95話 絶望
龍皇としての力に目覚めたスイが神を撃破! それを見ていた天界のゼーリオは・・・・
「新代の龍皇が覚醒したか」
面倒だなとゼーリオは思うが、
(面倒なだけでこちらの勝利が揺らいだ訳ではない)
天界に残った神々に対して、
「本命の神々よ。決めてこい」
『はいっ!!』
進軍する本命となる上位の神々。
「お前も行ってこい。フェンリルよ」
ゼーリオのペットとなったフェンリルのハクも進軍する。
「あ〜本命が来たな」
先に来ていた下級の神を焼いていた龍帝が本命の上位の神が来た事に気づく。続いて、
「来るよ。気をつけてね。ウェン姉」
「はい」
スイとウェンが気づき、
「ウォーミングアップも終わったし丁度いいな」
下級とはいえ神をウォーミングアップの相手にしてしまっている風翔龍も気づいていた。そしてもちろん、
「ここからだな」
リュウガも気づいた。
「どう出るかな。ぶっちゃっけずっと走り回ってんだよな。少し休みたいがこっからはもう他は頼りにならねぇな」
リュウガはずっと国内を走り回って他のサポートに回っていた。それでも全てを回り切れる訳ではないので全滅してしまったギルドが幾つかある。しかし、これが戦争なのだ。しかも相手は神なのだから。
「まぁ文句言ってる暇はねぇな」
気合いを入れ直すリュウガであったが、
「何だあの光?」
国内から突然光の柱がいくつか出現した。
「あの位置は!」
光の柱が上がった場所に向かう。光の柱が上がっている場所には、ルイ、ジン、レオナ、ゴーレン、キュウイがいる場所である。
(余計な不安を与えないために言わなかったが嫌な予感が当たっちまった!!)
リュウガはカゲトラがゼーリオに乗っ取られ、神の国アルテマにて神の依代となった男を見た時から他にも神の依代となる人間はいるんじゃないかと思っていた。特に神が出現させるというダンジョンに眠る武器を持った者たちは特に可能性があるのではと。
「ヤベェ! ジンの所にはソウがいる!!」
アステラで行動を共にしてから仲良くなった2人は今回の戦争において共にパーティを組んだのだが非常に不味い状況だ。そして、
「はぁ、はぁ、はぁ、、、、ジン、戻って来るっす」
ズタボロになりながら神に身体を乗っ取られたジンに呼びかけるも、
「ジンではない。フォンである。風の神だ。人間風情が話かけるな」
ノーマションによるカマイタチにより利き腕を落とされる。
「ぐぁああああ!!!!」
利き腕を落とされて槍が手元になくなる。
「耳障りな悲鳴だな」
そう言ってフォンは首目掛けてカマイタチを放つ。
(あ〜クソ。結局Sランクになれなかったな〜)
確かに強くはなったがSランクは遠かった。
(こんな事ならルイに告白しておけば良かったな)
同年代であり同じ槍使いというのもあって良く訓練を共にしていたルイにソウは心惹かれていたがついぞ思いを伝えることが出来ぬままその生を終えるのであった。
「さて、龍神の末裔にリベンジを果たしたいがまずは風の龍を殺すとしよう」
そう言って空中に飛び上がる。それと同時にリュウガが到着する。その場で起きた事を瞬時に理解して、
「死ねよ」
跳ね上がり抜刀術で斬りかかるも、
「お前の相手は後でしてやる」
そう言って風で吹き飛ばす。
「ちぃ!(前よりも強いな!)」
アステラにて戦った時よりも出力が高くなっており明らかに強くなっていた。
「それではな」
そう言って一瞬でどこかへと飛んで行ってしまう。
(あいつにばっかり構ってらんねぇな)
急いで他の場所に向かう。何せあちこちで悲鳴が上がっているからだ。
「な、何故ですか。副団長!」
「副団長? 私は鉄の神アイアンだ」
グシャ! と騎士団の仲間であった者たちを次々と聖盾で潰していき地面にシミを作っていく。そして、
「丁度良い位置に依代がいたな。人間共の避難所の防衛に当たっていたとはな」
ゴーレンは騎士団の仲間と共に錬金学院にて国民を守っていたのだが仇になってしまう。
「さぁ、建物ごと吹っ飛ばすとしようか」
魔力を聖盾に集める。そして大きくジャンプする。そして落下による位置エネルギーを合わさり建物ごと押し潰そうとする。
「はっはっはーーーー!!!!」
完全に余裕をかましていた。そんなアイアンを、
『神射』
リュウガが襲う。
「来たな! 龍神の末裔!!」
空中であるが方向転換をする。神は当然のように空中での戦闘を可能にしている。おまけに聖盾の性能も合わさりリュウガの不意打ちに瞬時に反応する。
「邪魔だ」
聖盾ごとアイアンの心臓を貫く。
「はぁ!!」
まさか聖盾が貫かれると思っていなかったので驚きの声を上げる。しかし、リュウガには死の気配を視て壊す事により死を与える事が出来る。それは生物以外にも有効であり物体にとっての死は破壊である。そのため聖盾は破壊されてアイアンは心臓を貫かれてしまうのであった。
「次が控えてんだとっと死ね」
刀を引き抜くと首を刎ねる。アイアンを瞬殺するとすぐに次の場所へと向かうのであった。
「はぁ、まったく我の強い貴女らしいと言えば貴女らしいですね」
ボロボロになっている、レイ。レイは薔薇の花園のメンバーたちと防衛に当たっていた。その薔薇の花園の最強冒険者であるレオナが神に乗っ取られてしまう。しかし、我の強いレオナは完全には乗っ取られてはいない。そのおかげで命まで奪われたメンバーは誰もいない。女好きのレオナの側面が残っているようだ。
「ふむ。女性に対しての攻撃が体を拒否するのですか。それならば仕方ありませんね。体を完全に乗っ取るまで別の場所に行きますか」
そう言ってレオナに憑依した自然の神、フラドールはその場から消える。フラドールが消えたと同時に、
「あん? 無事だったか」
リュウガが到着する。そんなリュウガに事情を説明する。
「完成に乗っ取られていないパターンもあるのか。完全に乗っ取られる前に仕留めるか」
そう言ってまた走り出そうとするリュウガに、
「そんなのダメよ!」
「レオナ様を殺さないで!」
「やっぱり男なんて野蛮ね!」
薔薇の花園メンバーに色々言われてしまうが、
「緊急事態に何言ってんだよ。戻す手立てがあるのか? ねぇだろ? むしろ早めに仕留めてあいつに人を殺させねぇ方がいいだろ」
「だとしてもレオナお姉様が死ぬのはイヤよ!!」
「お姉様には死んで欲しくないのよ」
「いやよ。絶対にいや」
リュウガの言い分も理解出来る様子であるが感情は別物でありメンバーたちは泣きながらレオナの始末を拒否する。それを無視して走り去ろうとするリュウガに対してレイが待ったをかける。
「私に任せてください。何とかしてみせます」
何の手段も考えていないが見捨てる事など出来ない。こんなにもメンバーに慕われているレオナを助けたいのだ。
「じゃあ、任せる。だが城でも同じ状況になってるようだからそこへ俺は行って片をつけるからそれまでにレオナを助けていないなら始末する。憑依する必要ない神連中もいるからここだけに時間をかける訳にはいかねぇからな」
そう言って城に向かうリュウガ。
「貴女たちは魔法学院と錬金学院にて国民の護衛に回ってください。レオナに関しては私が何とかしてみせます!」
指示を出してからレイはレオナの下へと向かって行くのであった。こうしてる間にも神々は進行の手を止めたりしない。オズワルドには神ではなくフェンリルのハクが進行していた。運命の宿木から巣立ったハクはサンダーバードを殺して喰らう事で雷の力も手に入れていた。これによりハクは風、水、雷の3属性を操るモンスターとなった。その時にゼーリオに憑依された剣聖の僕となったのだ。
「まさかフェンリルが敵となるとはな」
オズワルドにてクルルガ家の前当主がフェンリルと睨み合う形となっていた。その周りには既に何人もの魔法使いの死体が散らばっていた。
(さてどうしものかな。時魔法により一撃で殺される事はなかったがそれだけだ。相手は何故攻撃をかわされたのか分からずに警戒してるが実際は危険な状態だな)
時魔法は強力だが月一しか使えない。ここからは汎用魔法で戦うしかない。しかし、
(攻撃に関しては周りにいる魔法使いたちの方が攻撃力はあった。自分では攻撃力が圧倒的に足りない。それでも少しでも時間を稼いで他の国にこいつを行かせないようには出来る!!)
自分の使える最強の結界でハクを閉じ込める。
(いくらフェンリルとはいえこの結界は簡単には破られはしないぞ!!)
属性攻撃による攻撃をほぼ無効化する結界。おまけに硬度も最強レベルである。だが、
バリーン!!!!
「なっ!?(最強硬度の結界だぞ!? それをあっさりと)」
ただの爪による攻撃で破壊されてしまう。おまけに腹から血がドバッと流れる。
「ぐあっ! さっきの攻撃で結界だけでなくこっちにまで攻撃が届いていたのか」
痛みによりよろけてしまう。そこをハクは追撃して頭を食い千切る。これによりオズワルドの戦力は全滅となってしまうのであった。一応魔法使いは残ってはいるが神との戦争で通用するレベルではない。ここからはただの蹂躙が始まる。とはいえ、今のハクにかかれば数分の出来事であるのだが。こうしてオズワルドが滅びの時を迎えていた時、
「全く手間をかけさせるな」
「知ったこっちゃないわよ」
ガルダ王国の城にてキュウイとルイが激突していた。
続々と神々を撃破するも残った国はガルダのみ。そしてガルダではキュウイとルイが激突!!
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