながら戻ってきた。それを確認して、
「ギルマス、私のサポートをお願いします。2人は私が鬼の相手してる間に力を溜めて下さいね」
「まっかせて!」
レイの提案にマイは元気良く返事したが後の2人は、
「「ワタシ/俺だけで充分だ!」」
と未だに張り合ってる。そんな2人に、
「なら、早い者勝ちでいいでしょう? それにのんびりしてたら私がアレを仕留めますね」
そう言って、鬼に突っ込んでいくレイに、
「「舐めんな、ワタシ/俺が仕留めるわ!」」
2人は鬼を仕留めるための力を溜め始める。その気配を背中で感じながら、
(2人共単純で助かりますね)
なんて、思いながら鬼に斬りかかる。そのレイの斬撃を避け、時には角で受けながら、
「この中じゃお前が1番強いらしいな! お前は最後に喰ってやる! 俺様は好きな食い物は最後にとっておくタイプだからな!」
そう言って、拳を顔面に叩き込もうとするも、
「無駄です」
受け流される。レイの剣術は柔の剣。相手の攻撃をいなして相手を殺すのが主な戦術だ。今もカウンターで首を狙ったのだが、
「お前の方こそ無駄だ! メスの腕力で俺様の首は落とせん!」
(確かに硬いですね。ですが間接などを狙ってなます斬りにして弱った所で首を落としますか)
などと怖い顔で考えるレイに、
(美人の怖い顔は迫力があるなぁ)
などとマイは思った。勿論先程吹っ飛ばされたのもあって最初よりもさらに硬い結界にプラスして防御バフもあるのだが。
そんなマイの思考とは関係ないとばかりにレイと鬼の攻防は激しさを増していく。最初は互角に思えたが、
バコン!
という音共にレイが吹き飛ばされた。防御バフと結界のおかげで重症には程遠いがこの隙はデカい。一気に距離を詰められて連撃がレイを襲う。全ての攻撃を捌ききれず何発が喰らう。マイが的確に防御バフの重ねがけをしてるため捨て身で攻撃をするが、
(こいつ! 硬さが増したか!)
そんな馬鹿な! と思うような事だがギアが上がり魔力を最大限に解放した鬼は今までよりも数倍の硬さを持っていた。その硬さはドラゴンの鱗やリヴァイアサンの鱗を凌ぐ。
(私の腕力ではもう刃が立たないですね。地道にやっていけば削れますが今回は譲りましょう)
そう思い、地面を蹴って鬼の目を砂をかけて、バックステップで下がる、
「汚ねぇ、真似すんじゃ、、」
そう毒づくが、瞬間背筋に悪寒が走る。本能的に後ろに下がるが、
「「殺った!」」
黄金の光を纏うルイと、炎を纏い鬼の力を引き出したヒビキ、2人の突きが鬼を襲う。ルイは腹を、ヒビキは両目から脳を貫いた。それを見て、マイは、
「オーバーキルじゃない?」
若干引いていた。こうして無事に鬼を討伐した帰り道にてマイは、
「それにしても2人共力溜まるのに時間かかったね? 何で?」
それに対して、
「仕留めきれなかったらカウンターでこっちが殺されるからね。限界まで溜めたのよ」
「同じく、おかげでレイに先越されると思ったぜ」
「いえ、2人には助けられました。あのままだと千日手になって消耗線になっていましたから」
確かにレイの言う通り、千日手になりはするが一応勝てたと思うがそれでもしんどい戦いだっただろう。
(ギルマスの補助魔法がなければそもそも勝てない相手でしたね、そう考えるとウェン様のパーティー編成は正しかったですね)
3人にバフをかけ、レイが時間を稼ぎ、2人がフィニッシュをかける。これがウェンの想定していたものであり、実際にそうなった。それでも、
(((次があれば1人でも仕留めたい!)))
そんな思いを3人は宿してギルドへと帰って行った。
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それから何度も言いますがマジで更新遅れてすんませんでした。