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97話 風の龍と神

 両陣営の主力である風を司りし龍と神が激突する

 風を司る龍、風翔龍は地上にて最高戦力である。そんな彼にとって下級の神はウォーミングアップ程度であり襲って来た全てを風の刃で切断する。


「神といってもピンからキリまでいやがるな」


 つまらなそうにしていた。自分が本気で殺し合える機会なんてものはそうそうないので今回の戦争は地上の命運を分ける大事なものであるが楽しみでもあった。それでも最高神、ゼーリオに近い上級の神でなければ数を揃えても、天使と連携しても彼の敵ではなかった。そんな彼を殺すために現れたのは、


「中々いい風を吹かせているな」


 ジンの体に憑依した風の神、フォンである。


「ようやく、楽しめそうな奴が来たな」


 先程まで相手していた神たちとは明らかに雰囲気も纏っている魔力の質が違うのを感じてすぐさま神の気配を纏う風翔龍に、


「へぇ、龍の分際で神の気配を纏うか。無礼な奴だな」

「はっ! 神の気配によって守られている奴がグダグダ言ってんじゃねぇよ!」


 上級の神との戦闘するにあたっての最大の問題は神の気配、いや、神の魔力である。これは下級の神ならば魔力量が多いもしくは魔力貫通の特性を持った兵器、魔法ならば対応出来るが上級の神には対応出来ない。対応するには同じく神の魔力を纏っている事が絶対条件となる。例外としてリュウガの死を与える能力は神の力を震っているのと変わらないためこれも対抗手段となっている。


「まぁいい。神の魔力を纏った()()で勝てると思っている龍に現実の厳しさを教えてやろう」


 そう言ったフォンに対して風の刃を乱れ打ちする。


「風の神に対して風による攻撃が効くとでも?」


 風翔龍の攻撃は全て無効化されるてフォンの力として吸収されてしまう。


「想定内だ」


 攻撃の隙をついてフォンの背後に回り込むと手刀で首を狙った一撃が叩き込む。しかし、


「蚊でも止まったか?」


 効いていない。


(小手調べ抜きの一撃だぞ!! ちったぁこたえろや!!)


 バッ! と後ろへ下がる風翔龍に対してフォンは風の刃による攻撃を繰り出す。


「意趣返しのつもりか! 俺にも風は効かねぇぞ!」


 フォンの風を取り込んで魔力にする事で自分を強化するつもりであった風翔龍であったが攻撃によりズタズタになる。


「ガハッ! な、何故俺に風の攻撃が? 効くんだ!?」


 フォンと同様に風翔龍も風による攻撃は無効に出来るのに今回無効化出来なかった事に驚愕する。


「当然だ。神の風を龍程度が無効化出来る訳がない」

「俺だって神の魔力を纏っているだろうが!!」

「神の魔力を手にしたのは褒めてやる。だが()()を操るための土台が出来てないんだよ!! そんなんで神の前に立った事を後悔しながら逝け!!」


 そう言ってフォンが暴風で風翔龍を包みこむとその中心にいる風翔龍は切り刻まれる。


「クソがああああ!!!! 俺が死ぬかよ!!『モード風神龍』」


 人型を辞めて龍形態となった事でより神の気配が強くなった風翔龍は暴風から脱出する。


「凄え凄え。確かにこれなら地上では敵なしかもな。()()()()()()


 風の刃を風翔龍に向けて放つフォンに対して風翔龍は回避行動を取ろうとしない。


(龍形態の今なら防御力は先程までの比じゃねぇ!!

このまま突っ込んで奴の首を噛み千切る!!)


 そんな考えの風翔龍を放たれた風の刃は容赦なく切り裂く。


「ぐああああ!!!!」

「最初に放った攻撃は手加減したんだよ。お前が本気を出して龍形態となった時に防げると思って回避を選択しないようにな」


 今の言葉が本当なら全てはフォンの思い通りに戦いが進んでいたという事だ。


「ふざけるなよ。俺は風翔龍だ!! 龍神の資格を有する龍なんだよ!!」


 激昂した風翔龍は自分の作り出せる最大風速の巨大な竜巻でフォンを包み込んで切り刻もうとする。


「無駄だというのに」


 そう言って竜巻に触れて自分の魔力として吸収しようとするが弾かれてしまう。


(ふむ。竜巻に神の魔力を流し込んでいるな。自分だけでなく操る風にも神の魔力を流せるようになったか)


 素直に感心する。これならば上級の神にも攻撃は通る。しかし、通るだけだ。殺せるだけの威力には達していない。現にかすり傷程度しか負っていない。それに、


(神の魔力といってもやはり完全な龍神でないから龍の魔力の成分のが強いから吸収する事は問題なく出来る)


 竜巻を吸収してしまうフォン。それに対して風翔龍は絶望するかに思われたが、


(右手が傷ついてるな。かすり傷だが確かに傷をつけた。やり方は分かった。後はより練度を上げるだけ)


 攻撃を通すことに成功したのを確認して大ダメージを与えるために先程の要領で神の魔力を風に大量に流し込むと風の刃を作り出してそれを放つ。


「ふん!!」


 フォンも風の刃を作り出して迎撃する。


(互角だ!)


 先程までは相手になっていなかったが勝負になり始める。風が吹き荒れる中での両者の戦いは激しくなる一方でありどちらも出血がひどい。そんな両者であるが対照的なものであり風翔龍はフォンに対してダメージを通せるようになったとはいえ最初の攻防でボロボロであり更には慣れない神の魔力操作で疲労と魔力消費が激しい。フォンは確かに出血は激しいが魔力消費は抑えていても互角の勝負を演じている状態である。


「キリがねぇな。これで決める!!」


 全魔力を神の魔力へと変換して風を纏ってフォンに突撃する。そんな風翔龍に対して、


「あばよ!!」


 フォンは超巨大な風の刃で両断する。


「ガッ!!(まだ本気じゃなかったのかよ!!きたねぇ野郎だ!!)


 先程まで互角だと思っていたが先程のようにわざとそう見せていただけらしい。こうして両断されて死んでしまう前に風翔龍は風のブレスを全生命力と全魔力を神の魔力にして解き放つ。


「死ね!!!!」


 上級の神であっても殺せるだけの威力を持っていたが、


「無駄だ」


 吸収して自分の魔力に変換してしまう。


「う、、そ、だろ」


 風翔龍は自分の最強の攻撃をあっさりと吸収されるのを見届けて絶命するのであった。


「馬鹿が。俺がかすり傷を負ったのはわざとだよ」


 そう言って吸収した魔力により傷ついた体を修復するフォンであったが、


「はっ?」


 自分の胴体が見える。そうなったのは胴体と首が離れ離れになったからだ。


「な、何が起こった!?」


 周辺を見渡すとそこには、


「り、龍て」


 言い終わる前にフォンは龍帝の雷によって灰となって死ぬのであった。


「ったくよぉ。結局上級の神連中はオレ様とリュウガで片付けるハメになりそうだな」


 既に龍帝は風の神のフォンの相棒である雷の神ナルカミを殺していたのだ。勝負はあっという間に終わった。両者雷速というとんでもない速度での戦闘が可能なだけに決着は一瞬であった。ナルカミは神の魔力を纏っているとはいえ所詮は龍であると舐めていたが龍帝はそんなナルカミを瞬殺した。雷の攻撃を無効化して自分の魔力にして殺そうとしたが吸収する事が出来ずに龍帝により心臓を貫かれてしまうのであった。


「な、何故、、な、んだ」

「オレ様が()()になったからだよ」


 そう言って心臓を喰らう龍帝。この一年の間に龍帝は龍神となっていた。練龍鬼という最強と呼ぶに相応しい龍神を目にしたのがデカい。イメージではなく実物を見る事が出来たので自分が龍神となった姿を構築する事に成功していた。これにより風翔龍とは違い神の魔力を纏った龍ではなく完全な龍神となったので雷を司る神であるナルカミであっても攻撃を無効化する事ができなかったのだ。何より雷の力抜きの身体能力(スペック)は龍帝が圧倒しているのもあって瞬殺してそのままフォンのもとにたどり着くとそのまま首を斬り落としたのであった。


「さぁ、降りてこいよ!! 大神、ゼーリオ!! オレ様が最強となる礎になってもらうぜ!!!!」


 雷神、ナルカミの心臓を喰らってより強力となった龍帝の雷は上級の神であっても一撃で葬り去るものとなっていた。それを神界から見ていたゼーリオは、


「やはり奴だけは俺が殺さないといけないか(地上に進行した神々は龍神の末裔と残った龍を始末しろ)」


 神々に指示を出していよいよゼーリオは進行を開始するのであった。



残った戦力はリュウガ、龍帝、スイ、ウェンのみとなったがゼーリオを引っ張り出す事に成功するのであった。

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