あそこにいるのは……
「フレッド様お忙しかったのでは？なんだかエスコートして頂いて申し訳ないことをしたんじゃないかしら」
そうこぼすとデイブが「あいつも困ってたんだから問題ない」と言ってくれます。
「大丈夫よ、フレッド様は嫌なことは受けられないタイプだからサリーが気にする必要はないわ。それよりサリー、このドレス本当にすごいわ、こんなに豪華なのに驚くほど軽くって、それにいつもよりとても涼しいの！」
アイシャが興奮の眼差しを向けてきますの。
「そうでしょ。糸が丈夫で軽いから軽く作れて、でも糸だから風を通してくれるから涼しいのよ。アイシャすごく似合ってる。とっても綺麗よ。着てきてくれてありがとう」
「お礼を言うのは私よ！お母様もデイブのお母様も欲しいっておっしゃってたの。今度相談に乗ってくれる？」
「もちろんよ！公爵家からのご注文なんて鼻が高いわ。いつでも伺うって伝えておいてね」
2件もお話を聞いてもらえるかもしれない。しかも公爵夫人に着ていただけたらきっと他の方の目にも止まるわ。農家の方たちがきっと喜んでくれる！
そんなことを話しているとパーティーをはじめる音楽がなり始め会場は静まり返ります。
そして会場2階の扉が開き、中から国王陛下と王妃陛下が姿を表しました。
「皆の者、今日は私の生誕祭に集まってくれて感謝する。大いに飲んで食べて、日頃の疲れを癒してほしい。だがその前に私たちの子どもを紹介しよう。第一王子のジョージ、そして第二王子のフレッド、最後に第一王女のレベッカだ。これからもよろしく頼む。それではパーティーをはじめよう」
国王陛下のその言葉に一斉に拍手が起こります。大きな拍手が…
…………
…………あれ？あそこにフレッド様いなかった？
少し考えた後、デイブとアイシャの方を見ます。
視線に気づいた2人が気まずそうに苦笑いを浮かべているの。
やっぱりそうなんだ…
「なんで？なんでエスコート役なんて頼んだの！？？？」
困ったようにデイブが指先で頬を搔きながら言いましたの。
「いや、相手がいなかったのは事実だし、、、後は詳しいことは本人に聞いて」
そんなことで逃げられると思ってるの？
そう問い詰めようとしていると、フレッド様がデイブの後ろから歩いてくるのが見えました。その様子は少し困ったような笑顔を浮かべていて。
そして周りは女性は熱い眼差しでフレッド様を見つめています。
これだけ綺麗な方がまだ婚約者を定めていない第2王子殿下だとわかれば注目の的になっても仕方ありません。
