58.無人島人狼(後編)
ここまで時間が経ってるし、あれから拠点に誰も戻ってこないことに二人も不審に思っている頃だろう。そこに僕が一人で戻ってくればさすがに怪しまれる。
すこし芝居を打たなければならない。
「た、助けてください!」
「あれ...瀬良さん。どうかしたのか?」
「四月一日さんに...殺されかけました」
〇【身内切りか】
〇【演技w】
〇【切ってもよかったのか?】
〇【ここはしょうがない】
〇【通じるかな?】
先手必勝。
人をだますには自分から仕掛けなければならない。
「え!やっぱりあいつがキラーだったのか」
「他のみんなはどうしたん?」
「あの...桐生さんに合流して一緒に行動してたんですけど、通信所で葉隠さんと四月一日さんがいて殺されかけたので逃げてきました」
〇【海斗さらっと信じてて草】
〇【よくもまぁさらさらとw】
〇【お前がころしたんじゃい!】
〇【さらっと百花キラーにされてて草】
〇【ちづちゃんは疑ってる?】
〇【バレるやろ...】
「桐生さんとは途中ではぐれちゃって...誰か戻ってきてませんか?」
「いや...一回も戻ってきてへんなぁ」
「俺らもそろそろ見回りに行こうとしてたんだ」
〇【バレてない...?】
〇【信じてるのかな】
〇【おや】
〇【いけた!】
〇【バレない】
こういうときはけして会話の主導権を相手に譲ってはいけない。相手が自分を疑う空気を作る前に自ら被害者になるしかない。
いきなりこう言われたら怪しまれるかもしれないが僕の場合さきほど食料を分けたり資材を集めてきたりサバイバーとして白目ムーブを取っていたので多少怪しんでもその場は流してくれる。
「じゃあ、3人で倒しに行くか?」
「んー...いやでも、まだ2人残ってるんやろ?うちら武器持ってへんしなぁ」
「まぁ...それもそうか」
〇【できれば通信所あたりに連れていきたいね】
〇【いかだの進捗どんなもんなんだろ】
〇【セラリツも弾切れだし】
〇【海斗脳筋で草】
〇【材料はあるんちゃう】
「でもいかだだと2人しか脱出できなくないですか?」
「たしかになぁ」
「3人脱出するなら通信所直さないといけないのか...」
「誰か犠牲になればええんちゃう...?」
「...え?」
〇【永久さん...?】
〇【ヒェ...】
〇【サイコ】
〇【怖いw】
〇【ヒェッ】
〇【リア狂おるってw】
「噓、嘘。じょーだんやって。資材もって通信所いこ」
「その割にマジなトーンだったがな...。えーっと、瀬良さんは二人がどんな武器持ってたかわかるか?」
「たしか...四月一日さんはショットガンで、葉隠さんは斧だったと思います」
「ショットガン1個くらいなら余ってる材料で作れるんじゃないか?」
「そうやね。じゃあ、作ってから一回行ってみよか」
〇【お!】
〇【倒しに行く流れになったのラッキー】
〇【これで2対2だ】
〇【地雷とかもうまく使えれば】
〇【通信所に誘導しよう】
〇【頼くんはどこにいるんだろう】
二人が武器を作っている間に僕もショットガンの弾を1セット分製作する。さきほどまでは相手が何も武器を持っていなかったからキルできたが、FPS強者である佐倉さんと撃ちあいで勝てるとは思えない。
「じゃあショットガンは佐倉くんが持つってことでええよな?」
「僕は大丈夫です」
「二人がいいなら俺が持つか」
「じゃあ瀬良さんとうちは斧もって百花のほう倒そうか」
〇【百花w】
〇【海斗FPSうまいからな】
〇【頼くんと連絡取り合いたい】
〇【潜伏してるのかな】
〇【いい流れ】
「じゃあ、通信所直してる間に二人に会ったら戦うってことで」
「そうやね。頼くんはそっちに任せるからね」
「任せてくれ!1ダメも食らわないで倒すから」
〇【草】
〇【海斗がこういうこと言ってるときって大体うまくいかない】
〇【フラグやんw】
〇【エイプリルオーシャン対決】
〇【完全に負けフラグ】
拠点から西回りに通信所のあるほうに進んでいく。四月一日さんがどこにいるのかわからないが、通信所のあたりで合流できればいいんだけど。
「ん?あそこで誰か倒れてないか?」
「服の色的に桐生さん...ですかね」
「途中でやられちゃったんやなぁ」
「武器とか持ってないですかね?」
〇【うまい】
〇【誘導うまw】
〇【草】
〇【トラバサミか】
〇【かかったら体力わりと削れるからな】
僕がそう言うと佐倉さんはゆっくり近づいて行って綺麗にトラバサミを踏んだ。
「痛!?トラバサミあるんだが!」
「陰湿ですね」
「頼くんこういうことしよるからなぁ」
〇【セラリツなんよ】
〇【お前なんよね】
〇【おまえじゃい!】
〇【草】
〇【どの口がw】
「医療キット持ってますか?」
「いや...持ってない。」
「うちも持ってへん」
「そうですか...。じゃあ、このままいくしかないですね」
〇【ちゃっかり持ってる】
〇【まぁここで渡す義理もない】
〇【こっちにとっては有利だし】
〇【トラバサミってHP1/3くらい削れるよな】
〇【綺麗に踏んだよなw】
〇【ここで踏むのが海斗クオリティ】
ここで医療キットを渡して白目をとってももう意味ないしな。
「そろそろ通信所だな」
「もしかしたらキラーが隠れてるかもしれないので慎重に行きましょう」
「せやね...」
〇【手に汗握る】
〇【同接1万超えてて草】
〇【墓場のリスナー見に来てるな】
〇【頼くんどこにいるんだ?】
〇【頼くんが通信所にいてくれればいいんだけど】
3人固まってそろそろと行軍していると、奥の方から何かが近づいてくるのがわかった。
「おやおやぁ...3人そろってピクニックですかー?」
「頼!」
〇【でた!】
〇【きたああああああああ!】
〇【ナイスタイミング!】
〇【悪役っぽくて草】
〇【頼くんだ!】
〇【ベストタイミング】
〇【アサルトライフル持ってる!】
〇【でたー!!】
四月一日さんはアサルトライフルを片手に抱えて堂々と目の前に現れた。
正直言って、通信所に行けば四月一日さんがいるというのは賭けだった。無線機を使えばいつでも連絡をとりあうことができたのだが、それをサバイバーに傍受される可能性がある以上最後まで潜伏するためには使うわけにもいかなかった。なんにせよ、このあたりで張っていてくれて助かった。
「ここは俺に任せて、二人は通信所に!」
「いや、でも...」
「永久さん、佐倉さんが戦ってるうちにいきましょう!」
〇【死亡フラグで草】
〇【草】
〇【死ぬやんw】
〇【フラグw】
〇【うまいなぁ】
四月一日さんは僕の考えていることを察したのか、こちらにエイムを合わせずに佐倉さんとタイマンで戦っていた。僕は永久さんを連れて通信所に走った。
「佐倉くん大丈夫やろか...」
「実力的には同じくらいだと思うので信じて待ちましょう」
「そうやね」
四月一日さんがアサルトライフルを持っていたので、ある程度距離をとって戦うならば連射できる四月一日さんのほうに分があるだろうけど。
「ちょっと待ってください。中に葉隠さんがいるかもしれないので先に見ますね」
「了解」
「入り口らへんには誰もいないみたいですね...」
「じゃあ、入ろか」
〇【さて...】
〇【そろそろ狩るか】
〇【誰もいない建物...二人きり...何も起こらないはずがなく】
〇【地雷踏んでくれるとベスト】
〇【クリアリング】
「僕、入り口警戒しておくので奥で直してきてください」
「わかった」
〇【うまく引っ掛かってくれれば】
〇【地雷踏むかな?】
〇【アルファの位置ちょうど修理の位置だからふむんじゃね?】
〇【陰湿やなぁw】
〇【おそらく近づくだろうなぁ】
永久さんが奥の方に行ったタイミングでショットガンに弾を込める。
「えーっと...あ!奥の方で近江さん死んでる!」
「え、ほんとですか?」
〇【しらじらしいw】
〇【草】
〇【ここだけ演技臭くて草】
〇【さあ】
〇【見つけた】
スタングレネードを片手に構えて、永久さんのいるほうにゆっくりと歩きだす。
「近江さん何か武器とかもってへんかぁ...って、うわ!地雷ある!いったぁ...」
爆発音と同時に永久さんの近くにスタングレネードを投げ込む。
「え、何?何も見えへん!瀬良さん、近くに百花いる!」
「...今までだましていてすいませんでした」
「...え?」
〇【勝ったな】
〇【いやぁうまい】
〇【絶望w】
〇【悪役や】
〇【最後まで信じてくれたな】
混乱している永久さんにショットガンの銃口を向ける。
「今、葉隠さんと同じところに送ってあげますからね」
「...ってことは...」
「では」
〇【ではまたー!】
〇【では!】
〇【ではまたー】
〇【ではまたー!で草】
〇【ではまたー!!】
瀕死状態になっている永久さんに向かって一発だけショットガンを発射した。スタングレネードのせいで何も抵抗できなくなっている永久さんはその場に立ち尽くしたままキルされた。
『最後のサバイバーが死亡。キラーが勝利しました』
「佐倉さんは四月一日さんがなんとかキルしてくれたみたいですね...」
〇【勝った!】
〇【勝てた!】
〇【ナイス!】
〇【おめでとう!】
〇【これはセラリツ強すぎた】
〇【最初はどうなるかと思ったけど】
〇【ナイス!】
〇【おめ!】
まじで最初は全部放棄してサバイバーとして生きようとか思ってたけど、なんとか勝利することが出来て良かった。というか、なんなら僕の方がキル数多いのか?
「とりあえずみんなと合流しましょう」
〇【そうだね】
〇【おめでとう】
〇【そうしよう】
〇【そうやね】
〇【MVPのお通りだ!】
「お疲れ様~」
「お疲れですー」
「いやぁ...強かったなぁ」
「トラバサミかかってなければ...」
〇【完勝だね】
〇【強かった】
〇【四季波と海斗のFPS強者を頼くんが相手してくれたこともでかい】
〇【海斗w】
〇【お疲れ様ー】
「あ...お疲れ様です」
「お!MVPだ!」
「いや、ほんとに瀬良さん強かったよね」
「ゴーストの状態で見てましたけど本当にうまかったですわ」
〇【褒められとる】
〇【4キルしたからね】
〇【暗殺者セラリツ】
〇【みんな見てたんか】
〇【初めてとは思えない】
「えっと...ありがとう、ございます」
〇【急にどもるやんw】
〇【さっきまであんなにかっこよかったのにw】
〇【草】
〇【やっぱりコミュ障だったかw】
〇【草】
1対1で会話するのはまだマシだけど、大人数で会話するのはやっぱり無理だ。いまさらキルしたときのセリフとかが恥ずかしくなってきた...。
「めっちゃどもるやん。さっきかっこええこといっとったのに」
「結局のところ人間になりたいってなんだったの?」
「いや、ほんと...全部ひっくるめて忘れてください」
〇【草】
〇【ちづちゃんw】
〇【ちづちゃんキルしたときかっこよかったのに】
〇【百花にも言ってたわw】
〇【草】
〇【まじで人間になりたいっていうの謎w】
〇【いじられてるw】
「えー、ということでね!みなさん、今日の無人島人狼コラボ楽しんでもらえたかなー?」
「面白かったよー!」
「楽しかった」
「面白かったね」
〇【面白かった!】
〇【楽しかった!】
〇【面白かったぞ】
〇【よかった!】
〇【楽しい企画をありがとう】
〇【アルファありがとう】
〇【まじで面白かった!】
〇【またこのメンバーでコラボみたい】
「最後に一言ずついってしめようかな。じゃー、百花ちゃんから!」
「えーっと、割と序盤に死んじゃったのでもし今度このメンバーでやれるときはもっと頑張りたいです!」
〇【最初にキルされたもんな】
〇【セラリツがね】
〇【ほんとにすぐ死んだw】
〇【見てしまったからね】
〇【葉隠は見た!】
「次は千弦ちゃん!」
「うちは最後まで残れたけど、なんか映画みたいな死に方できたので満足です」
〇【確かに映画みたいw】
〇【裏切られて死ぬみたいなねw】
〇【草】
〇【草】
〇【あそこは切り抜きポイント】
「四季波ちゃんどうぞ!」
「えっとー、FPSプレイヤーとして一度負けた借りは返さないといけないので四月一日さんにいつかリベンジしたいと思います」
〇【バチバチだね】
〇【草】
〇【四季波わりと負けず嫌いだからね】
〇【FPSゲーじゃないんよw】
〇【リベンジ宣言】
「次、アリスちゃん!」
「信じられるのは自分だけですわ」
〇【草】
〇【頼くんとセラリツ両方に裏切られたからなw】
〇【草】
〇【人間不信なってて草】
〇【強く生きて】
「佐倉くんどぞ!」
「いやぁ...あの時トラバサミを踏んでなければなぁ...」
〇【ずっと言うやんw】
〇【草】
〇【言い訳で草】
〇【言い訳すな】
〇【あそこで踏むのが海斗クオリティ】
「勝った頼くんどうぞ!」
「本当は瀬良さんをサポートするつもりでやってたんですけど、なんか気づいたらキャリーされてました。今度から師匠って呼ぶことにします」
〇【草】
〇【師匠認定w】
〇【セラリツ4キルやしな】
〇【師匠w】
〇【でも頼くんもめちゃうまいからな】
「では本日のMVP、瀬良ちゃん!」
「こういう大人数のコラボに呼ばれたことなかったのですごく緊張してた...というか今もしてるんですけど。あの...すごく楽しかったです」
〇【MVP!】
〇【おめでとう!】
〇【面白かったよ!】
〇【MVP!!】
〇【師匠!】
「えー、今日はね。みんな集まってくれてありがとう!またタイミングが合えば第2回とかも開催していきたいなー、なんて思ったり!」
〇【今から第2回楽しみにしとく】
〇【面白かったぞー】
〇【またみたい】
〇【良きコラボだった】
〇【2回!】
「みんなのチャンネルは概要欄に貼ってあるので、全員分のチャンネル登録等々よろしくおねがいしまーす!またみんなでコラボしたいという気持ちも込めてMVPの瀬良ちゃん方式でしめようかな」
〇【登録してきた!】
〇【もうしてる】
〇【してきたよー】
〇【お!】
〇【セラリツ方式だ】
「今日はありがとうございました!ではまたー!」
「ではまたー!!」
「またな!」
「では、またー」
「...では、また」
〇【では、またー!】
〇【ではまたー!】
〇【ではまたー!】
〇【ではまた】
〇【いいね】
〇【デハマター!】
〇【ではまたー】
〇【ではまたー!!】
すごい楽しかったけど、その分めちゃくちゃ疲れたな。
寝るか...。
・
・
・
◎このライブストリームは終了しました。
【Survival Island】コミュ力があれば無人島でも生きていける【瀬良リツ】
81,218回視聴
↑7819 ↓12 □
【瀬良リツ】チャンネル登録者数22.1万人
この作品を読んでいただきありがとうございます!皆様からの応援が執筆の励みになりますのでよろしければ気軽に感想やご意見を送っていただけると幸いです。
また、少しでも面白いと感じていただけたら下の[☆☆☆☆☆]から評価もお願いします!




