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108話 龍たちとの別れ

戦争は終結した。そして・・・・

 地上vs天界の戦争は地上の勝利で終わった。しかし、被害はあまりにも大きい。国は一つしか残らず人類は数十万しか残っていない。


「勝ちはしたが素直に喜べねぇな。ここまで人類が減ると結局は滅びるだろ」


 リュウガの言葉に、


「オレ様たち龍にとっちゃどうでもいいがな」

「そうだね。いてもいなくても正直どうでもいいかな」

「ドライだな。龍帝はともかくスイはうちのギルドでそこそこ人とも過ごしたっていうのにな」

「たった数年だよ。龍にとっては一瞬ともいえる時間。そもそも寿命が違う龍と人なら別れは絶対にある。そりゃあドライにもなるよ」

「それもそうだな」

「お前も他人事じゃないだろ。今は()()人間だが死後に龍神になるのは確定したんだからな」

「まぁな。ん? その場合俺はどっちの世界の神になるんだ? 元の世界出身であるが今はこの世界に根をはって生きている訳だが」


 正直神になる事についてあまり深く考えずにいたのでどうなるかが分からないのだ。そんなリュウガの疑問に対して、


「確かにどうなるんだ?」

「わかんない」


 龍帝もスイもわからないらしく、


「ウェンはわかるか?」


 龍神に仕えてきたウェンならと聞いたのだが、


「申し訳ありませんわたくしにもわかりません」

「そうか。まぁ、別にどうでもいいか」

「そうですね。どこの世界の神となってもわたくしは貴方に仕えますから」


 その時になってからでも遅くないと判断した。別に神になったからといって特段何かをするといった仕事がないからだ。それにウェンは変わらずに自分に仕えるそうなんで面倒はウェンに任せようと考えたのだがそこに龍帝が口を挟む。


「仕えるなんて言ったがお前は龍神になるしかねぇぞ。ウェン」

「何故です?」

「今のお前はこの世界のほぼ全ての神の魔力と生命力を喰ったフルールドリスの残滓を喰ったんだ。今のお前は癪だがスイよりもそしてオレ様よりも格上だ。そんなお前は龍神となるべきなんだよ」


 龍帝の言う通り今のウェンは下手をすれば万全の状態のリュウガをも凌駕してしまうレベルになっていた。


「オレ様やスイも地上に居続けるには存在が強大だ。そんなオレ様たちよりも格上のお前は天界に行くべきなんだよ」

「力を抑えればどうにかなるんじゃねぇのか?」

「無理だ。力を抑えても隠しきれないレベルになっちまってんだよ。気づいているだろ? オレ様たちがいる事によって地上が悲鳴を上げているのが」


 龍帝の言ってるとおりリュウガもそれは感じていた。戦争が始まってから地脈から死の気配が大量に溢れていた。普段よりも明らかに地脈の様子がおかしくはあったが戦争に勝たないと意味がないので頭の片隅に置いておいたのだ。


「そうなるとフルールドリスのやり方はクソではあったが結局は俺たちは地上から消えないとなんねぇのか(生きて帰るって約束したんだがこればっかりはしょうがねぇか)」


 戦争前にマイと生きて帰ると約束したが破る羽目になりそうだ。


「お前はまだ大丈夫だな。死の気配は抑える事が出来るんだろ? オレ様たちは神の気配が抑える事が出来ないから神界か冥府に行くしかねぇけどな」

「俺が行かなくてもいいのは助かるが結局は神々(あいつら)の手の上感が強いな」


 冥府の神に祭り上げられようとしていたリュウガと龍帝は必死に戦った訳であったが結局は自分の意思でなるか他人の意思でなるかの違いでしかないようだ。


「クソみたいな場所だがオレ様が()()に冥府に行ってやるよ」

「ん? 最初?」

「お前が死んで龍神になったら冥府に来いよ。またケンカしようじゃねぇか」

「それもありっちゃありだな」


 そう言って笑い合うリュウガと龍帝。


「それじゃあお先」


 バチバチと雷が迸ったかと思えば龍帝の姿は冥府へと消えるのであった。


「私たちも行こうか。ウェン姉」

「先に行ってください。最初の仕事をしておきます」

「?・・・・あぁ、そっか。それじゃあお先に」


 龍の姿となるとスイは神界へと飛び立つのであった。


「最初の仕事は戦争で死んだ連中の蘇生だろ?」

「えぇそうです。とはいえ遺体が残っている場合だけですけどね」


 そう言って龍の姿になるとウェンは天高く飛び上がる。魔力が高まる。その魔力量を持って産まれる存在は現れないと思えるほどの魔力量。その魔力は温かな光となり世界中に降り注ぐ。その光を受けた事により死んだ者たちは生き返る。


「あれ? 生きてる?」

「いやいや!! 絶対死んだだろ!!」

「いや、お前もだろ!!」

「むしろお前が最初に死んだだろ!!」

「ゾンビだーー!!」

「「「ゾンビだと!? どこだ!!」

「お前らだよ!!」


 あちこちで死者が蘇ったためにパニックが起きている。


「事情の説明は・・・・面倒だな。都合の良いことは奇跡とか適当に思い込むだろ」


 一から十まで説明するのは面倒として話すのはごく一部の者だけに決めたリュウガ。そんなリュウガの近くにウェンが人型に戻り降り立つ。


「ふぅ何とか終わりましたね。後の処理は人類に任せます。わたくしたちが神となった以上は人類に関与しません。せいぜいが冥府にいる龍帝が死者の魂を管理するくらいですがそれだけです。ここからは()()()()()です」

「そうか。それでいいだろ。元いた世界もそうだったしな。こっちは神が関与し過ぎたんだよ」

「だから滅びたと? わたくしたちのギリギリの勝利だったのに」

「結果が全てだからな」

「それもそうですね。それではわたくしも」

「あぁ、世話になった。いや、お世話になりました」


 ウェンは龍の中で1番世話になった。だから深くお辞儀をする。そんなリュウガに驚いた表情をするウェンであったがすぐに落ち着きを取り戻すと、


「顔を上げてください」

「?」


 顔を上げるリュウガ。そんなリュウガの頬に手を添えるとウェンはリュウガの唇に自分の唇を重ねる。


「なっ!?」


 バッと離れるリュウガに対して優しく微笑むとウェンは、


「短い間でしたが貴方にお仕え出来て幸せでした。それでは()()


 再び龍となって神界へとウェンは飛び立つのであった。そんなウェンを見届けて、


()()()


 そう言い残してリュウガはマイたちがいる場所へと帰るのであった。


 

 

いよいよ次回で最終回となります。キリ良く110話にしたかったけどそんな上手くはいかないわな。

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