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34話 魔法使いの国へ

 とある日の事その事件は起こった。


「マイ! 国に帰るぞ、これは命令だ!」


 いかなりギルドに入って来た痩せ型の黒髪の男はいきなりそう言った。その男に、


「兄さん、何でこの国にいるんですか?」

「へ〜、お前兄がいたんだ」

「いやそれよりも大変な事言いましたよね」


 上からマイ、リュウガ、ゴウの反応だが、ゴウの言うように今マイの兄はこう言った、『国に帰るぞ』 とつまりそれは、


「お前この国の人間じゃないんだな」


 リュウガの一言にマイは、


「うん」


 と力ない返事をする。


「でも、わたしは家を出た身だよ。何で今更国に帰る必要があるんですか?」


 マイの疑問に、


「お前の婚約が決まったからだ。お前がいないと話にならならい」


 マイの兄からの言葉に、


「「「「えぇ〜〜〜〜」」」」


 ギルドメンバーから驚きの声が上がる。婚約相手がいるという事はマイはそれなりに上流階級のお嬢様である事を意味する。次々と明かされるマイの情報にメンバー達は混乱している。リュウガも、


(これは俺の時よりもヤバいギルドの危機なんじゃねぇか)


 少し不安を抱く。裏組織とかなら全滅させればいいが家庭の事情では流石に手が出せない。


「とにかく、早く国に帰るぞ。婚約は1週間後だ」

「そんな! 急すぎるよ!」


 確かに急すぎる。


「仕方ないだろ。相手が相手なんだから」

「誰なのさ」

「うちの国の王子様だ」

「「「「はあぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!!」」」」


 とんでもない婚約相手にまたしても驚きの声をあげるメンバー達。リュウガも驚きの表情を隠さずにいた。


(ヤベェ、まじでギルド解散の危機かもしんねぇ)


冷や汗がダラダラと流れる。それを見て、


「主様、あの男殺しましょうか?」


 ウェンが耳打ちする。


「アホ! ギルドの敵になってるがギルマスの身内を殺せる訳ねぇだろ」


 小声で怒鳴るがこのままでは不味い状況なのは変わりない。更には、


「分かった。国に帰るよ」


 マイは帰ると言った。つまりそれが意味するのは、


「サブマスター、皆の事お願いね」


 マイからの笑顔のお願いに、


「分かった」


 ただ一言了解の言葉を吐きだした。それには、


 止めないの! 止めないんですか? 止めてよ! パパ! などギルドメンバーやヒカリからの言葉をリュウガに投げられる中、


()()()


 そう言ってギルドマスターマイ・クルルガは運命の宿木を出て行った。


「どうすんのよ!」

「どうして止めてくれなかったの」


 ルイとヒカリそれにソウとランもリュウガに詰め寄る。それに対して、


「情報が足りねぇ、ギルドマスターの情報が。それにあいつは戻ってくる」

「何を根拠に言ってるのよ」

()()()、ってあいつは言ったつまりは戻る気があるから出た言葉だ。だから俺達がする事はあいつの情報を知る事だ」


 戻ってくる、その言葉を聞いてさっきまで怒りの表情をしていたメンバーの表情が一転して明るくなったが、


「サブマスは知らないんですね。1番付き合いが長いはずなのに」


 ハンザにそう突っ込まれるが仕方ない。何せマイと会ったのは半年前なのだから。


「あいにく拾われた身でね。恥ずかしい話何にも知らない。だから知ってそうな人に会いに行く」


        魔法学院


 職員会議を終えた魔法学院長ルイン・ドーハは自室から気配を感じて杖を構える。鍵をあけて扉を開けるとそこには、


「初めまして。魔法学院長。運命の宿木サブマスターリュウガ・レンです。うちのギルドマスターについてあなたが知ってる事を教えていただきたく参上しました」


 現れた男を警戒する。当然だ、鍵はかけていたしここは3階なのだからその上、魔法学院は敷地全体に探知結界が張られており関係者以外の魔力を感知して警報が鳴る仕組みなのだ。だが、


「(この男魔力がない? それに運命の宿木と言ったか?)マイ君に何かあったのかね?」


 自分の教え子のギルドの人間なら警戒を解いてもいいだろうと判断して杖を下ろす。


「実はですね、


 リュウガは先程ギルドで起きた出来事を話した。


それでうちのギルドマスターがお世話になっていたあなたに情報を聞きに参った次第です」

「成程」


 2人はテーブルを挟んで椅子に座って話している。


「実は、マイ君は魔法使いのみ国オズワルド出身なんだよ」

「オズワルドですか」


 聞いた事がある住んでいる者の9割が魔法使いで残りは商人だけの国らしく、この国よりも魔法使いのレベルが高いらしい。


「彼女はその中でも有名な名家出身なんだが次期当主である兄よりも優れた才能を持っていてそれが邪魔になると思い家を出たんだよ」

「何故わざわざここに?」


 そこなのであるここらからオズワルドまで馬車でも3日はかかる。


「彼女の父上とは親友だからね。そういった縁があるのを彼女は知ってここで学びに来たんだよ」

「成程」


 知りたい情報は知れた。後は行動に移すのみだ。


「突然の来訪に無礼な数々の行動は全てが終わってから正式に謝罪をします。ありがとうございました」


 そう言って窓から出ようとするリュウガに、


「彼女を、マイ君の事よろしく頼むよ」


 そう言って頭を下げるルイン。その言葉を受けてリュウガは窓から飛び出した。


「そういう訳だから、オズワルドに行ってくる。ランお前も来い」


 魔法学院から戻ったリュウガに、


「相変わらず軽すぎる」


 初期の頃からいるメンバー達には突っ込まれた。


「パパ! わたしも行きたい」


 ヒカリからのお願いに、


「ごめんな、魔力があるヒカリは連れていけないんだ」


 そう言って納得して貰った。オズワルドは魔法使いの国それ以外は国からの許可をを得た商人しかいない国。だから、


「魔力のない俺と魔法使いは出入国自由だからランが行く。残りは留守番だ。ゴウには代理マスターとして働いて貰う」

「分かりました」


 他にも色々と指示を残して、


「よし、行くぞ」

「いや、何この状況?」


 リュウガはランを背負っている。


「お前に合わせてたら結婚式に間に合わねぇから。俺が全力で走る。これが1番だ。後風圧がヤベェと思うから身体に耐物理結界張れよ」

「あ〜怖いけどマイ様のためよね」


 不安そうにしているが、


『耐物理結界・強』


 言われ通り結界を張るラン。それを確認した瞬間、


「行くぞ」


 そう静かに呟いて走り出す。その速度は地面に足跡が残る程だ。


「キャアアアア〜〜〜〜!!!!」


 ランの悲鳴が聞こえるがそれを無視してリュウガは走る。この調子なら余裕で結婚式に間に合うだろう。


(まぁ、ランの事も考えて途中休憩はさむけどな)


 リュウガは魔力がないので分からないがそれでもランが身に纏ってる結界が解ける前には休憩をはさんでまた結界を張り直して走るといった事を繰り返して遂には、


「ようやく着いたな」


 馬車で3日かかる道のりを3日で走りきった。そうして着いたのは壁にぐるりと囲まれた魔法使い達の国オズワルドだ。





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